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布川事件にみる冤罪の構図

2011/06/02(Thu) 13:24


http://youtu.be/P9XvgJvbj2U


今年2011月5月24日、布川事件の犯人とされた桜井昌司さんと杉山卓男さんに無罪が言い渡された。桜井さん杉山さん共に29年間の服役を終えており、43年間の雪辱がようやく果たされたということだ。

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市橋達也の初公判が7月4日に控えていることもあり、市橋の裁判にかかわる、裁判員を含めた法曹関係者に一縷の望みを託し、布川事件に触れたいと思う。


布川事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%83%E5%B7%9D%E4%BA%8B%E4%BB%B6

布川事件のホームページ
http://www.fureai.or.jp/~takuo/fukawajiken/


布川事件は43年前に発生した茨城県利根町布川を舞台にした強盗殺人事件である。布川事件の犯人とされた二人は近所でも評判の札付きのワルだったという。二人は窃盗、傷害で各々別件逮捕され、強盗殺人を犯したことを立証する直接証拠がなく、捏造編集改ざんされた自白をもって無期懲役が下された。そして、78年に最高裁判決で無期懲役が確定、二人は96年に出所している。禊を済ませた後、二人は名誉にかけて立ち上がり、最高権力組織の人権蹂躙に牙を向いたのである。冤罪事件の被害者である足利事件の菅谷さん、狭山事件の石川さん、元大阪高検の三井環氏、仙波敏郎氏、大河原氏、黒木昭雄氏と同じシンパシーを覚えている。

布川事件の冤罪被害者である二人は最高権力たる治安当局の権力犯罪を糺したいために、結果として今日の無罪判決があるのだろう。布川事件というのは冤罪事件の典型パターンであり、この事件をケーススタディすれば冤罪の構図が見えてくる。


■ 弁護団の動きから冤罪が見えてくる。

冤罪事件を掘り起こせば、被告(依頼者)の最大利益を考え弁護する支援者であるはずの弁護人が、証拠がない検察に協力するような動きを見せる。


布川事件:再審無罪 弁護団、控訴断念申し入れ「検察、新たな立証ない」 /茨城 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20110526ddlk08040192000c.html
---------------------------------[抜粋]
 ◇捜査関係者ら心境複雑
「犯人にでっちあげようとしたわけではない」「弁護士がしっかりしていれば(当初から)無罪だった」。再審無罪判決で「誤り」を指摘された形になった当時の捜査関係者や裁判官は、複雑な心境を語る。

80年代の第1次再審請求を退けた元裁判官の男性は「無罪にはなるだろうと思っていた」と話す。00年代の第2次再審請求審で証拠開示された「現場前で別人を見た」という近所の女性の証言が再審開始の決め手になっている。「弁護士がしっかりしていれば1審から無罪になった可能性がある」とも言う。(後略)
---------------------------------[抜粋]


弁護人が減刑を争点にせず、初公判から当局の証拠捏造、編集改ざんを争点にしていれば、布川事件の二人は災難を免れた可能性があったとも聞こえてくる。冤罪事件の根幹にある”不可解な弁護人の動き”に言及していることは重要だ。

弁護人が検察の被疑事実を疑わず証拠認定に同意する傾向は、当局が捏造、編集改ざんした証拠が裁判の争点にならないようにするためだと考えている。国選弁護人を選任すれば資金的な面もあるだろう。担当の被告が無罪を主張しても、事実関係を調べるのには費用がかかる。弁護人は手弁当持ち出しで無罪の証拠を集めなければならない。現状を言えば、そこまで気骨がある弁護士はごく僅かであろう。


■ 検察、弁護人、さらに裁判所までが有罪に追い込む。

さらに見えてくるのは、検察が見立てた虚構を疑いもせず、切り貼りされた録音テープすら証拠採用してしまう裁判所側の問題であるし、検察の嘘を見破れないのか意図して騙されているのか分からないが、起訴された案件の有罪率99%を誇る裁判所の裁定にも問題はある。


布川事件:無罪判決 誤審原因究明に対しては「無言」 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110525k0000m040119000c.html
---------------------------------[抜粋]
閉廷後、桜井さん、杉山さんと弁護団は記者会見し、「やっと念願がかなった」とほっとした表情を見せながらも、「何か言うことないですかと言いたかった」(桜井さん)、「証拠を隠した検察。だまされた裁判所。私は許しません」(杉山さん)と怒りもあらわにした。
---------------------------------[抜粋]

検察に協力的な弁護人の弁護活動に加え、裁判所を検察の証拠捏造に目を向けないのも問題である。99%が有罪になる日本の裁判事情は有罪無罪を争わない三位一体の構造がある。起訴事実を疑わず有罪の裁定を下してきた裁判所判断も看過できないものがある。


