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福島第一原発事故は想定外の津波が原因ではなかった。

2012/07/12(Thu) 21:04


福島第一原発事故の国会事故調査委員会は7月5日、報告書を発表した。国会事故調は田中三彦氏や地震学の石橋教授などわりと本気の人たちで結成される調査委員会である。この委員会が『福島第一原発事故は人災だった』と結論づけたことは大きい。福島第一原発事故の原因は想定外の津波ではない。想定外の津波でなければ、原子力賠償法の対象ではない。


原子力損害の賠償に関する法律 - Wikipedia

責任の所在
「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」(3条1項)

---------------------抜粋


福島第一原発事故の原因が想定外の津波で無かった場合、賠償責任は事業主にあり、すなわち東京電力が負うことになる。チェルノブイリ原発事故ではソビエト連邦を解体し、チェルノブイリ原発の立地国であるウクライナに全責任を押し付けることで乗り切ることができた。チェルノブイリ事故と肩を並べる福島第一原発事故の後始末は、もはや国家を破綻させるレベルであり、一民間企業が負えるものではない。東電が国有化されるのは時間の問題である。


ところで、国会事故調が人災だと報告書を提出したことを受けて、東電が新たな津波襲来の画像を公開した。






津波到来画像を追加公開=東電(時事通信) - 写真 - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120709-00000077-jijp-soci.view-000

時事通信 7月9日(月)21時18分配信

国会事故調の指摘受け、東電が9日公開した津波到来直前の福島第1原発から撮影した写真。記録上の撮影時刻昨年3月11日午後3時35分50秒。タンカーが防波堤の外に逃げようとする様子が写っている(東電提供)

--転載ここまで--


この記事の元になったのが以下のプレスリリースである。


www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_120709_03-j.pdf
津波襲来1 www.tepco.co.jp nu fukushima-np images handouts_120709_03-j.pdf-184721 www.tepco.co.jp nu fukushima-np images handouts_120709_03-j.pdf-184837 www.tepco.co.jp nu fukushima-np images handouts_120709_03-j.pdf-185006 www.tepco.co.jp nu fukushima-np images handouts_120709_03-j.pdf-185125 www.tepco.co.jp nu fukushima-np images handouts_120709_03-j.pdf-185154


福島第一原発に襲来した津波は想像を絶するレベルではない。そのチープさゆえに、なぜ、この程度の津波を防げなかったのかと思わずにはいられない。国会事故調が福島第一原発事故が人災だったと報告したタイミングで、これらの写真が公開されたということは、想定外の津波に託けて原子力賠償法で救済させようとしていた東電は開き直ったということか。



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福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。

2012/07/14(Sat) 07:01

311クライシスの本震直後、福島第一原発1号機の非常用復水器(IC)が作動し、再循環ポンプ配管にICタンク内の常温水が流入した。運転中270℃にもなる原子炉圧力容器に、ICタンク内の20℃ぐらいの常温水が流入したとなれば、圧力容器はもちろんのこと、ICが接続する再循環ポンプ配管は猛烈な温度差により深刻なダメージを受けたはずである。再循環ポンプ配管は14時46分の本震によりスクラム後、ICを起動した際に、一瞬で最大で150℃の温度差が記録されている。


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再循環ポンプ配管は直径60センチ、厚さ4センチ、ステンレス鋼の配管である。1号機は311クライシス当時、稼働40年で10年延長が認められたばかりであった。古参の原発である。

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古臭い。


鋼は長年中性子線に曝されるとガラス化していく。脆性劣化と呼ばれる現象で、熱したガラスを水にさらすとパリンと割れるが、同様の現象が原子炉圧力容器、並びに周辺配管に起こりうるのである。





1号機のICを三回手動で止めたことについて、東電は、「原子炉の温度低下が1時間当たり55度を超えない」という手順書に従ったと説明するのだが、炉心に近い再循環ポンプ配管は一瞬で150度も冷まされて平気なのだろうか。



国会事故調査委員会の報告によれば、3号機はHPCI起動後に原子炉圧力の著しく低下している。RCICが停止し、原子炉水位低によりHPCIは起動したのだが、75気圧あった原子炉圧力が30分後には48気圧まで下がっている。結局半日後には6気圧まで下がり、HPCI停止後原子炉圧力は70気圧に急上昇することになる。


178.jpeg


HPCIが起動すると、復水貯蔵タンクから30度の冷却水が高圧注水される。1号機でIC起動直後、再循環ポンプ配管が一瞬で150℃冷まされたのと同じように、3号機のHPCIの配管が30度の冷却水が流入し、一瞬で百数十度冷まされたのは想像に難くない。


