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原発事故を起こすのに『想定外の津波』はいらない。 2 RCIC手動起動と原子炉水位低L-2のトリガー外し
2012/07/28/(Sat) 00:34
福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。原発事故を起こすのに『想定外の津波』はいらない。
311クライシスの9ヶ月前、フクイチ2号機で外部電源喪失事故が発生した。原子炉トリップした後に外部電源が30分失われ、原子炉水位を2メートル低下させたものである。L-2まであと40センチであった。
そして、このフクイチ2号機外部電源喪失の際、運転員はRCICを手動で起動させている。
http://skazuyoshi.exblog.jp/12974707/
●「福島第一原発2号機 原子炉外部電源全喪失事故」に関するレポート
6.17/7.9東電本社ヒアリングをもとに
2010.7.15 東京電力と共に脱原発をめざす会
1.事故の概要
・今回の原子炉「自動停止」は、10.06.17(14:52頃)発電機界磁遮断器「トリップ警報」に始まり、「発電機」「タービン」「原子炉」の順に自動停止した。
・しかし、その後外部電源に切り替わらなかったため、外部電源全喪失の事態となった。
・これを受けて、ただちに非常用ディーゼル2基が自動起動し、非常用交流電源は回復した。
・運転員は原子炉トリップによる原子炉水位の低下に備えて、タービン駆動による隔離時冷却系(註・RCIC)を手動起動した。水位は14:53頃-800mm(註・原子炉水位低の40センチ上。通常運転時の水位より2メートル下がった位置だと思われる。)に達し、そのまま横ばいで推移し14:58には水位回復した。
---------------------抜粋
同様に、福島第一原発事故の際、2号機と3号機はRCICを何度も手動で起動させている。


事故時運転操作手順書には、『積極的にRCICを手動で起動せよ』とはどこにも書かれていない。むしろ、『RCICは自動で起動するから、その確認をせよ』と書かれている。
http://www.nisa.meti.go.jp/earthquake/manual/1f-2/2u-1-04.pdf

給水喪失事象
なぜ、運転員はRCICの自動起動を待たずして、手動で起動させたのか。
運転員のスタンドプレーなのか。
RCICの自動起動は原子炉水位低L-2であり、同様に、HPCIの自動起動も原子炉水位低L-2である。つまり、RCICの自動起動を待っていたら、同時にHPCIも起動してしまうのである。

HPCIを起動させたくなかった。RCICを手動で起動させたことは、ただ、この一言で説明できてしまう。
HPCIはRCICの吐出量の10倍である。配管の口径も素材の厚みもHPCIの方が上だ。冷水が流入した時に受ける影響は計り知れない。
福島第一原発の1号機と2号機はHPCIが一切動いていない。唯一起動した3号機は、翌12日HPCIが原子炉水位低により自動起動したのち、原子炉圧力がみるみるうちに抜けていき、HPCIを停止した(弁を閉めた)のちに原子炉圧力は上昇した。
フクイチ2号機の外部電源喪失事故の際、運転員がRCICを手動で起動させたのも、フクイチ事故で2号機と3号機で何度もRCICを手動で起動させたのも、HPCIを起動させたくなかったからだとしたら説明が付く。
さらに、もう一つ。
311クライシス本震時、HPCIを起動させないために、原子炉水位低L-2のトリガーは外されていたのではなかったか。2号機のプロセス計算機データに、その明確な証拠がある。
原子炉水位低(L-2)

