Home  > 福島第一原発事故 > フクイチ2号機に注入している毎時9トンの水は今もなお海を汚し続けている。

フクイチ2号機に注入している毎時9トンの水は今もなお海を汚し続けている。

2012/03/27(Tue) 14:27

福島第一原発事故と1986年のチェルノブイリ原発事故を比較するときに格納容器の有無が被害の明暗を分けたかのような議論がある。確かに、格納容器は原子炉で生成された放射能をシャットアウトするために設計に取り入れている。同じレベル7で、フクイチ三炉に対してチェルノブイリ原発は4号機の一炉のみ。なのにチェルノブイリの1/10程度の放射能汚染だと言い切るのだが、その根拠が格納容器の有無である。

sc0003.png
チェルノブイリ事故との比較 - Wikipedia


ヨウ素やセシウムの放射線核種の対比を見ても、福島第一原発の1~3号機の合計ではチェルノブイリ原発事故で放出された放射能の二倍から三倍弱は存在する。生成した放射能の総量でいえば、福島第一原発事故はチェルノブイリを完全に凌駕しているのである。

放射能の放出割合はチェルノブイリ事故の20~60%に対し、2%台なのだが、格納容器が健全だという前提のもと低く設定したのだろう。中でも2号機が最も多く放射能を生成したと公表されているが、1号機2号機3号機の原子炉建屋をぱっと見た感じ、一番放射能漏洩が少なそうなのは、言うまでもなく2号機である。福島第一原発事故で生成された放射能がより多く2号機に存在してくれれば、放出量の鯖を読むことができる。なんて強かな計算があったとは考えたくもないが。

1号機と3号機の原子炉建屋には、放射能の漏出を食い止める遮断能力は、もはや皆無と言っても良いくらいだ。かろうじて蓋は外れていないようだが、格納容器が健全かどうかも疑わしい。放出量2.1~6%というのもメルトダウンを公表する前の数値である。1号機、3号機で生成された放射能は遮られることなく大気中に漏洩し続けることになるだろう。

一番大量に放射能を生成していて、一見して最も健全そうな2号機であるが、先般、とんでもないニュースが飛び込んできた。


福島第1原発:2号機の水位 底部から60センチのみ - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120327k0000m040087000c.html?toprank=onehour

sc0005.png

 東京電力は26日、福島第1原発2号機の格納容器内を内視鏡で見た結果、水位は底部から約60センチしかないと判明したと発表した。原子炉への注水量から東電が予想していた水位より約3メートル低かった。格納容器下部の圧力抑制プールが破損し、原子炉建屋地下に漏れている可能性が高まった。

 内視鏡による調査は今年1月に続き2回目。前回調査では水位が確認できなかったことから、再調査した。格納容器側面にある配管開口部から内視鏡を挿入し、ケーブルを垂らしていったところ開口部から約7メートル下に水面を確認した。

 格納容器内の水温は約48.5~50度で推移していることから、東電は底部に落ちたとみられる燃料は水で冷やされていると判断している。たまった水は透明だったが、黄色い堆積(たいせき)物がもやのように舞っているのが確認された。溶融燃料の可能性は低く、砂やさびとみている。

 水位60センチは、格納容器と圧力抑制プールをつなぐベント管の位置まで水が達していることを意味する。圧力容器には冷却のため毎時約9トンの水を注入しているが、圧力容器下部に開いた穴から格納容器に漏れた水が、圧力抑制プールの損傷部を通じて漏れている可能性が高いという。これまで圧力抑制プールに大規模な損傷はないと主張していた東電は「今の段階で損傷程度を推定するのは難しい」としている。

 ◇高濃度汚染水、海に0.08立方メートル流出か(←註・分かりやすいスピンw)

 また、東京電力は同日、同原発の放射性汚染水の塩分除去装置の配管から高濃度の放射性物質を含む水が漏れ、海に流出したと発表した。漏れたのは約120立方メートルで、うち約0.08立方メートルが流出したとみている。漏れたのは汚染水から取り除いた塩分や放射性ストロンチウムを含む濃縮塩水で、濃度は1立方センチ当たり約14万ベクレル。【岡田英】


毎日新聞 2012年3月26日 21時11分(最終更新 3月27日 1時03分)

--転載ここまで--

(参考)
東京電力が福島原発2号機で今まで注水した水、ほぼ全てが漏洩していることを認める。読売新聞・産経新聞が隠蔽。 | portirland
http://portirland.blogspot.jp/2012/03/2_27.html


つまり、圧力容器に注入していた毎時9トンの水が、メルトスルーした圧力容器底部から格納容器内に漏れ出し、そのほとんどが格納容器外に漏洩してしまっていると今更に白状しているのである。フクイチの1~3号機の中で最も多くの放射能を生成し、その遮蔽性も健全だと思われていた2号機までもが、放射能を格納できていないということが判明したことは重く受け止める必要がある。恐らく東電は今日まで何トンの水が漏れ出したか、全く把握できていないのだろう。言い訳が痛々しい。

最も大量に放射能を生成したと見られていた2号機であるが、建屋内にどれだけの放射能が留まっているのだろうか。2号機の格納容器から漏れ出した水が向かう先は海である。そして、確実に海は汚染されているだろう。

福島第一原発事故の放射能汚染の度合いが、本当にチェルノブイリ事故の1/10程度なのだろうか?再評価する声は、今のところ聞こえてこない。炉内に注入した水が駄々漏れだったことが判明した以上、もうそろそろ認識を改めた方が良いのではないか。このままでは、福島第一原発事故による放射能の放出量が、チェルノブイリ事故の放出量に追いつくのも時間の問題である。


関連記事
スポンサーサイト



Tag:福島第一原発事故 

Category:福島第一原発事故

comment(0trackback(0

コメントの投稿

コメントの投稿
Decoration
非公開コメント


トラックバック

トラックバックURL


▲このページのトップへ