老朽化した原発の最大のウィークポイントが脆性劣化である。炉心周辺機器はことさら脆性劣化が著しい。ECCSが起動した時点でアウトである。スクラム停止した原子炉を冷温停止に導くはずの緊急炉心冷却装置が、ガラス化した圧力容器や周辺配管を急激に冷ましてしまうのである。まさに、本末転倒である。

1号機の再循環ポンプ配管がIC起動により猛烈な温度差にさらされたのと同様に、3号機もまた、HPCI起動により、タンクの常温水が圧力容器につながる配管を猛烈に冷やしたのである。長年の中性子照射により著しく脆性劣化した配管がミシミシとひび割れていく音が聞こえてくるようである。





ちなみに、1号機と2号機のHPCIが起動した記録は残っていない。超高圧下にある原子炉への注水を可能にするHPCIがなぜ起動しなかったのか。当方は、故意的にHPCIのトリガー(原子炉水位低)を外していたのではなかったかと睨んでいる。HPCIを起動させたくない理由があるとすれば、それは脆性破壊にほかならない。

さらにいえば、2号機と3号機は、原子炉スクラム後、手動でRCICを起動させている。マニュアル通りかもしれないが、自動起動を待たなかったということは、HPCIを起動させたくなかったからではないか。


2号機のRCIC 3号機のRCIC


1号機と3号機はECCSが致命的な破損をもたらしたことは明らかなのに、国会事故調の報告書には、ECCSがもたらす配管の脆性破壊には触れられていない。委員の一人である田中三彦氏は20年前にすでに脆性破壊の危険性について警鐘を鳴らしていたにもかかわらずである。あまりに消極的で逆に不気味である。



http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=0kSu4JD-cgY#t=599s

9分50秒~





ECCSは緊急炉心冷却装置であり、滅多なことでは起動することはない。だが、滅多なことが起こってしまえば、脆性劣化した圧力容器や周辺配管に致命的な配管破壊をもたらしかねないのである。

原子炉プラントの配管が専門の小川教授が出張先の大阪で不審な死を遂げた。20年前に早くも脆性破壊について警鐘を鳴らしていた田中三彦氏が口をつぐんだのも、この辺りに背景があるのかもしれない。









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原発事故を起こすのに『想定外の津波』はいらない。

2012/07/27(Fri) 10:38



福井県の大飯原発3号機に続いて、大飯原発4号機もフル稼働を始めた。3号機は1991年12月運転開始。4号機は1993年2月運転開始。経年数20年そこそこと、比較的若い原発ではあるが、断層検査、免震重要棟の建設、ベント設備の増設などなど、取るべき対策を後回しにした再稼働は拙速である。

大飯原発の2基のほかは再稼働の見通しは立っていないというが、伊方原発3号機(1994年運転開始)の他、泊原発1号機(1989年運転開始)2号機(1991年運転開始)、川内原発1号機(1984年運転開始)2号機(1985年運転開始)、高浜原発3号機(1985年運転開始)4号機(1985年運転開始)は再稼働の有力候補であるという。


ほかの原発は再開の見通し立たず NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120725/k10013828761000.html

7月25日 1時34分

大飯原発3号機と4号機が、共にフル稼働に達した一方で、国内のほかの原発は暫定的な安全基準の見直しや新たに判明した活断層を巡る議論の影響で再開の見通しは立っていません。

原発の運転再開の判断の前提となっているストレステストを巡っては、これまでに大飯原発の2基のほかに合わせて21基の結果が国に提出されています。

国の原子力安全・保安院は、このうち愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機については、ことし3月、審査を終えたほか、北海道電力の泊原発1・2号機、鹿児島県にある九州電力の川内原発1・2号機、それに福井県にある関西電力の高浜原発3・4号機について、来月中に一定の審査結果の取りまとめを目指しています。

しかし、9月に原子力の安全規制を一元的に担う新たな規制機関が発足すれば、ストレステストを含めて、原発の運転再開を判断する暫定的な安全基準が見直される予定です。

また、ストレステストの審査が進む石川県にある北陸電力の志賀原発1号機と2号機を巡っては、国の専門家会議で、1号機の地下を走る亀裂について活断層の可能性が高いことを指摘する意見が相次ぎ、保安院は、活断層かどうか結論が出るまで、志賀原発についてストレステストの審査結果を取りまとめない方針を示しています。