RCIC起動信号・注入弁開

まず、一枚目が原子炉水位低(L-2)のプロセス計算機データである。二枚目がRCICの起動信号と注入弁開のプロセス計算機データである。原子炉水位低L-2がOFFからONに切り替わったのが311の本震直後であることに注目して欲しい。それ以前は、OFFの状態。つまりトリガーが外されていたのである。そして、原子炉水位低L-2がONに切り替わったあと、RCICの起動信号がONになっている。原子炉水位低が”ON”に切り替わっていないとRCICは起動しない仕組みであるならば合点がいく。
さらに、原子炉水位低は15時30分にOFF、そして10分後にONになっていることに注目したい。これはRCICが原子炉水位高でトリップしてしまい、再起動させるために原子炉水位低の自動起動信号を入れなおしたとすれば矛盾はない。
本来ならばONであるはずの原子炉水位低の自動起動信号が、311本震前まで外されていたのは、はたしてなぜなのか。原子炉水位低L-2の自動起動信号でRCICが自動起動するとともにHPCIも起動してしまうからではなかったか。HPCIが流入させる常温水が、300℃近くにまで熱せられた脆性劣化著しい圧力容器や周辺配管に猛烈な熱衝撃を与え、致命的な破壊をもたらすことを恐れて、意図的にトリガーを外していたのではなかったか。
311の九ヶ月前のフクイチ2号機外部電源喪失事故の際、運転員がRCICを手動で起動させたのも、311本震直後、2号機3号機のRCICが手動で何度も起動されているのも、2号機のプロセス計算機データに示される『原子炉水位底L-2のトリガー外し』をも考えれば、HPCIを起動させたくなかったことは明白であり、福島第一原発事故の当事国である日本が、国家的責務として世界に発信しなければいけないのは、重要安全装置であるHPCIが起動してしまうと300℃近い原子炉に冷水を浴びせることになってしまい、脆性破壊を引き起こす可能性があるということではなかったか。経年数を経たプラントであればあるほど、過酷事故に発展しかねないと警鐘を鳴らすべきではなかったか。愚かしくも原発を再稼働させたりせず、世界中の高圧注水系を採用している原発プラントを使用禁止にするべく、声を上げるべきではなかったか。
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Category:福島第一原発事故の真相に迫る!
原発事故を起こすのに『想定外の津波』はいらない。
2012/07/27/(Fri) 10:38
福井県の大飯原発3号機に続いて、大飯原発4号機もフル稼働を始めた。3号機は1991年12月運転開始。4号機は1993年2月運転開始。経年数20年そこそこと、比較的若い原発ではあるが、断層検査、免震重要棟の建設、ベント設備の増設などなど、取るべき対策を後回しにした再稼働は拙速である。
大飯原発の2基のほかは再稼働の見通しは立っていないというが、伊方原発3号機(1994年運転開始)の他、泊原発1号機(1989年運転開始)2号機(1991年運転開始)、川内原発1号機(1984年運転開始)2号機(1985年運転開始)、高浜原発3号機(1985年運転開始)4号機(1985年運転開始)は再稼働の有力候補であるという。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120725/k10013828761000.html
7月25日 1時34分
大飯原発3号機と4号機が、共にフル稼働に達した一方で、国内のほかの原発は暫定的な安全基準の見直しや新たに判明した活断層を巡る議論の影響で再開の見通しは立っていません。
原発の運転再開の判断の前提となっているストレステストを巡っては、これまでに大飯原発の2基のほかに合わせて21基の結果が国に提出されています。
国の原子力安全・保安院は、このうち愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機については、ことし3月、審査を終えたほか、北海道電力の泊原発1・2号機、鹿児島県にある九州電力の川内原発1・2号機、それに福井県にある関西電力の高浜原発3・4号機について、来月中に一定の審査結果の取りまとめを目指しています。
しかし、9月に原子力の安全規制を一元的に担う新たな規制機関が発足すれば、ストレステストを含めて、原発の運転再開を判断する暫定的な安全基準が見直される予定です。
また、ストレステストの審査が進む石川県にある北陸電力の志賀原発1号機と2号機を巡っては、国の専門家会議で、1号機の地下を走る亀裂について活断層の可能性が高いことを指摘する意見が相次ぎ、保安院は、活断層かどうか結論が出るまで、志賀原発についてストレステストの審査結果を取りまとめない方針を示しています。
このため、大飯原発3号機と4号機のほかの原発は運転再開の見通しは立っていません。
こうした状況のなか、原発の運転再開に反対する声が過去に例のないほど高まっています。
今月16日には、東京・代々木公園で市民団体や労働組合だけでなく、ツイッターの呼びかけなどで集まった一般の人たちが参加して、過去最大規模の抗議集会が開かれました。
また、毎週金曜日には、東京の総理大臣官邸前での抗議活動が続き、政府に対する批判が増していて、運転再開に向けた道のりは一層不透明になっています。
--転載ここまで--
大飯原発2基の再稼働を断行した関西電力は続いて高浜原発3、4号機再稼働させようと躍起になっている。真夏の電力需給に足りないからと計画停電を実施する政府を脅し、停電によって自宅で生命維持装置につながれた弱者を死なすわけにはいかないと、政府は大飯原発の再稼働を認めたわけだが、些か調子づいてる感は否めない。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/390331.html
(07/25 12:59)
大飯原発4号機がフル稼働に達した25日、関西電力の八木誠社長が、“次の再稼働”について「高浜3、4号機が最有力」と発言した。時期は明言しないものの「(国には)できるだけ審査を早くしてもらいたい」とも口にし、電力会社トップの前のめりな姿勢を見せた。
関電は、大飯原発3、4号機を含め八つの原発の安全評価(ストレステスト)の1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出している。
福井県おおい町で25日午前に取材に応じた八木社長は「電力需給ではなく、わが国のエネルギーセキュリティーを考え、安全性を確認できたプラントはできるだけ早く動かしていきたい」と強調。
--転載ここまで--
関電会長「社長発言おかしくない」 高浜原発再稼働へ意欲-北海道新聞[道外]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/390704.html
(07/26 17:21)
関西電力の森詳介会長は26日、八木誠社長が大飯原発4号機(福井県おおい町)の次は高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働が最有力だと発言したことに関し「おかしいことは言っていない」と述べ、社長の発言を追認した。東京都内で記者団の取材に答えた。
森会長は「高浜3、4号機は大飯3、4号機に続いて安全評価(ストレステスト)が進んでいる」と指摘。原発の安全性は政府が9月発足を目指す原子力規制委員会などが議論することを指摘した上で「安全が確認されれば動かしたいのは当たり前だ」と述べ、再稼働の実現に意欲を示した。
--転載ここまで--
安全性うんぬんの前に、高浜原発3号機、4号機はMOX燃料が装填されるプルサーマル炉だ。すでにストレステストの審査を終えた伊方原発3号機もプルサーマル炉である。核燃料サイクルを成立させるためにMOX燃料をもやしたいとする原子力村の思惑が透けて見えるようであるが、プルサーマル炉の再稼働を国が認めるか否かが一つの目安になる。老朽化した原発の再稼働に踏み切るかどうかの目安である。

