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福島第一原発事故の真相に迫る! 3 〈韓国古里原発で相次ぐトラブルと2010年6月フクイチ2号機事故の類似性〉

2011/09/07(Wed) 09:13

2010年6月17日、福島第一原発の2号機で外部電源喪失・冷却材喪失事故が起こった。励磁制御装置の冷却ファンが停止したことを受けて発電機、タービン、原子炉の順に停止。電源切替の際、瞬間的な停電が発生し、結果として30分ものあいだ外部電源を喪失し原子炉水位を2メートル低下させたのである。一歩間違えば大惨事につながりかねない重大な事故だった。311から未だに収束しない福島第一原発事故を予見させるトラブルである。それにもかかわらず事業主である東京電力は人為ミスが原因だと推定。原子力安全・保安院は再稼働を承認。フクイチ2号機は昨年6月の重大事故からひと月後には原子炉運転を再開させたのである。

謂うなれば、これは抜き打ちのスクラム試験であった。1974年から運転開始以来、スクラム試験は何度もこなしてきたはずである。フクイチ2号機は試験の結果、30分間、外部電源を失い、原子炉水位を2メートルも低下させたのである。あわやメルトダウンという醜態を目の前にどうして合格させられるのだろうか。東電は全く事故原因がつかめていなかった。消去法で人為的ミスと推定したのである。

フクイチ2号機は制御システム自体を見直すべきであった。非常用電源の系統を増やし、バイパスをより強化させる対策を講じるべきであった。なれば未だ収束しない福島第一原発事故は最悪の事態を免れたのではなかったか。

抜き打ちのスクラム試験の結果、免許取り消し級の失態をさらしたフクイチ2号機に目をつぶったのは原子力安全・保安院である。どうしたらひと月後に運転再開させることができようか。外部電源喪失事故という一歩間違えれば大惨事につながりかねない重大事故を目の前に人為ミスだと推定し、事実の一切を明らかにしなかった東京電力。さらに、東電が示したお粗末な推定原因を疑いもせず受け入れて、フクイチ2号機の運転をひと月後に再開させた原子力安全・保安院の過失はやはり問われるべきである。


2010年6月のフクイチ2号機事故を受けて、東電が講じた対策は→制御盤に衝撃を与えないよう十分に注意すること&運転員、作業員へ周知すること&系統安定化装置、補助リレーを含めた電子回路を福島第一原発の6基すべてから撤去することであった。作業員が触れたりぶつかったりしただけでショートしてしまう制御盤を、国家沈没すら引き起こしかねない原子力発電所に設置することなど果たしてありえるのだろうか。ちょっと同僚とふざけて手をぶつけました。ショートしました。原子炉がスクラムしちゃった。ふざけるな。そんなヒューマンエラーなど1974年から運転開始したフクイチ2号機で一度たりとも起こっていないことを付け加えておく。

この事故はそんな簡単なことではない。確実に311福島原発事故の布石が置かれたのである。韓国古里原発で相次いでいるトラブルも無関係ではない。


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古里原発二号機


韓国の古里原発がまた運転停止、2号機で送電トラブル―韓国
サーチナ

6月22日(水)11時26分配信

 韓国水力原子力の古里原子力本部は21日、韓国・釜山にある古里原発の2号機で同日、送電トラブルが発生し運転が停止する事故が発生したと明らかにした。複数の韓国メディアが伝えた。

 同本部によると、午前10時30分ごろ、古里原発と新蔚山変電所をつなぐ345キロボルトの送電線に過負荷がかかり、2号機原子炉の稼働が自動的に停止した。送電線3列のうち1列に農業用のビニールが接触し、電気供給が中断したことが原因とみられている。

 同本部は、「送電線1列に0.05秒間、問題が生じたことから、原子炉を保護する継電器(遮断機)が作動し電力供給が止まった」と説明。現在、原子炉は安定した状態にあり、放射性物質が外部へ漏れ出た可能性はないという。同本部は、関連機関と協議をした上で再稼働させる方針という。

