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100%フル稼働のイラン・ブシェール原発は大丈夫かなぁ

2012/09/06(Thu) 08:48


イランのブシェール原発のフル稼働が始まった。


最大出力で電力供給開始 イラン初の原発、欧米警戒 - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/201209/CN2012090201001892.html

【テヘラン共同】イランの原子力庁は2日までに、同国初の原子力発電所、ブシェール原発(100万キロワット)が100%の出力で電力供給を開始したと発表した。設備の安全性に関する試験を実施するとしており、最大出力を継続するかどうかは明言しなかった。イラン学生通信などが伝えた。

イランは原発の建設を進める意向を示しており、核燃料製造の名目でウラン濃縮活動などをさらに拡大するとみられる。核の軍事転用を懸念する欧米やイスラエルが警戒を強めるのは必至だ。

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--転載ここまで--

イランは”核兵器製造疑惑”をもって欧米諸国から敵対視されているが、原子力の平和利用は世界で認められた権利である。『核兵器を保持する可能性がある』という未確定な理由だけで戦争をおっ始められたらたまったものではない。先のイラク戦争でも『大量破壊兵器を保有している可能性がある』という未確定な情報を理由にイラクに攻め入りサダム・フセインを処刑したが、結局大量破壊兵器は存在しなかったではないか。

イランに核兵器を持たせたくないのはイスラエルである。実際にイスラエルは国営の諜報機関を使い、イランの核開発の技術者を次々に暗殺している。





イスラエルはイランの報復の核攻撃を極端に恐れているふしがある。イランには核兵器を持たせまいと欧米諸国を巻き込んでイランの核開発に圧力をかけている。今やいつ攻撃が始まってもおかしくない状態ではあったが、イランに軍事侵攻したというニュースは聞こえてこない。というのも、イランは核開発に圧力を掛けられながらも(Stuxnet対策をほどこした)新型の遠心分離機を3000台稼働させ、国産燃料棒を装填するまでに至っているのである。





イスラエルは米軍の威を借りながらも、報復の核攻撃を恐れる余り、影の戦争を水面下で続けることにしたようだ。そこにきてのブシェール原発フル稼働である。嫌な予感がするのも、致し方ない。



2010年6月17日。ベラルーシのアンチウイルス会社がマルウェアを発見。イスラエル国営の諜報機関と米軍が共同で開発した、stuxnet(スタクスネット)である。インフラ破壊兵器。サイバースーパーウエポン。Stuxnetはイランの遠心分離機を1000台破壊した実績をもって知られている。


マルウェア Stuxnet(スタクスネット) について
http://www.nca.gr.jp/2010/stuxnet/

ISIS (Institute for Siceince and International Secuirty) から、レポート "Did Stuxnet Take Out 1,000 Centrifuges at the Natanz Enrichment Plant? Preliminary Assessment" が公開されました。このレポートによれば、 『2009年後半から2010年初めにかけて、イランのNatanzにある核燃料濃縮工場において、約1,000台の遠心分離装置の入れ替えを行ったことと、 このように比較的短期間に大量の遠心分離装置が不調をきたしたことから、その原因のひとつに Stuxnet マルウェア感染の可能性を指摘しています。』
---------------------抜粋


Stuxnetについては、前に、福島第一原発事故の真相に迫る! 4 〈スタクスネットが世界中の原発をメルトダウンさせる?!〉で取り上げた。311の九ヶ月前のフクイチ2号機は外部電源を30分もの間喪失させてしまったのだが、外部電源喪失事故のメカニズムと、イランの遠心分離機を攻撃するStuxnetの仕組みに類似性をみるのである。

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少しフクイチ2号機事故に触れておこう。2010年6月17日(Stuxnetがベラルーシのアンチウイルス会社に確認された同日である)、14時52分ごろ(311は14時46分。6分しか違わない)、福島第一原発の2号機で、発電機界磁遮断機の警報トリップにより、原子炉がスクラム停止した。発電機→タービン→原子炉が自動停止。すぐさま内外部電源の切替リレーが行われ、外部電源が所内に供給される手はずであったが、瞬間的な誤信号により所内が通電していると勘違いした外部電源側遮断機がインターロックしてしまい作動しなかった。結果、外部電源を30分喪失させ、原子炉水位を2メートル低下させた。原子炉圧力容器や周辺配管を常温水で急激に冷やすHPICが自動起動するL-2まであと40センチメートルと迫っていた。



