大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 初公判 その2
2009/10/20(Tue) 20:56
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察(関連)
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 初公判 その1
【個室ビデオ店放火初公判弁護側冒頭陳述】「殺意もなく、放火してもいない」
2009.9.14 23:02
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090914/trl0909142303029-n1.htm
□弁護側冒頭陳述
■起訴内容について
被告は放火行為は行っていない。個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」の18号室に客として入ったが、自殺を企てたことはない。殺意をもったこともなく、放火もしていない。
出火当時、被告は18号室でたばこを数本吸い、眠り込んだ。目が覚めると煙があってにおいがしたので店内の受付に行き、その後火災騒ぎとなった。
■火災の火元
客観的証拠によれば、一番焼けている部屋は9号室。警察の実況見分調書に「9号室はもっとも焼損が激しい状態で、18号室よりよく燃えていた」とある。
天井は9号室と8号室、10号室で全部焼け落ちていたが、18号室は焼け落ちていない。消防の火災実況見分・原因判定書によれば「18号室には、出火箇所の決め手となる床の焼け込みはない。唯一、東面の壁に扇形の焼き部分が見られるが、出火箇所と決定づけるだけの強い焼きではない」とあり、18号室を火元とする客観的証拠は存在しない。
■犯人が被告以外である可能性
9号室が火元であれば、9号室の使用者は犯人である可能性が高い。第1発見者は当初、実際の9号室の客である友人から「ここにいることがばれたら恥ずかしい。鍵を取ってきてくれ」と依頼され、捜査機関に自分が9号室の客であると嘘を言い、友人は初期の捜査対象から免れた。
■動機・殺意の不存在
被告はマイナス思考の人間で、生きるのが嫌という気持ちはあったが、自殺する気持ちはなかった。人に危害を加えるような性格でもない。一緒に入店した男性を「先生」と呼んで尊敬しており、巻き込んで殺害する動機はない。境遇や社会に恨みを持って無関係な人や施設への犯罪ではらすという心理でもなかった。
被告は延焼の危険性や客の状況、避難の難易、一酸化炭素中毒による死亡の可能性を認識していない。放火を認めていた段階でも「巻き込む意図はなかった」と弁護人に告げている。
■責任能力と自白の任意性
起訴内容が認められるとすれば、責任能力はない。キャリーバッグに放火、という手段で自殺は不可能。
被告は逮捕前に放火を否認していたが「お前の部屋が火元だ」と警察官から机を叩いて怒鳴りつけられ、意に沿うように放火と殺人を認める供述をした。
警察官や検察官は弁護士は信用できないなどと言って被告の信頼を得て、自白を維持して調書を作成し、被告が訂正を求めても応じなかった。
【個室ビデオ店放火初公判検察側冒頭陳述】「巻き込まれて死ぬ人、ごめんなさい」
2009.9.14 23:04
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090914/trl0909142305031-n1.htm
□検察側冒頭陳述
■犯行に至る経緯
被告は平成20年9月28日ごろに街頭で占いをしていた男性と知り合って行動をともにするようになり、10月1日午前1時すぎ、宿泊場所として個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」の18号室に入った。
被告はアダルトDVD1本を見て自慰行為をし、通路で他の男性客を見て「なんでこんなとこ、おれおんねん。情けなー」と気がめいった。18号室内のソファで横になり「おれは変態ちゃうぞ」と惨めに感じ、家族も財産も失って生活保護を受けた人生を振り返って「ここで死のう」と自殺を考えた。
■犯行状況
被告は放火して自殺しようと決意した。店内の他の客のことが頭をよぎったが、「おれに巻き込まれて死ぬ人、ごめんなさい」と考えた。そして午前2時55分ごろ、持ち込んだキャリーバッグに部屋のティッシュ約5枚を詰め込み、ライターで火をつけた。
被告は横たわって目を閉じていたが、においとすすで息苦しくなり、18号室から逃げ出した。通路の自動販売機前で被告とすれ違った男性客が、18号室から白い煙が出ているのに気づき、室内をのぞくと、キャリーバッグから約20~30センチの火が上がっていた。
男性客から火災の発生を聞いた店員らが、消火器を取ろうとし避難を呼びかけはじめた瞬間、爆発音とともに18号室のドア上部から炎が吹き出し、店内の照明がすべて消えた。店員らは自力消火を断念し店外へ出て119番した。
被告は北側出入り口から店外へ出て逃げようとしていたが、男性客が「あいつが犯人やで」と指さしたことから、店員が被告を連れ戻した。
■争点に対する主張
(1)火災の原因となる放火は被告が行った。
出火元は18号室。鎮火後18号室から発見されたキャリーバッグは上部付近の焼損が強く、再現実験でも短時間で室内から炎が噴出する状況が確認できた。
(2)被告には放火と殺害の故意があった。
トイレや喫煙場所を探した際に店内の構造や他の客がいることを認識し、危険性の高い方法で放火した。店外への避難が難しく、物音や異変に気づきにくい状況も認識していた。犯行後は消火や救命をするそぶりをまったく見せなかった。
(3)被告の自白は信用できる。
逮捕前の警察官による任意の取り調べは適正で、逮捕後も被害者への思いから自白した。
(4)被告には完全な責任能力があった。
【個室ビデオ店放火初公判】被告側は無罪を主張
2009.9.14 12:25
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090914/trl0909141226005-n1.htm
昨年10月、大阪市浪速区の個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」に放火して16人を死亡、4人を負傷させたとして殺人と殺人未遂、現住建造物等放火の罪に問われた小川和弘被告(47)の初公判が14日、大阪地裁(秋山敬裁判長)で開かれた。罪状認否で小川被告は「放火はしておりません」と否認。弁護人は「自殺を企てたことも放火行為もしていない。客に殺意を持っていなかった」として無罪を主張した。
小川被告は逮捕直後に全面的に容疑を認めていたが、その後否認に転じており、公判では自白の任意性も争点になる。
検察側は冒頭陳述で、小川被告が事件直前の昨年9月28日ごろに出会った男性に誘われ、入店したと説明。個室ビデオ店は女性に相手にされない人の来るところと考え、「何でおれ、こんなとこおんねん」「おれは変態ちゃうぞ」と惨めな気持ちになり、男性から預かったバッグに放火して自殺することを決意したと主張した。
さらに、「店内の他の客のことが頭をよぎったが『おれに巻き込まれて死ぬ人、ごめんなさい』と思い、他の客を巻き込んで死なせることも構わないと考えた」と指摘。その後の行動は「においとすすで息苦しくなり、我慢できずに逃げ出した」と述べた。
起訴状によると、小川被告は昨年10月1日午前2時55分ごろ、浪速区難波中の個室ビデオ店で、自殺しようと放火。約240平方メートルを全焼させ、16人を一酸化炭素中毒で殺害、4人にけがをさせたとされる。
公判は集中審理で行われ、取り調べの様子を撮影したDVDの上映や証人11人の尋問、被告人質問などを経て10月15日の第8回公判で結審する見通し。
(関連)
▽ 大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第2回公判 第3回公判
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