 同原発では、4月12日に1号機が電気系統の遮断機故障で運転を停止し、20日には3、4号機が外部電源の供給中断により非常用のディーゼル発電機で電力を供給させるなどのトラブルが発生している。政府は1号機の稼働停止後、精密安全点検を実施して運転に問題がないことを確認。5月6日に運転再開を決定した。

 韓国メディアは「また止まった」「あきれる停止」などと古里原発2号機の停止を伝え、4月と今回起きたトラブルはどちらも軽度の故障が原因だが、老朽化が進む同原発への不安は高まっていると報じた。(編集担当:新川悠)

--転載ここまで--


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今年(2011年)6月、韓国の古里原発2号機で原子炉が自動停止、遮断機の誤作動から外部電源を喪失、非常用ディーゼル発電機で原子炉冷却装置の電力を供給するトラブルが発生した。古里原子力本部によれば、『送電線のうち一列に農業用のビニールが接触したことが原因』だという。ビニールが接触するぐらいで誤作動する制御システムを、国家沈没すら引き起こしかねない原子力発電所に採用すること自体、気違い沙汰である。これはフクイチ2号機同様、別の原因を示唆している。

さらに言えば、同本部は「送電線一列に0.05秒間、問題が生じたことから、原子炉を保護する継電器(遮断機)が作動し電力供給が止まった」とトラブルの経緯を説明している。フクイチ2号機では5~7ミリ秒(0.005~7秒)という極めて瞬間的な異常信号が3回発生し、外部電源側の遮断機をインターロックしたという東電側の調査結果と見事に符合する。311の九ヶ月前に起こった日本での事故と勧告古里原発2号機での事故は原因が極似しているということだ。

事故をささいなトラブルだと過小評価し、再稼働させた経緯もフクイチ2号機とそっくりだ。韓国は事の重大性を全く認識していないようだ。

実は韓国古里原発では今年2011年4月にトラブルが相次いで発生している。韓国は日本の福島第一原発事故を受けて緊急総点検の指示を出していた。その矢先の4月12日、韓国古里原発の1号機は原子炉スクラム→外部電源喪失というトラブルに見舞われる。東電は世界にも情報を出さなかったようである。


古里原発1号機 自動停止
漏電しタービン止まる 釜山

釜山市機張郡の古里原子力発電所(韓国水力原子力所有)の1号機(加圧水型)が12日午後8時45分頃、過剰供給を防ぐ電源装置の故障で運転を自動停止した。その後1号機から白煙が確認された。その様子は福島第一原発事故と似ており、韓国国内では放射能漏出を疑う声が上がった。これに対して政府は「異常なし」と強調している。古里原発は稼働が止まった場合、燃料を安全に冷やすため、自動で蒸気を放出するように設計されている。白煙のように見えるのは水蒸気であり、外部への放出は予見されていたものというのだ。だが、東日本大震災による福島第一原発事故を受け、韓国内の原発緊急総点検を指示していた矢先の事故だけに韓国政府は17日、再稼働を延期し、点検を原発全体に拡大した。(ソウル=李民晧)

韓国古里原発一号0
古里原発一号機

--転載ここまで--


【韓国】19日午後、古里原発4号機に電気系統故障が発生 [04/19] (97)|2chビューアーD
韓国原発で故障相次ぐ、古里4号機は非常発電で稼動
2011/04/19 16:22

【ソウル19日聯合ニュース】
韓国初の原子力発電所、古里原発1号機が電気系統のトラブルで運転を停止している中、4号機にも19日午後、電気系統故障が発生した。現在、非常用のディーゼル発電機で稼働している。韓国水力原子力の古里原子力本部は原発の安全に問題はないとしている。

 古里原子力本部によると、事故は整備中だった古里3号機の電気系統にトラブルが発生。同じ電力線を使用している4号機の電源供給に影響を与えたとみている。4号機の安全には問題がなく、安定的に運転しているという。

 古里3号機は核燃料の入れ替えや主要設備の点検と整備のため、4日から運転を停止していた。

http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2011/04/19/0500000000AJP20110419003300882.HTML