福島第一原発の1号機は1970年運転開始、2号機は1974年運転開始、3号機は1976年運転開始、経年数30年を超えた古参の原発であった。福島原発事故の教訓として、30年以上運転している原発は稼働させてはならないはずである。もし、政府がプルサーマル炉の再稼働を認めてしまったら、なし崩しに老朽化した原発をも再稼働させる流れになるだろう。そうなった時、第二のフクシマを覚悟しなければならない。
津波、地震(天災)、事故直後の東電や政府の事故対応(人災)、福島第一原発事故は複合的な要因でもたらされたものであるが、当方が調べた限り、先日報告書を出した国会事故調も政府事故調も2つの問題について口を閉ざしている。先のブログエントリでも触れたECCS起動による脆性破壊と外部電源喪失である。
ECCS起動による脆性破壊については、実際に、スクラム直後に起動したICにより、再循環ポンプの配管は温度差150℃を記録している。2号機3号機はともかく、1号機は津波襲来を待たずして壊れていたはずだ。40年もの間、中性子照射され脆性劣化した配管が一瞬にして百数十度冷却されることに耐えられるとは到底思えない。3号機もHPCIが起動した直後から炉圧がみるみる抜けていった。本来ならば、緊急炉心冷却を行う重要な安全設備であるはずのHPCIが、超高圧高温の炉心に冷水を浴びせてしまい、逆に致命的な破壊を生じさせてしまうのである。
福島第一原発事故は想定外の津波が原因ではなかった。
福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。
外部電源喪失については、マサチューセッツ工科大学大学院の原子力工学科の工学博士号を取得している大前研一が次のように明言している。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20120723/316908/?ST=mobile&P=3
福島第一原発事故を防げなかったのは外部電源がすべて崩壊したからである。原子炉の場合、外部電源がすべて失われると非常用電源が起動するが、1~4号機に関しては非常用電源も津波ですべて失われた。しかし外部電源が一系統でも生き残っていれば(空冷の非常用ディーゼル発電機が1機だけ生きていた)5~6号機のように冷温停止まで持ち込めた可能性が大きい。
つまり究極の事故原因は外部電源がすべて崩壊したことであり、それに対する対策を打ってこなかったのは原子力安全委員会の「外部電源の長期喪失は考えなくてもいい」という指針があったからである。
--転載ここまで--
福島第一原発事故では、1号機2号機3号機(4号機)の全てが外部電源を喪失させている。1号機2号機に関しては、1、2号機兼用の超高圧変電所が地震で碍子が落下し壊れたことが原因だとはっきりしているのだが、問題は3号機である。3、4号機兼用の超高圧変電所は津波の浸水で外部電源供給不能に陥るのだが、スクラム直後に『所内切替失敗』で外部電源を喪失させているのである。3号機の運転日誌には『原因不明』だとはっきり書かれている。
福島第一原発事故の真相に迫る!!7 〈津波でなく、地震でなく、事故を決定的に悪化させたのは外部電源喪失である。〉
3号機がスクラム直後に外部電源喪失した原因については、『所内切替失敗』した、311クライシス九ヶ月前のフクイチ2号機外部電源喪失事故と同じケースであると指摘しておく。フクイチ2号機の事故では警報トリップにより原子炉スクラム停止、外部電源を30分喪失させた。インターロックが原因で所内に外部電源が引き込めなかったことが原因である。30分の間、原子炉水位は2メートル低下、注水系のECCSが自動起動する原子炉水位低L-2まであと40センチに迫っていた。
警報トリップに至った原因も、外部電源を喪失した原因も、何一つはっきりしたことは不明であった。だがしかし、東電はヒューマンエラーと決め付け、制御盤に『絶対触るな』と貼り紙をし、系統安定化装置をフクイチの全プラントから撤去した。そもそも原発に作業員が触れただけでスクラム停止させてしまう機器を導入している事自体おかしな話であるが、フクイチ2号機は何事もなかったかのように一月後に運転再開している。外部電源30分間の喪失で、原子炉水位を2メートル低下させてしまうことを知っていれば、『外部電源の長期喪失は考えなくてもいい』という原子力安全委員会の指針は正気の沙汰とは思えないし、犯罪的な過失と言わざるをえない。
長年の中性子照射によって脆性劣化した原子炉の素材。超高圧高温の炉心に冷水を浴びせるHPCI。さらに、外部電源喪失があれば、原発事故を起こすには『想定外の津波』など必要ないのである。
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Category:福島第一原発事故の真相に迫る!
核燃料サイクル“迷走”の軌跡
2012/07/24/(Tue) 18:58
ETV特集 核燃料サイクル 迷走の軌跡 (前) 投稿者 NoNukesAfter311
20120617 ETV特集「核燃料サイクル“迷走... 投稿者 PMG5
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福島第一原発1号機で計測された最大線量は毎時10シーベルトではなく、本当は毎時10万シーベルトである。 2 核燃料デブリをモロに計測してしまった可能性
2012/07/17/(Tue) 16:23
今回のブログエントリは、福島第一原発1号機で計測された最大線量は毎時10シーベルトではなく、本当は毎時10万シーベルトである。の続きである。
先月(2012年6月)末、福島第一原発1号機の原子炉建屋地下で毎時1万300ミリシーベルトが検出された。毎時1万300ミリシーベルト≒毎時10シーベルト。20秒で高放射線被曝の急性症状が出る50ミリを浴びてしまう。極めて高線量であり人が近づくことなど出来るわけがない。
ところが、東電のプレスリリースには恐るべき事実が書かれていた。計器故障でノーカウントになっているが、なんと毎時10万シーベルトが検出されていたのである。

