放射線でDNAは破壊され、子孫に受け継がれていく。
2011/11/02(Wed) 06:24
先天性多毛症という病気がある。狼人間シンドローム(症候群)である。この病気は遺伝的なもので親から子に受け継がれていく。現代の医療をもってしても、不治の病である。
狼人間の家系であれば狼人間として生まれる運命にある。

女子供とて容赦無い。


もちろん狼人間シンドロームが発現しない場合もある。一世代飛び越えて普通の親から狼人間シンドロームの子が生まれることがある。狼人間のように顔面毛むくじゃらの人たちが初めて確認されたのは1600年代だという。今現在、狼人間シンドロームの罹病者は世界に40人ほどいるらしい。共通するのは、祖先に狼人間がいたことである。そして親から子へ、子から孫へ、確実に子孫に受け継がれているということである。さらにいえば、狼人間シンドロームを引き起こす遺伝子が性染色体Xの突然変異であるとの研究発表が今年に入って報じられた。原因がわかっていても、遺伝性疾患は特異であればあるほど治療が難しく、現代医学では治すことは困難である。
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ゲノム・DNAは二重らせん構造をした人体の設計図である。

http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/genomemap/
ヒトの2倍体細胞は、22対の常染色体と1対の性染色体、計46本の染色体を持つ。対になった染色体同士は部分的に交換しあい、細胞分裂を繰り返していく。

そして、1~22の対の常染色体と一対の性染色体(XX女XY男)の一つ一つに人体の設計図としての重要な情報が隠されている。例えば、児玉龍彦教授が国会で触れたガン抑制遺伝子p53は17番目の上腕にある。

血糖値を調節するインスリンは11番目で、19番目にはインスリン受動体の設計図が収められている。


4番目にはドーパミン受容体のもとになるタンパク質がある。10番目にあるFASは細胞が自分から進んで引き起こす細胞死(アポトーシス)を誘導する。


このように、染色体46体の一つ一つに人体を織りなす設計図が事細かく収められているのである。
話は変わるが、1~4号機まで見事にぶっ壊れた福島第一原発事故であるが、すでにチェルノブイリを超えてしまっている。
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先月2011年9月に報じられたのは、福島第一原発事故で放出されたセシウムが広島リトルボーイの168倍、なんとチェルノブイリの2倍相当(チェルノブイリは広島原爆の90倍)にあたる量が放出されたことを東電と政府が認めたことであった。少なくとも、チェルノブイリ原発事故を超えるのは確かである。
チェルノブイリ事故で子供に甲状腺がんが顕著に発現しだしたのは、事故から4年が経ってからである。25年後にはどうなったか。ウクライナの隣国ベラルーシでは、健康で生まれる新生児の割合が2割に満たないのである。
チェルノブイリ・ハート | Movie Walker :
http://movie.walkerplus.com/mv48350/
つまり、新生児の五分の一しか健康ではないということだ。
言い換えれば八割が不健康に生まれてくることになる??
加えていえば、チェルノブイリ事故の被害にあった国々では若年層に著しい知力低下がみられるという。チェルノブイリ事故の時、0歳~4歳だった母親が生んだ子供である。そのほとんどが不健康に生まれ、健康児は二割に満たないという現実が原発事故がもたらしたものなのである。
チェルノブイリ事故当事国はソビエト連邦であった。ソ連はチェルノブイリ事故により連邦を解体する必要性に迫れた。チェルノブイリ事故の後始末をウクライナに押し付けることで国家として生き長らえたのである。
原発事故で国は簡単に破綻してしまう。福島第一原発事故はすでにチェルノブイリ事故の二倍の放射能を世界中に拡散させた。未だ収束する気配が見れない福島第一原発の後始末を、日本はどの国にも押し付けることはできない。
DNAが放射線を浴びると一体どうなるのか。否応なく破断されてしまう。

放射線はDNAに著しい損傷を与える。二本のうち一本のみが切断されたのなら、ほとんどは修復されるのだが、二本ともに切断されてしまった場合、染色体に転座や欠失、重複といった突然変異が発現する。放射線によって破断された遺伝子が、似た配列のところにくっついたり、他の番号にくっついたりし、人体の設計図がむちゃくちゃに書き換えられてしまうのである。
DNAが放射線により二本とも損傷を受けたとき突然変異するのだが、ほとんど劣性だという。人体の設計図が書き換えられたDNAは、修復されることはない。正確な設計図を失ったまま細胞分裂を繰り返していくことになる。一つが二つになり、二つが四つになり、倍々ゲームで増えていく。最初は、60兆個のうちの一つのDNAが突然変異してしまっただけだったかもしれない。時が立てば立つほどに、突然変異したDNAの割合が多くなり、間違った設計図が細胞を癌化させたり、免疫力を低下させたり、人の健康を蝕んでいくのである。だから放射能被害は晩発性なのだ。
放射線により人体が受ける影響は線量に比例する。つまり、浴びたら浴びただけDNA損傷の度合いが大きくなるということだ。顕著な例がJCO臨界事故の大内さんである。
東海村JCO臨界事故とは一体なんだったのか
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-226.html
1999年茨城県東海村で発生したJCO臨界事故の犠牲者であるは46体ある染色体全てが木っ端微塵に破断されている。60兆個ある細胞のほとんどの染色体がめちゃくちゃに破断されたのだろう。一瞬で10シーベルト浴びたとされる大内さんは事故から180日、見るも無残な姿で亡くなった。

正常な染色体。

ズタズタに破断された大内さんの染色体。
JCO臨界事故の犠牲者、大内さんは極端な例だ。かといって低線量の放射線を浴びていいとは全く言えない。放射線で傷つけられ突然変異したDNAは確実に子孫に受け継がれていくのである。遺伝性疾患が発現しなくても、子供が発現してしまう可能性があるのである。
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福島第一原発事故がもたらしたチェルノブイリ事故の約二倍という史上類を見ない大量の放射性物質は、確実に体を蝕み、DNAに損傷を与えていく。福島第一原発事故の時、0歳から4歳までだった子は、25年後を迎えて何と嘆けばいいのだろうか。



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Tag:福島第一原発事故
Category:福島第一原発事故
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