■ 証拠の捏造編集改ざんすら厭ず、被疑者有利の証拠を徹底的に握り潰す検察の職権濫用行為



http://www.ustream.tv/recorded/14782249



「検察は証拠を隠すな」 布川事件無罪の2人が批判 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110528/trl11052821470001-n1.htm
---------------------------------[抜粋]
昭和42年に茨城県で起きた布川事件で、強盗殺人罪に問われて無期懲役が確定後、再審判決で無罪を言い渡された桜井昌司さん(64)と杉山卓男さん(64)が28日、大阪市内で開かれた大阪弁護士会主催のシンポジウムに出席。不都合な事実を開示しない検察の「証拠隠し」が刑事司法の一番の問題点だと指摘
[中略]
無罪の証拠が再審段階まで開示されなかったことを踏まえ、桜井さんは「検察官による証拠の独占をやめさせなければ」と批判。杉山さんも「一番の問題は証拠を隠すこと。裁判官が法廷での証言を重視してくれれば、冤罪はなくなると思う」と話した。
---------------------------------[抜粋]

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■ 布川事件と類似する足利事件のプロセス

死刑無期の裁定からの再審無罪になったのは布川事件を含めて7件だという。直近は足利事件の菅谷さんであった。

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足利事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%B3%E5%88%A9%E4%BA%8B%E4%BB%B6

足利事件とは
http://www.watv.ne.jp/~askgjkn/frmasikagajiken.htm

足利事件、DNA型一致せず 東京高裁再鑑定、再審の公算 - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/200904/CN2009042001000881.html

足利事件の無罪判決に関する会長談話-栃木県弁護士会
http://www.tochiben.com/topics/topics.php?id=143


本人が無罪を訴えているのに、弁護人が検察の捏造編集改ざんされた証拠を認め裁判で情状酌量を訴える。つまり、有罪無罪で争わず、起訴罪状を認め、量刑を減らすよう弁護する傾向がある。足利事件も同様である。


足利事件の問題点
http://www.watv.ne.jp/~askgjkn/jikenmon.htm
---------------------------------[抜粋]
① 一審《宇都宮地裁》では、事実調べが一切行われなかった。一審弁護人は、最初から菅家さんを犯人だと信じ込んでおり、そのため事実関係を争わず、検察側の証拠をほとんどすべて認めてしまった。従って一審では、現地調査などの事実調べがまったく行われないまま、DNA鑑定の証拠能力のみが争われた

② 従って、一審、二審、上告審を通して、どの裁判所も現地調査などの事実調べを一切行わないまま、判決を下した

③ 被告人は取り調べの恐怖から、一審前半まで公判廷でも自白を維持せざるを得なかった。一審途中、一旦否認に転じたが、情状酌量の弁護方針で臨む一審弁護人により上申書を書かされ、自白を維持させられた。その後再びしっかりと否認に転じたが、一審弁護人は事実を調べなおすことをまったくしなかった(現地調査をすれば、自白との多くの矛盾点がすぐに見つかったはずなのに)。
以下省略)
---------------------------------[抜粋]

市橋達也の冤罪検証・事実調べを争点にしなければ足利事件の前轍を踏むだけだ。 

■ 無罪が確定すれば、刑事補償は支払われる

布川事件は第二次再審を経て無罪判決が下されたわけだが、控訴期限の6月8日まで検察が控訴しなければ、無罪は確定する。そして、布川事件の二人には当然、刑事補償が支払われることになる。


菅家さん(足利事件)へ刑事補償8000万円 拘束17年半、6395日分|弁護士☆カピバラの「勇往邁進」
http://ameblo.jp/lawyer-yusuke/entry-10767616526.html


菅谷さんは8000万円を手に入れたのだが、一年450万円で計算すると二人に支払われる被害弁済は1億3000万円くらいか。失われた時間に相応しい金額かどうかは当方に分からない。検察が控訴するには控訴理由に足る理由と立証をしなければならないのだが、43年前の事件であり、新たに出てくるのは警察が証拠を捏造、改ざん編集した証拠ばかりだ。これ以上悪あがきは止めて欲しいと思う。


■ 市橋達也を冤罪視する理由

リンゼイ・アン・ホーカーさん殺人死体遺棄事件の市橋達也の悪徳弁護団が見せてくれているのは冤罪事件の弁護人が容疑者に不利に動く典型パターンそのものである。市橋達也の無罪を証明しかねない証拠を争点にせず、完オチ騒動、謝罪の手紙騒動、手記本出版騒動と、裁判の争点にならないにもかかわらず有罪の心証を与えるような事象の火付け役であるのは事実である。とくに胡散臭いのが直近の騒動である手記本出版騒動であり、極端な話、『推定無罪』の立場の人間に民事訴訟、被害賠償請求が成立するわけがない。なのに弁護団は代理人を通じて被害者遺族の被害弁償に充てると公言している。親告罪である強姦を主張する事自体、意味不明なのだが、市橋を包囲する悪徳ベンゴダンは見事に『有罪を確定させるべく追い詰める』構図を見せている。ここに市橋達也を冤罪視する理由がある。


市橋達也の冤罪検証・弁護団の本性と本山直樹名誉教授の関係性1 

市橋達也の冤罪検証・直腸測定の記録は隠蔽されていた~でっち上げられた供述調書

市橋達也の冤罪検証・"完オチ騒動"を主導したのも悪徳ベンゴダン

市橋達也の冤罪検証・手記本出版の真の目的は目撃情報の既成事実化 

市橋達也の冤罪検証・印税収入を拒否する怪 



[怖い噂 vol.9]でリンゼイ事件の疑惑を検証
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-232.html


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Tag:冤罪 

Category:考察シリーズ

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