確かに毎時10万シーベルトという数値は、計器故障でなければ説明できるものではない。さもなくば、再臨界だ。数秒数分浴びただけで致死量に達する線量は、臨界による中性子でなければ説明できない。というのが、前回の問いかけであった。今回は、もう一つの可能性を示しておきたい。
溶融して格納容器底にたまった使用済み核燃料のデブリ(溶けた塊。溶岩みたいなやつ)の一部をもろに検測してしまった可能性である。
原子炉が冷却機能を失い、燃料棒がむき出しになってしまうと、溶けはじめる。メルトダウンである。さらに進んでデブリ化した核燃料が、圧力容器の底を貫通すれば、炉心貫通。メルトスルーである。やがて、格納容器の底にたまった核燃料デブリは、コンクリートを侵食することになる。コア・コンクリート反応である。
http://nagiwinds.blogspot.jp/2011/12/13.html
(1)コア・コンクリート反応とは
コア・コンクリート反応とは、
高温の燃料デブリと接したコンクリートが、
融点以上まで熱せられることにより分解する反応であり、
分解時に水素や二酸化炭素等のガスを放出しつつ
燃料デブリが残ったコンクリート成分を取り込み、侵食する。
燃料デブリの冷却が十分ではない状況においては、
崩壊熱が燃料デブリ表面からの放熱量を上回り、
温度がコンクリートの融点を超えると侵食が進行する。
崩壊熱は時間と共に単調減少すること、
及びコンクリートの侵食が進行すると、
燃料デブリ-コンクリート間の境界面積が単調に増加することから、
時間の経過とともに反応は低減する方向に向かい、
有限時間・有限体積で停止する。
(2)コア・コンクリート反応の進行過程
溶融した燃料デブリが原子炉格納容器に落下すると、
流動性が保たれれば、ペデスタル床に広がるとともに、
スリットからペデスタル部の外側へも漏れ出し、
燃料デブリは表面積の大きな平らな塊(図 1 参照)となる。
また、機器ドレンサンプピットなど、床面に穴が開いている場合には、
燃料デブリが密に詰まった状況(図 2 参照)となりうる。
さらに原子炉格納容器底部に水が溜まっている場合には、
燃料デブリが水に触れると冷却効果によってかたまり、
小さな塊の集合体となる。
このように燃料デブリが原子炉格納容器に落下した後の
形状およびその分布については、非常に大きな不確かさが有る。
また、水との接触の形態は図 3 に示す様な燃料デブリが
固化したクラスト層添付 12 - 2 を介していると考えられるが、
コンクリートの侵食が進行するのに伴い発生する CO2 等のガスが
溜まることによりクラストが破壊され、内部の溶融した燃料デブリが
クラスト層の上側へ噴出して細粒化したり、
さらにクラスト層の下側へ冷却水が流入するといった
冷却過程(図 4 参照)も考えられるため、
燃料デブリから水への熱伝達についても非常に大きな不確かさが残る。
この様に、原子炉格納容器ペデスタル部の侵食状況を推定するには、
様々な仮定のもと大きな不確かさが残ると考えられる。
--転載ここまで--

以上の図のように、核燃料デブリはコンクリートを侵食し地下に掘り進んで行く事になる。やがて熱が冷め、コンクリートの侵食が止まると考えられているが、一定量集まると臨界(爆発)するウラン、プルトニウムの性質からいっても、溶融した核燃料デブリが再臨界を起こす可能性も否定出来ない。超高温の核燃料デブリは地下構造物を破壊し、さらに地下深く侵食していくことになる。その原理を利用したのが米軍が所有しているとされている原子力シールドマシンである。
以下の図は、核燃料デブリがコンクリートコア反応で地下に侵食していく予想図である。少し大げさだが、まあこんな感じだろう。