このため、大飯原発3号機と4号機のほかの原発は運転再開の見通しは立っていません。

こうした状況のなか、原発の運転再開に反対する声が過去に例のないほど高まっています。

今月16日には、東京・代々木公園で市民団体や労働組合だけでなく、ツイッターの呼びかけなどで集まった一般の人たちが参加して、過去最大規模の抗議集会が開かれました。

また、毎週金曜日には、東京の総理大臣官邸前での抗議活動が続き、政府に対する批判が増していて、運転再開に向けた道のりは一層不透明になっています。

--転載ここまで--


大飯原発2基の再稼働を断行した関西電力は続いて高浜原発3、4号機再稼働させようと躍起になっている。真夏の電力需給に足りないからと計画停電を実施する政府を脅し、停電によって自宅で生命維持装置につながれた弱者を死なすわけにはいかないと、政府は大飯原発の再稼働を認めたわけだが、些か調子づいてる感は否めない。


関電社長、次の原発再稼働に言及 「国は早く審査を」-北海道新聞[道外]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/390331.html

(07/25 12:59)

 大飯原発4号機がフル稼働に達した25日、関西電力の八木誠社長が、“次の再稼働”について「高浜3、4号機が最有力」と発言した。時期は明言しないものの「(国には)できるだけ審査を早くしてもらいたい」とも口にし、電力会社トップの前のめりな姿勢を見せた。

 関電は、大飯原発3、4号機を含め八つの原発の安全評価(ストレステスト)の1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出している。

 福井県おおい町で25日午前に取材に応じた八木社長は「電力需給ではなく、わが国のエネルギーセキュリティーを考え、安全性を確認できたプラントはできるだけ早く動かしていきたい」と強調。

--転載ここまで--


関電会長「社長発言おかしくない」 高浜原発再稼働へ意欲-北海道新聞[道外]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/390704.html

(07/26 17:21)

 関西電力の森詳介会長は26日、八木誠社長が大飯原発4号機(福井県おおい町)の次は高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働が最有力だと発言したことに関し「おかしいことは言っていない」と述べ、社長の発言を追認した。東京都内で記者団の取材に答えた。

 森会長は「高浜3、4号機は大飯3、4号機に続いて安全評価(ストレステスト)が進んでいる」と指摘。原発の安全性は政府が9月発足を目指す原子力規制委員会などが議論することを指摘した上で「安全が確認されれば動かしたいのは当たり前だ」と述べ、再稼働の実現に意欲を示した。

--転載ここまで--


安全性うんぬんの前に、高浜原発3号機、4号機はMOX燃料が装填されるプルサーマル炉だ。すでにストレステストの審査を終えた伊方原発3号機もプルサーマル炉である。核燃料サイクルを成立させるためにMOX燃料をもやしたいとする原子力村の思惑が透けて見えるようであるが、プルサーマル炉の再稼働を国が認めるか否かが一つの目安になる。老朽化した原発の再稼働に踏み切るかどうかの目安である。


老朽化した原発 


福島第一原発の1号機は1970年運転開始、2号機は1974年運転開始、3号機は1976年運転開始、経年数30年を超えた古参の原発であった。福島原発事故の教訓として、30年以上運転している原発は稼働させてはならないはずである。もし、政府がプルサーマル炉の再稼働を認めてしまったら、なし崩しに老朽化した原発をも再稼働させる流れになるだろう。そうなった時、第二のフクシマを覚悟しなければならない。


津波、地震(天災)、事故直後の東電や政府の事故対応(人災)、福島第一原発事故は複合的な要因でもたらされたものであるが、当方が調べた限り、先日報告書を出した国会事故調も政府事故調も2つの問題について口を閉ざしている。先のブログエントリでも触れたECCS起動による脆性破壊と外部電源喪失である。

ECCS起動による脆性破壊については、実際に、スクラム直後に起動したICにより、再循環ポンプの配管は温度差150℃を記録している。2号機3号機はともかく、1号機は津波襲来を待たずして壊れていたはずだ。40年もの間、中性子照射され脆性劣化した配管が一瞬にして百数十度冷却されることに耐えられるとは到底思えない。3号機もHPCIが起動した直後から炉圧がみるみる抜けていった。本来ならば、緊急炉心冷却を行う重要な安全設備であるはずのHPCIが、超高圧高温の炉心に冷水を浴びせてしまい、逆に致命的な破壊を生じさせてしまうのである。

