フクイチ1号機の格納容器滞留水は250ccで毎時500マイクロシーベルト。
2012/11/07(Wed) 07:18
フクイチ事故の核燃料デブリは未だに誰も見ていない。フクイチ事故の核燃料デブリは未だに誰も見ていない。(参考) ~山名元原子炉実験所教授インタビュー抜粋~
311クライシス翌日に原子炉建屋が大爆発した1号機であるが、事故から一年半以上が経過して、ようやくCCDカメラを格納容器内に入れることができた。
公開された映像は先月(10月)9日から11日に行われた調査で、CCDカメラやパン・チルトカメラで撮影されたものだ。格納容器内カメラを送り込むべく、直径13㎝の孔があけられたのは9月末であった。
むんむんと立ち込める湯気の熱源は核燃料デブリなのだろうか。格納容器内にある鉄製の設備はことごとく腐食し錆び付いている。これは海水注入の影響である。
格納容器内に潜入したカメラは核燃料デブリを映すことは無かった。相変わらず、現在も溶け落ちた核燃料デブリがどこにあるのか把握できていない状況である。
福島第一原発1号機格納容器内カメラ調査... 投稿者 Hatajinan
しかし、絶望的な光景である。圧力容器の底を突き破って格納容器底部に落ち固まっているとみられる核燃料デブリは回収できるのだろうか。チェルノブイリ原発では原子炉内にある核燃料の取り出しは2025年を予定している。事故から40年である。まずは核燃料デブリを回収しなければ話にならない。廃炉解体の作業には進めないのである。
事故から一年半が経ってようやく格納容器内をカメラで撮影することができた。スリーマイル島原発事故は3年かかった。ただ、1号機の原子炉建屋四階で毎時20ミリシーベルト、二階で毎時150ミリシーベルト、最大で毎時5000ミリシーベルトが検測されている。格納容器内は毎時10シーベルトである。人が中に入って作業することは、まずできないだろう。
1号機の核燃料デブリは圧力容器内にとどまっているのか、それとも格納容器底部に落ちて固まっているのか、確認するまでには至らなかった。実はこの時、格納容器内の滞留水が採取されていた。250cc。コップ一杯程度であるが、滞留水の線量はなんと0.5mSv/hという高線量を検測した。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_121012_06-j.pdf

1号機格納容器内から採取したコップ一杯分の滞留水は毎時0.5ミリシーベルト、すなわち毎時500マイクロシーベルトである。どれほどの放射能量であれば、これほどの猛烈な線量になるのか。東電のプレスリリースによる滞留水の分析結果が以下である。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_121012_05-j.pdf

合算で54000Bq/立方cm≒5400万/リットル。うーん。唸るしかできない。1号機格納容器内の滞留水が猛烈な放射能で汚染されているということが分かるのだが、核燃料デブリを回収する前に、こいつをどうにかしなければいけないのではないか。
もう一つ気になったことがある。1号機格納容器内にCCDカメラで調査する数日前、1号機原子炉建屋地下の滞留水が採取されているのだが、東電プレスリリースによるサンプリング分析結果を見ると、セシウム合算で倍近くの数値が検測されているのである。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_120921_01-j.pdf

原子炉建屋地下階で採取された滞留水は、格納容器内の滞留水よりも放射能濃度が高い。これは一体どういうことか。そういえば、今年6月に行われた格納容器トーラス周辺の調査で撮影された映像では放射線のノイズが喧しいくらいに写り込んでいた。他方で、今回公表された1号機格納容器内部の映像では、放射線のノイズは控えめである。
福島第一原発1号機で計測された最大線量は毎時10シーベルトではなく、本当は毎時10万シーベルトである。 2 核燃料デブリをモロに計測してしまった可能性
福島第一原発1号機格納容器内カメラ調査... 投稿者 Hatajinan
つまり、放射能を閉じ込めているはずの格納容器に健全性はもはやなく、放射能は格納容器の外へ流出していまっているということではないのか。格納容器の健全性は保たれていて、放射能を確実に遮蔽しているのであれば、格納容器内部よりも外側の滞留水の放射能濃度の方が高いなどというのは首をかしげてしまう。
今も1号機から3号機の炉心には毎時5㎥の冷却水が注入されている。格納容器内の放射能を洗い流した汚染水の行き着く先はどこであるか。無論、海に流れ出る。格納容器内に閉じ込められているはずの放射能が注水で洗い流され、結果、格納容器内よりも地下階の滞留水の放射能濃度の方が高くなったと考えた方が自然な気もする。
もちろん、フクイチ港湾内の魚は猛烈な放射能汚染に曝されることになる。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_121102_01-j.pdf

さて。1号機格納容器から採取された250ccの滞留水であるが、調査を終えた後、どうなったのか。東電のプレスリリースの中に、実に分かりやすい絵があったので紹介しておく。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_121015_01-j.pdf

右の写真の青いプラスチックバケツの中にあるのが遮へい容器である。たった250cc、コップ一杯の水を処理するのに、この熱の入れようである。核燃料デブリを回収する前に、この滞留水をどうにかしなければならない。たったコップ一杯の水でも、遮へい容器に移し替えて保管しなければならないのである。
1号機格納容器で採取した滞留水はサンプリングが終わった後、遮へい容器に移し替えられて保管されることになったのだが、格納容器内には各炉とも10000トンから20000トンの汚染水が溜まっている。それらすべてを遮へい容器に移し替えるわけにもいかず、東電は、汚染水を貯蔵するタンクを敷地内に並べている。
http://kobajun.chips.jp/?p=5980



先程も触れたが、フクイチの現場では1号機、2号機、3号機は毎時5立米の冷却水を炉内に注入している。1号機格納容器の滞留水は54000000Bq/リットルというとてつもない数値であるが、2号機3号機とて似たり寄ったりである。考えれば考えるほど憂鬱になってくる。
消費増税は今後発生しうる巨額賠償金に充てられるだろう。
フクイチ2号機に注入している毎時9トンの水は今もなお海を汚し続けている。
福島第一原発1号機で計測された最大線量は毎時10シーベルトではなく、本当は毎時10万シーベルトである。
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Category:福島第一原発事故
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