次に、東電のプレスリリースを示しておく。計器に異常値がみられたのは水面(⑨)から2.8メートル下に下がった⑫から⑬⑭⑮だという。毎時10の8乗~9乗シーベルトという人を秒殺できる超高線量である。一秒で20シーベルトを浴びてしまう量だ。計器故障以外では説明付かないのだろう。
そして、⑫の位置から圧力抑制室の底部をかすめるように赤い線を引いておいた。

先に示した核燃料デブリの予想図の左下を拡大し、⑫と思われる辺りから赤い線を引いてみた。

2つを重ねあわせれば、合致する。
つまり、圧力抑制室の構造体が壁になり異常値を示さなかっただけで、⑫から異常値を示したのは、溶融した核燃料デブリをモロに計測してしまったからではないかということである。
先月報じられた1号機の最大線量である毎時10シーベルトが計測された⑧は、水面から20センチメートルの場所にある。水面である⑨から⑪にかけて線量が減っていき、⑫から突然毎時10万シーベルトが計測されることになる。
毎時10万シーベルトという異常値は、実は計器が故障していなかったとしても、『核燃料デブリをもろに計測してしまった』ことで説明付くのではないか。ただ、水中で毎時10万シーベルトを計測したとなるとよほど近かったのだろうと推測するしかないが、やはり、東電のいうことはまともに聞く気になれないのである。
この動画は先月のプレスリリースに併せて配信された1号機の調査を記録したものである。30分と少々長いし見応えもないが、一応置いておく。カメラが通過する場所を推測する際には東電のプレスリリースを参考にすることをおすすめする。


キャットウォーク(多分点検用の狭い足場)が一つの目安になる。
しかもこの動画、開始3分あたりから変なものが浮遊し始める。カメラには線量計と温度計をくっつけていたようだが、それらであろうか。変な力が作用しているとしたら笑い事ではない。
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Category:福島第一原発事故
原発再稼働に大義はない。
2012/07/16/(Mon) 00:20
原子力発電プラントで燃やされた使用済み核燃料は、一部がMOX燃料の原料として取り出され、残りが高レベル放射性廃棄物として処分される。正確にいえば、『処分する予定』だ。再処理工場で生み出される高レベル放射性廃棄物は10万年という途方もなく長いスパンでの管理が求められる。
原発から生み出される使用済み核燃料を再処理しようと考えだされたのが核燃料サイクルである。核燃料サイクルとは永久機関のようで聞こえはいいが、MOX燃料を既存の原子炉で燃やすのは未知な危険が介在するし(現に原子炉建屋が大爆発した福島第一原発3号機はプルサーマルであった)、使用済み核燃料からMOX燃料の材料として取り出されるのは、全体の割合からすると僅かなものである。大量の残りカスは最終処分場で保管される”予定”である。

今現在、高レベル放射性廃棄物の処分場は世界のどこにも無い。フィンランドのオンカロは2020年操業予定であるし、原発大国フランスはようやく候補地が決まったばかりだ。ドイツにいたっては最終処分場計画そのものがご破算になった。アメリカ・ネバダ州ユッカマウンテンプロジェクトは1987年から20年以上工事を続け、オバマ政権樹立に併せて白紙撤回された。最終処分場の問題は世界が頭を悩ませている問題なのである。
1990年代後半、使用済み核燃料の中間貯蔵場所が近く満杯になることを見据えて打ち出されたのが核燃料サイクルである。ようは、最終処分場の問題を先送りするための姑息な案である。
ところで、日本における最終処分場計画はどうなっているのか。建設地選定は平成40年、候補地は平成20年代半ばに選定する予定でいるが、現実には何も決まっていないと同じである。

地下水脈が豊富にあり、地震大国の日本で10万年管理可能な場所などどこにもない。どれほど頑強な作りにして、地震で構造物にひびが入ることは防ぎようがないし、そのひび割れから地下水が漏水し、高レベル放射性廃棄物の容器を腐食する可能性もある。今現在、日本では第一段階である概要調査地区選定すら未定のままである。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場の問題よりも先にガラス固化体製造の問題がある。MOX燃料の材料が取り出された使用済み核燃料の残りカスは、溶解炉でガラスと混ぜ、ガラス固化体が製造される。青森県六ケ所村にある再処理工場は、このガラス固化体製造の時点でトラブルが相次ぎ、未だにガラス固化体製造試験をクリアしていないのである。