福島第一原発事故は想定外の津波が原因ではなかった。

福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。

外部電源喪失については、マサチューセッツ工科大学大学院の原子力工学科の工学博士号を取得している大前研一が次のように明言している。


大前研一:究極の事故原因は外部電源がすべて崩壊したことだ
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120723/316908/?ST=mobile&P=3

福島第一原発事故を防げなかったのは外部電源がすべて崩壊したからである。原子炉の場合、外部電源がすべて失われると非常用電源が起動するが、1~4号機に関しては非常用電源も津波ですべて失われた。しかし外部電源が一系統でも生き残っていれば(空冷の非常用ディーゼル発電機が1機だけ生きていた)5~6号機のように冷温停止まで持ち込めた可能性が大きい。

つまり究極の事故原因は外部電源がすべて崩壊したことであり、それに対する対策を打ってこなかったのは原子力安全委員会の「外部電源の長期喪失は考えなくてもいい」という指針があったからである。

--転載ここまで--


福島第一原発事故では、1号機2号機3号機(4号機)の全てが外部電源を喪失させている。1号機2号機に関しては、1、2号機兼用の超高圧変電所が地震で碍子が落下し壊れたことが原因だとはっきりしているのだが、問題は3号機である。3、4号機兼用の超高圧変電所は津波の浸水で外部電源供給不能に陥るのだが、スクラム直後に『所内切替失敗』で外部電源を喪失させているのである。3号機の運転日誌には『原因不明』だとはっきり書かれている。

福島第一原発事故の真相に迫る!!7 〈津波でなく、地震でなく、事故を決定的に悪化させたのは外部電源喪失である。〉

3号機がスクラム直後に外部電源喪失した原因については、『所内切替失敗』した、311クライシス九ヶ月前のフクイチ2号機外部電源喪失事故と同じケースであると指摘しておく。フクイチ2号機の事故では警報トリップにより原子炉スクラム停止、外部電源を30分喪失させた。インターロックが原因で所内に外部電源が引き込めなかったことが原因である。30分の間、原子炉水位は2メートル低下、注水系のECCSが自動起動する原子炉水位低L-2まであと40センチに迫っていた。

警報トリップに至った原因も、外部電源を喪失した原因も、何一つはっきりしたことは不明であった。だがしかし、東電はヒューマンエラーと決め付け、制御盤に『絶対触るな』と貼り紙をし、系統安定化装置をフクイチの全プラントから撤去した。そもそも原発に作業員が触れただけでスクラム停止させてしまう機器を導入している事自体おかしな話であるが、フクイチ2号機は何事もなかったかのように一月後に運転再開している。外部電源30分間の喪失で、原子炉水位を2メートル低下させてしまうことを知っていれば、『外部電源の長期喪失は考えなくてもいい』という原子力安全委員会の指針は正気の沙汰とは思えないし、犯罪的な過失と言わざるをえない。

長年の中性子照射によって脆性劣化した原子炉の素材。超高圧高温の炉心に冷水を浴びせるHPCI。さらに、外部電源喪失があれば、原発事故を起こすには『想定外の津波』など必要ないのである。





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原発事故を起こすのに『想定外の津波』はいらない。 2 RCIC手動起動と原子炉水位低L-2のトリガー外し

2012/07/28(Sat) 00:34

福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。

原発事故を起こすのに『想定外の津波』はいらない。


311クライシスの9ヶ月前、フクイチ2号機で外部電源喪失事故が発生した。原子炉トリップした後に外部電源が30分失われ、原子炉水位を2メートル低下させたものである。L-2まであと40センチであった。

そして、このフクイチ2号機外部電源喪失の際、運転員はRCICを手動で起動させている。


原子炉外部電源全喪失事故レポート : 風のたよりーいわき市議会議員 佐藤かずよし
http://skazuyoshi.exblog.jp/12974707/

●「福島第一原発2号機 原子炉外部電源全喪失事故」に関するレポート
6.17/7.9東電本社ヒアリングをもとに

2010.7.15 東京電力と共に脱原発をめざす会 

1.事故の概要
・今回の原子炉「自動停止」は、10.06.17(14:52頃)発電機界磁遮断器「トリップ警報」に始まり、「発電機」「タービン」「原子炉」の順に自動停止した。
・しかし、その後外部電源に切り替わらなかったため、外部電源全喪失の事態となった。
・これを受けて、ただちに非常用ディーゼル2基が自動起動し、非常用交流電源は回復した。
・運転員は原子炉トリップによる原子炉水位の低下に備えて、タービン駆動による隔離時冷却系(註・RCIC)を手動起動した。水位は14:53頃-800mm(註・原子炉水位低の40センチ上。通常運転時の水位より2メートル下がった位置だと思われる。)に達し、そのまま横ばいで推移し14:58には水位回復した。