--転載ここまで--


韓国古里原発は韓国で最も古い原発である。福島第一原発と同じく70年代から稼動している。その古里原発は311以降、全4号機ともに外部電源喪失事故を起こしているのである。しかも、これらのトラブルはすべて電気系統故障が原因で発生しているのである。フクイチ2号機外部電源喪失、冷却材喪失事故も遮断機(電気系統)のトラブルから発展している。福島第一原発事故の9ヶ月前に発生したフクイチ2号機事故、さらには今年4月と6月の韓国古里原発でのトラブルはすべての原因が電気系統のトラブルなのである。

ここでは、あえて福島第一原発1~4号機事故には触れないでいる。

古里原発で発生した電気系統のトラブルはすべて遮断機がからんでいる。おそらく、韓国原子力本部は、トラブルの原因がフクイチ2号機で撤去された系統安全化装置と同等の設備だと見なしたのだろう。フクイチ2号機と同様に、古里原発でも電源系統システム自体を見直す方向性は示しておらず、東電のとった対策と同じで、補助リレーを撤去、もしくは交換する方向を打ち出している。日本と同じ轍を踏んでしまいかねない不気味さがある。

統一日報 : 古里原発1号機停止 原因はスイッチ部品の破損

さらに古里原発4号機のトラブルに注目したい。フクイチ2号機と同じく、外部電源のバイパスが無効化された中で発生しているのである。

フクイチ2号機はA系統が隣の一号機から、B系統は新福島変電所から夜の森線2号線の27号鉄塔を介して送電される仕組みであったのにも関わらず、事故当日は一号機が定期点検で発電していなかった。よって2号機のA系統は一号機の送電線を介して、B系統と同じく新福島変電所から外部電源を受電するよう変更され、バイパスが無効化されていたのである。

福島第一原発事故の真相に迫る! 2 〈フクイチ2号機事故の推定経過と撤去された系統安定化装置〉
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-313.html

2010年6月のフクイチ2号機事故と韓国古里原発で相次いだトラブルは電源系統のトラブルという事故原因が共通している。さらに韓国古里原発でのトラブルを古里原子力本部は矮小化し軽微な故障として原子炉の再稼働させている。抜き打ちのスクラム試験としては合格かもしれない。しかし重要なのは、なぜ外部電源が喪失する事態に陥ったのか、解明することである。制御システムを根本から見直すべく事態を過小評価するのは311を経験した今、極めて犯罪的に見える。




フクイチ2号機事故を軽視した日本は事故原因を何一つ解明することなく、人為ミスとの推定に対策を講じた。制御盤に『触るな!』と注意勧告を張り紙して回った。古里原発も、真の原因を追求することなく、送電線にビニールがかかってもショートしないようにカバーを掛ける等の対策を講じるだろう。繰り返すが、ビニールがかかったぐらいでショートする送電線を取り入れていること自体気違い沙汰である。そうだろう?

311の九ヶ月前に発生したフクイチ2号機の外部電源喪失、冷却材喪失事故を極めて矮小化し、事故の原因解明を忌避していた東電と、再稼働を黙認した保安院が前代未聞の原発事故の土台を築いたのは確かなことであり、悲惨な未来が確定した日本を教訓に原子力政策そのものを見直すべきである。

外部電源喪失を軽視した結果、311クライシスが原発事故を引き起こした。韓国はなぜフクシマを我が身に置き換えないのか。東電と原子力安全・保安院が見せつけた隠蔽体質は世界共通なのか。事故を起こした後に反省していますと頭を垂れればいいという話ではない。原発の危険性を軽視していなければ、福島第一原発事故は最悪の事態を招かずにすんだのかもしれないのである。

福島第一原発事故の真相に迫る! 1 〈2010年6月17日フクイチ2号機事故とベント隠し〉

このままなんの対策も講じず古里原発を稼働させていれば、韓国は日本と同じ目に合うだろう。天災(を装ったテロ)から原発事故を引き起こすクライシスを呼び寄せてしまいかねない。誰がそんなことを望むというのか。今からでも遅くない。フクシマを教訓に制御システム自体だけでも根本的から見直すべきではないだろうか。


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Tag:福島第一原発事故 

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