高レベル放射性廃棄物は10万年管理しなければならない。計り知れない、途方も無い時間である。さらには、10万年管理する前段階であるガラス固化体製造試験にパスすら出来ていない。はたして、日本に原発を稼働させる資格はあるのだろうか。
チェルノブイリ原発事故は25年という歳月を費やしながらも未だ収束していない。先般、石棺で覆われたチェルノブイリ原発4号機に、新たにカバーをかけると報じられた。本来ならば解体撤去といった作業工程になるのだが、猛烈な放射能汚染により人出による作業が全くできない状況である。
他方で、福島第一原発事故で炉心溶融を起こした1号機2号機3号機はどうだろうか。建屋上部が木っ端微塵に砕け散った1号機の原子炉建屋には石棺よろしくカバーが掛けられているが、最も損傷が激しい3号機の原子炉建屋は野ざらしのままである。
原発は、ひとたび事故を起こせば、プラント周囲は猛烈な放射能汚染にさらされ、人が住むことはおろか、立ち入ることすらできなくなってしまう。
フタバから遠く離れて 予告編 from Atsushi Funahashi on Vimeo.
事故の後始末すら一筋縄ではいかない。原子炉建屋の中は猛烈な放射能汚染で、一時間で致死量の放射線を放ち続けている。事故から一年4ヶ月が経過しているが、もっぱらロボットによる調査がメインである。先日も3号機の原子炉建屋を調査していたロボットが操作不能になったと報じられた。回収される見込みはない。
ロボット投入、操作不能に=3号機原子炉建屋地下で―福島第1 - WSJ日本版 - jp.WSJ.com
http://jp.wsj.com/Japan/node_476410
福島第一原発事故に真摯に向きあえば、政治家は原発プラントを即刻廃し、原子力エネルギーから脱却する道筋をつけるのが当然である。事故の後始末に何十、何百年と追われ続けなければいけないことを考えればすぐに分かりそうなものである。だが、愚かしいことに、現政権は全く真逆の決断をしてしまった。大飯原発3号機を再稼働させてしまったのである。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120709-OYT1T00009.htm?from=tw
関西電力大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町、出力118万キロ・ワット)が9日午前1時、フル稼働に達した。
電力需給が改善するため、政府と関西電力は2010年夏比で「15%以上」としていた節電目標を「10%以上」に緩和する。
(2012年7月9日01時16分 読売新聞)
--転載ここまで--
関西電力は常々、『原発を稼働させなければ真夏のピークに足らず、計画停電を断行することになる』と散々脅してきた。そして大飯原発3号機を再稼働させた後、火力発電所を次々に停止した。原発を稼働させなくても電力需給が十分に足りていたことの裏返しである。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120706/biz12070620100020-n1.htm
2012.7.6 20:09
関西電力が6日発表した電気予報によると、7月第2週(9~13日)の使用率は85~88%、第3週(17~20日)の週を通じた使用率は89%を見込み、いずれも「安定」の判断となった。9日にも大飯原発3号機(福井県おおい町)がフル稼働となる予定で、第2週の供給力には3号機の出力118万キロワットを織り込んだ。
3号機のフル稼働で供給力が上積みされることから、関電は点検などの目的で運転を一時停止する火力発電所を増やす。配管の蒸気漏れで停止中の姫路第2発電所4号機(兵庫県姫路市)を含め、第2週に計8基を一時停止させる計画だ。
2~6日の使用率実績は、6日に蒸し暑くなった影響で91%となる時間帯があったが、2~5日のピーク時は83~87%で安定していた。
--転載ここまで--
気がつけば、日本列島をぐるりと一周取り囲むように原発が建っていた。今や、日本は世界第五位のプルトニウム保有国であるという。アメリカが設計しフランスが再処理しイギリスがプルトニウムを買い取る。日本は戦勝国のいいなりのまま核兵器産業に片足を突っ込んでいるのである。
広島、長崎とは一体何だったのか。憲法九条とは一体何なのか。非核三原則とは一体なんだったのか。横須賀に原子力空母が寄港すれば騒ぎ立て、北朝鮮が地下核実験すれば騒ぎ立て、日本は核廃絶を切望していたのではなかったか。
福島第一原発事故とは、核なき世界という尊い理想を思い直し、悔い改める機会だったのではなかったか。そもそも、我が日本は原子力エネルギーに依存することを望んでいなかったのではなかったか。
事故の後始末のみならず、核のゴミの後始末も未来に付け回す。ECCS作動による脆性破壊は全く問題視されず、外部電源喪失についてもろくな対策も取っていない。地震がない場所で開発されたプラントは、津波の被害をもろに受ける沿岸部に建っている。原発などに頼らなくとも十分な電力需給を確保しているのに、嘘八百を並べては原発を稼働させる。原発を稼働させることには大義はないし、当方は、日本で再度原発事故を起こそうとしているのかと訝ってしまうのである。
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Category:福島第一原発事故
福島第一原発1号機と3号機は、ECCSが致命的な配管破損をもたらした。
2012/07/14/(Sat) 07:01
311クライシスの本震直後、福島第一原発1号機の非常用復水器(IC)が作動し、再循環ポンプ配管にICタンク内の常温水が流入した。運転中270℃にもなる原子炉圧力容器に、ICタンク内の20℃ぐらいの常温水が流入したとなれば、圧力容器はもちろんのこと、ICが接続する再循環ポンプ配管は猛烈な温度差により深刻なダメージを受けたはずである。再循環ポンプ配管は14時46分の本震によりスクラム後、ICを起動した際に、一瞬で最大で150℃の温度差が記録されている。
再循環ポンプ配管は直径60センチ、厚さ4センチ、ステンレス鋼の配管である。1号機は311クライシス当時、稼働40年で10年延長が認められたばかりであった。古参の原発である。