---------------------抜粋


同様に、福島第一原発事故の際、2号機と3号機はRCICを何度も手動で起動させている。


2号機 3号機き


事故時運転操作手順書には、『積極的にRCICを手動で起動せよ』とはどこにも書かれていない。むしろ、『RCICは自動で起動するから、その確認をせよ』と書かれている。

http://www.nisa.meti.go.jp/earthquake/manual/1f-2/2u-1-04.pdf
2号機プロセス計算機データ3
給水喪失事象


なぜ、運転員はRCICの自動起動を待たずして、手動で起動させたのか。

運転員のスタンドプレーなのか。


RCICの自動起動は原子炉水位低L-2であり、同様に、HPCIの自動起動も原子炉水位低L-2である。つまり、RCICの自動起動を待っていたら、同時にHPCIも起動してしまうのである。

原子炉水位


HPCIを起動させたくなかった。RCICを手動で起動させたことは、ただ、この一言で説明できてしまう。

HPCIはRCICの吐出量の10倍である。配管の口径も素材の厚みもHPCIの方が上だ。冷水が流入した時に受ける影響は計り知れない。

福島第一原発の1号機と2号機はHPCIが一切動いていない。唯一起動した3号機は、翌12日HPCIが原子炉水位低により自動起動したのち、原子炉圧力がみるみるうちに抜けていき、HPCIを停止した(弁を閉めた)のちに原子炉圧力は上昇した。

フクイチ2号機の外部電源喪失事故の際、運転員がRCICを手動で起動させたのも、フクイチ事故で2号機と3号機で何度もRCICを手動で起動させたのも、HPCIを起動させたくなかったからだとしたら説明が付く。


さらに、もう一つ。

311クライシス本震時、HPCIを起動させないために、原子炉水位低L-2のトリガーは外されていたのではなかったか。2号機のプロセス計算機データに、その明確な証拠がある。


原子炉水位低(L-2)
www.tepco.co.jp nu fukushima np plant data f1_5_Process2.pdf

RCIC起動信号・注入弁開
2号機プロセス計算機データ2


まず、一枚目が原子炉水位低(L-2)のプロセス計算機データである。二枚目がRCICの起動信号と注入弁開のプロセス計算機データである。原子炉水位低L-2がOFFからONに切り替わったのが311の本震直後であることに注目して欲しい。それ以前は、OFFの状態。つまりトリガーが外されていたのである。そして、原子炉水位低L-2がONに切り替わったあと、RCICの起動信号がONになっている。原子炉水位低が”ON”に切り替わっていないとRCICは起動しない仕組みであるならば合点がいく。

さらに、原子炉水位低は15時30分にOFF、そして10分後にONになっていることに注目したい。これはRCICが原子炉水位高でトリップしてしまい、再起動させるために原子炉水位低の自動起動信号を入れなおしたとすれば矛盾はない。

本来ならばONであるはずの原子炉水位低の自動起動信号が、311本震前まで外されていたのは、はたしてなぜなのか。原子炉水位低L-2の自動起動信号でRCICが自動起動するとともにHPCIも起動してしまうからではなかったか。HPCIが流入させる常温水が、300℃近くにまで熱せられた脆性劣化著しい圧力容器や周辺配管に猛烈な熱衝撃を与え、致命的な破壊をもたらすことを恐れて、意図的にトリガーを外していたのではなかったか。



311の九ヶ月前のフクイチ2号機外部電源喪失事故の際、運転員がRCICを手動で起動させたのも、311本震直後、2号機3号機のRCICが手動で何度も起動されているのも、2号機のプロセス計算機データに示される『原子炉水位底L-2のトリガー外し』をも考えれば、HPCIを起動させたくなかったことは明白であり、福島第一原発事故の当事国である日本が、国家的責務として世界に発信しなければいけないのは、重要安全装置であるHPCIが起動してしまうと300℃近い原子炉に冷水を浴びせることになってしまい、脆性破壊を引き起こす可能性があるということではなかったか。経年数を経たプラントであればあるほど、過酷事故に発展しかねないと警鐘を鳴らすべきではなかったか。愚かしくも原発を再稼働させたりせず、世界中の高圧注水系を採用している原発プラントを使用禁止にするべく、声を上げるべきではなかったか。


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