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東海村JCO臨界事故とは一体なんだったのか

2011/04/20(Wed) 21:53


福島第一原発・三号機の爆発。一号機とは違い、三号機ではMOX燃料が使用されている。



1999年9月30日、茨城県那珂郡東海村に所在する住友金属鉱山の子会社の核燃料加工施設、株式会社JCOの核燃料加工施設内で、核燃料を加工中に、ウラン溶液が臨界状態に達し核分裂連鎖反応が発生、この状態が約20時間持続した。これにより、至近距離で中性子線を浴びた作業員3名中、2名が死亡し667名の被曝者を出した。これがいわゆる東海村JCO臨界事故、別名・バケツ臨界事故である。

東海村JCO臨界故は、高速増殖炉の研究炉「常陽」用核燃料を加工する中間工程で、JCOのずさんな作業工程管理により、ウラン溶液が臨界状態になり、中性子線等の放射線が大量に放射されたものであるが、このときまでの日本の原子力産業において死者をだした始めての事故であった。国際原子力事象評価尺度はレベル4で、事業所外への大きなリスクを伴わない事故と認知された。レベル7はチェルノブイリ事故と福島第一原発事故。

ウラン化合物の粉末を溶解する工程では、国の管理規定に沿った正規マニュアルでは、ウランの粉末を硝酸で均一に溶かすために使用する臨界管理されたタンク、「溶解塔」を使用するのだが、事故当日のJCOではステンレス製のバケツを用いた手順で作業が行われていた。ウラン製品を均質化する作業でも、通常は臨界状態に至らないよう形状制限がなされた容器を使用するのだが、このときは背丈が低く内径の広い、冷却水のジャケットに包まれた容器を用いていた。

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これらにより、濃縮度18.8%の硝酸ウラニル水溶液を不当に大量に貯蔵した容器の周りにある冷却水が中性子の反射材となり溶液が臨界状態となり、大量の放射線が作業員を直撃することになる。


放射線のイメージ。他にもガンマ波とかは目に見えないがびゅんびゅん出ているらしい。

この時、作業に当たっていたのが大内久さん(当時35歳)であった。大内さんは事故から83日後に多臓器不全で死亡するのだが、その記録が以下の動画である。













一言、悲惨である。大内さんが推定16-20シーベルト以上を被爆したとされている。その結果、染色体が破壊され、新しい細胞ができなくなり、やがては死に至るのである。大内さんと一緒に作業をしていた篠原理人さん(当時40歳)推定6-10シーベルトを被爆し、事故から211日に死亡した。同様に目も当てられない状態であった。

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大量の放射線を被爆した結果、身体のあらゆる部分が再生されなくなり、最先端医療も為す術が無いまま、死すことしかできなくなるのである。

福島第一原発事故と東海村臨界事故を比べるというのも極端かもしれない。だがしかし、「安心です。安全です。ただちに影響はありません」としたり顔で言ってのける日本国政府は極端かもしれないが東海村臨界事故の大内さんや篠原さんのケースをも考えなければいけないのではないか。

チェルノブイリ事故の死者というのは公式発表は4000人だという。だが、それは原発を世界中に推進したいWHOとIAEAの極めて矮小化した数字を根拠にしている。本当の死者は100万人はいるという。当方は、どうみても後者が真実だとしか思えない。



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はだしのゲンのヒトコマ。被爆により、致命傷を負った人たちが水を求めて川に積み重なったという。

今、僕らは福島第一原発事故という、四つの人類絶滅爆弾を目の当たりにしている。今、福島原発では、原子炉格納容器の爆発だけは避けようと多くの人が必至に作業に当たっている。今は原子炉に水をかけ、容器自体を冷やすことしか手立てはない。注水を止めれば、すなわち原子炉の爆発が待っている。

福島原発事故の内部で作業する人に対し、一年間に受ける放射線量の限度はこれまで100ミリシーベルトだった。今後さらに250ミリシーベルトまで引き上げるという。愚かしいことに、福島原発事故の作業員だけに通常の250倍の放射線量が許容されると、国が勝手に決めてしまったのである。人の年間被曝線量限度は1ミリシーベルトであるというのに、このあからさまな差別は一体なんなのか。


福島第一の作業員、被ばく線量限度引き上げ
http://www.news24.jp/articles/2011/03/16/07178558.html
< 2011年3月16日 18:03 >

 東日本大地震による福島第一原発の事故を受けて、厚労省は、この原発の内部で作業にあたる人に限り、一年間に受ける放射線量の限度を現在の100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに特例的に引き上げた。

 厚労省によると、緊急作業にあたる作業員に認められる放射線量の限度は年間100ミリシーベルトで、福島第一原発の作業員は15分程度で交代する必要があるが、一人当たりの作業時間を延ばすために、やむを得ない場合に限り、年間250ミリシーベルトに引き上げることを決めた。

 引き上げについて厚労省は、国際放射線防護委員会(ICRP)が「重大事故の際、年間約500ミリシーベルトを超えないようにすべき」と勧告していて、それより低い基準にしたと説明している。

[転載ここまで]


ちなみに、福島原発原子炉建屋内に潜入したロボットが計測した値は毎時250ミリシーベルトである。毎時である。福島原発事故にあたる作業員の放射線量限度一年分を一時間で被爆する量である。というか、毎時250ミリシーベルトを一年間放射し続けるとすれば、250×24(時間)×365(日)=2190000ミリシーベルト・・・2190シーベルトでいいんですかね。そんなわけないですよね。


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311東日本大震災の本当の目的は5000億円分の軍用機だった!なんてオチは聞きたくない・・・

311東日本大震災を乗り越えた後、福島第一原発事故が待っていた。一号機から四号機まで原子炉建屋が爆発で吹っ飛んでしまうという未曽有の大惨事は見通しが全く経っていない。政府や御用学者たちが声高に「安全です。安心です」と叫んでいるが、何を根拠に言っているのか甚だギモンだ。チェルノブイリ事故で何を学んだというのだろうか。

かつて日本は広島に、そして長崎に原子爆弾が投下された。そして計30万人の命が消えていった。二つの爆弾が残した記憶は、けして記憶から消し去ることはできないのである。非核三原則に日本人は平和を願い託した。その裏で日本列島を包囲するように原子力発電所は建設されていった。このダブルスタンダードを今こそ疑うべきである。もう、「しょうがない」で済ます時ではないのである。



【おまけ】
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