古臭い。
鋼は長年中性子線に曝されるとガラス化していく。脆性劣化と呼ばれる現象で、熱したガラスを水にさらすとパリンと割れるが、同様の現象が原子炉圧力容器、並びに周辺配管に起こりうるのである。
1号機のICを三回手動で止めたことについて、東電は、「原子炉の温度低下が1時間当たり55度を超えない」という手順書に従ったと説明するのだが、炉心に近い再循環ポンプ配管は一瞬で150度も冷まされて平気なのだろうか。
国会事故調査委員会の報告によれば、3号機はHPCI起動後に原子炉圧力の著しく低下している。RCICが停止し、原子炉水位低によりHPCIは起動したのだが、75気圧あった原子炉圧力が30分後には48気圧まで下がっている。結局半日後には6気圧まで下がり、HPCI停止後原子炉圧力は70気圧に急上昇することになる。

HPCIが起動すると、復水貯蔵タンクから30度の冷却水が高圧注水される。1号機でIC起動直後、再循環ポンプ配管が一瞬で150℃冷まされたのと同じように、3号機のHPCIの配管が30度の冷却水が流入し、一瞬で百数十度冷まされたのは想像に難くない。
老朽化した原発の最大のウィークポイントが脆性劣化である。炉心周辺機器はことさら脆性劣化が著しい。ECCSが起動した時点でアウトである。スクラム停止した原子炉を冷温停止に導くはずの緊急炉心冷却装置が、ガラス化した圧力容器や周辺配管を急激に冷ましてしまうのである。まさに、本末転倒である。
1号機の再循環ポンプ配管がIC起動により猛烈な温度差にさらされたのと同様に、3号機もまた、HPCI起動により、タンクの常温水が圧力容器につながる配管を猛烈に冷やしたのである。長年の中性子照射により著しく脆性劣化した配管がミシミシとひび割れていく音が聞こえてくるようである。
ちなみに、1号機と2号機のHPCIが起動した記録は残っていない。超高圧下にある原子炉への注水を可能にするHPCIがなぜ起動しなかったのか。当方は、故意的にHPCIのトリガー(原子炉水位低)を外していたのではなかったかと睨んでいる。HPCIを起動させたくない理由があるとすれば、それは脆性破壊にほかならない。
さらにいえば、2号機と3号機は、原子炉スクラム後、手動でRCICを起動させている。マニュアル通りかもしれないが、自動起動を待たなかったということは、HPCIを起動させたくなかったからではないか。


1号機と3号機はECCSが致命的な破損をもたらしたことは明らかなのに、国会事故調の報告書には、ECCSがもたらす配管の脆性破壊には触れられていない。委員の一人である田中三彦氏は20年前にすでに脆性破壊の危険性について警鐘を鳴らしていたにもかかわらずである。あまりに消極的で逆に不気味である。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=0kSu4JD-cgY#t=599s
9分50秒~
ECCSは緊急炉心冷却装置であり、滅多なことでは起動することはない。だが、滅多なことが起こってしまえば、脆性劣化した圧力容器や周辺配管に致命的な配管破壊をもたらしかねないのである。
原子炉プラントの配管が専門の小川教授が出張先の大阪で不審な死を遂げた。20年前に早くも脆性破壊について警鐘を鳴らしていた田中三彦氏が口をつぐんだのも、この辺りに背景があるのかもしれない。
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Category:福島第一原発事故の真相に迫る!
福島第一原発事故は想定外の津波が原因ではなかった。
2012/07/12/(Thu) 21:04
福島第一原発事故の国会事故調査委員会は7月5日、報告書を発表した。国会事故調は田中三彦氏や地震学の石橋教授などわりと本気の人たちで結成される調査委員会である。この委員会が『福島第一原発事故は人災だった』と結論づけたことは大きい。福島第一原発事故の原因は想定外の津波ではない。想定外の津波でなければ、原子力賠償法の対象ではない。
責任の所在
「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」(3条1項)
---------------------抜粋
福島第一原発事故の原因が想定外の津波で無かった場合、賠償責任は事業主にあり、すなわち東京電力が負うことになる。チェルノブイリ原発事故ではソビエト連邦を解体し、チェルノブイリ原発の立地国であるウクライナに全責任を押し付けることで乗り切ることができた。チェルノブイリ事故と肩を並べる福島第一原発事故の後始末は、もはや国家を破綻させるレベルであり、一民間企業が負えるものではない。東電が国有化されるのは時間の問題である。
ところで、国会事故調が人災だと報告書を提出したことを受けて、東電が新たな津波襲来の画像を公開した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120709-00000077-jijp-soci.view-000
時事通信 7月9日(月)21時18分配信
国会事故調の指摘受け、東電が9日公開した津波到来直前の福島第1原発から撮影した写真。記録上の撮影時刻昨年3月11日午後3時35分50秒。タンカーが防波堤の外に逃げようとする様子が写っている(東電提供)
--転載ここまで--
この記事の元になったのが以下のプレスリリースである。
www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_120709_03-j.pdf