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原子炉水位5466
青が通常水位で赤の下がL-2(原子炉水位低)上がフクイチ2号機の原子炉水位。HPCI自動起動まで40センチメートルであった。



福島第一原発事故の真相に迫る! 1 〈2010年6月17日フクイチ2号機事故とベント隠し〉

福島第一原発事故の真相に迫る! 2 〈フクイチ2号機事故の推定経過と撤去された系統安定化装置〉


Stuxnetはイランの核開発を阻む目的で生み出されたとされているが、ウラン濃縮施設の遠心分離機のみがターゲットというわけではなく、オートメーション化された産業インフラのシステム制御が攻撃対象になる。このコンピューターウイルスはイランの核開発を阻むというよりも、原発を破壊するために生み出されたのではないか。そう疑うのも、Stuxnetの特徴の一つに、施設に異常が生じてもモニターは正常値を示すというものがある。

イランの核開発を阻止したコンピュータウィルス「スタクスネット」がすごすぎる - Future Insight
http://d.hatena.ne.jp/gamella/20110626/1309017726

核施設や原発プラントは自動制御で運転される。運転員は遠隔地でモニターを眺めているだけだ。モニターが正常であれば、遠隔地にいる運転員は異常があるなど微塵も思わないだろう。イランの遠心分離機の例を挙げれば、最終的には遠心分離機が1000台故障した。PLCのモニターが正常を示しているのであれば、異常をきたしたまま何時間も放置する可能性だってありえるのである。

実に、『施設に異常が生じてもモニターは正常値を示す』というStuxnetの特徴はアメリカ・スリーマイル島原発がメルトダウンに至った経緯と相通じるものがある。

スリーマイル島原子力発電所事故 - Wikipedia

TMI事故では、運転員が蒸気配管の『開固着』に気付かず蒸気を駄々漏れさせ、そのまま長時間放置してしまいメルトダウンに発展させた。Stuxnetの『施設に異常が生じてもモニターは正常値を示す』という特徴は、まさにTMI事故のようなプロセスを再現しているとはいえないか。

ともすれば、Stuxnetは遠心分離機というよりも、発電用の原子炉プラントを破壊するために生み出されたのではないか。

Stuxnetは、311本震直後のスクラム停止後に外部電源を喪失させた3号機と何か関係があるのではないか。もっと言えば、福島第一原発の1号機~3号機はStuxnetに感染していたのではないか。福島第一原発事故の事故調査委員会でも議題に上げられなかったことの一つに津波が襲来した15時40分以降のデータが当日深夜まで欠落していることがある。

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津波襲来直後のプラントデータがなぜ欠落しているのか。全電源喪失直後の原子炉の状況を知る重要な手がかりがごっそり欠落している理由を、東電は『紙が詰まった。紙が切れた』と説明する。本当はスタクスネットが悪さをしたのではないか。もっとも、スタクスネットが悪さをしてモニター同様に正常の数値が記録されていたとしたら、存在しないことにして隠すほか選択肢が無かったのかもしれない。


Stuxnetがベラルーシのアンチウイルス会社によって確認されたのが2010年6月17日。

フクイチ2号機で30分外部電源が喪失し、原子炉水位を2メートル低下させたのも2010年6月17日。

同日である。

311の9ヶ月前の2号機外部電源喪失事故が、福島第一原発事故のリハーサルだったとしたらどうだろうか。興味深いのは、2010年の2号機事故で警報トリップしたのは14時52分のことであり、311本震は14時46分であることだ。6分しか違わない。同じ時間を想定していても不思議ではない。


Stuxnetはシーメンス社のPLCに感染することは判明しているが、当のシーメンス社は原発事業撤退を表明している。つまり、Stuxnet対応のアップデートはしませんよとさじを投げているのである。悪質である。

まさかブシェール原発がシーメンス社のPLCを導入しているとは思わないが、インフラ破壊兵器の餌食にならぬよう十分な対策をしてもらいたい。Stuxnetの亜種は必ず存在するはずであり、シーメンス社のPLCだけが感染するとは限らないのである。特に心配なのが鹿児島川内原発だ。川内原発はシーメンス社のPLCをシステム制御に導入していることが確定している。再稼働後は必ずインフラ破壊兵器の餌食となるだろう。


Stuxnet。フクイチ2号機外部電源喪失事故。311、福島第一原発事故。フクイチ4号機ミステリー。これらは全てつながっているのではないか。






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Category:福島第一原発事故

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