福島第一原発に襲来した津波は想像を絶するレベルではない。そのチープさゆえに、なぜ、この程度の津波を防げなかったのかと思わずにはいられない。国会事故調が福島第一原発事故が人災だったと報告したタイミングで、これらの写真が公開されたということは、想定外の津波に託けて原子力賠償法で救済させようとしていた東電は開き直ったということか。
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Category:福島第一原発事故の真相に迫る!
目も当てられないほど下品で愚劣なコメントの数々。2
2012/07/03/(Tue) 19:57
非暴力に徹するデモの新しいかたち。
目も当てられないほど下品で愚劣なコメントの数々。
以下に示すのは2012年6月30日夜から7月2日未明まで行われた大飯原発3号機の再稼働に反対するデモのユーストリーム中継に毒を履き続けた奴らのツイートである。あまりにも品性下劣で晒しておく必要があると思った。その全てまで捕獲していないが、世界に恥じる原発再稼働という愚行を体を張って止めようと集結した人々に対し、あまりにも失礼ではないか。怒りを通り越して、気分が悪くなってくる。














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Category:日の丸に問いかける
非暴力に徹するデモの新しいかたち。
2012/07/02/(Mon) 16:17
2012年7月1日夜、福井県の大飯原発3号機の制御棒が引き抜かれ、翌2日朝臨界に達した。原発がない平常が去り、脅威を呼び込む原発がまた動き出してしまったのである。大飯原発3号機、臨界に到達 : J-CASTニュース
http://www.j-cast.com/2012/07/02137783.html
福島第一原発事故は未だに収束せず、最終処分場も用意できず、ガラス固化製造の試験もクリアできず、高速増殖炉は満足に稼働せず、政治家や事業主は何ひとつの責任も取らない、または取ろうとしないことが明白になった今、原発再稼働に大義はない。事故を起こした責任すら取らずに、未来に負債を付け回そうとしているのである。
チェルノブイリ原発事故はソ連を崩壊させた。チェルノブイリ原発の立地国であるウクライナに全ての後始末を押し付けて生き長らえたのである。そもそも、日本は広島、長崎に原爆を落とされた国ではなかったか。非核三原則とはなんだったのか。原子力エネルギーなどは今直ぐに手を切ることを教えたのが福島第一原発事故では無かったか。
6.29 官邸前に大飯再稼働反対の万余の声 投稿者 gataro-clone
6月29日金曜日、溜池山王にある首相官邸を原発再稼働に反対する人々が取り囲んだ。
『再稼働反対』・・・このワンフレーズを連呼するために、怒涛のごとくたくさんの人々が押し寄せた。
人々は非暴力を徹し、一人の逮捕者も出さなかった。




そして、翌6月30日の夜、大飯原発の再稼働という愚行を阻止すべく、大飯原発につながる唯一の道路に人々は集結した。『再稼働反対』・・・ドラムや太鼓でリズムを刻み、絶え間なく叫び続けた。それは、24時間以上に及んだ。
同じく、一人の逮捕者も出さなかった。
誠天調書: 大飯原発前 機動隊と再稼働反対派が衝突。
http://mkt5126.seesaa.net/article/278224800.html




ある意味、日本式の新しいデモのスタイルである。拳を振り下ろしたい気持ちをグッと堪え、挑発する警察、警備隊に両手を上げて非武装であることをアピールし、ひたすら、『再稼働反対』というワンフレーズを連呼するのである。40年ぶりに蜂起した民が選択したガンジー主義とも言うべき非暴力に徹したデモのスタイルは、唯一無二の選択であったし、同時に、崇高な理想でもあった。人々は逮捕者を出してデモを潰したくないから非暴力に訴えている。武器を手にすれば徹底的に潰されてしまう。典型的な例が全共闘である。
20120702 大飯原発再稼働反対で「人の壁」 投稿者 PMG5
そして、参加者は増えつつある。このデモの最終形を見てみたいと思った。
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- 原発再稼働に大義はない。 (2012/07/16)
- 非暴力に徹するデモの新しいかたち。 (2012/07/02)
- 野田首相、原発事故の責任を取らないと閣議決定 (2012/06/30)
- 福島第一原発1号機で計測された最大線量は毎時10シーベルトではなく、本当は毎時10万シーベルトである。 (2012/06/28)
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Category:福島第一原発事故