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市橋達也の法廷ライブ・7月7日第三回公判(5)~(10) 被告人質問
2011/07/07/(Thu) 21:24
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【英国女性殺害 市橋被告3日目(5)】「何か飲む?」被告は誘われ、部屋に入ったと強調 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070715310010-n1.htm
2011.7.7 15:30 (1/5ページ)
(13:15~13:45)
《千葉県市川市のマンションで平成19年、英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=が殺害された事件で、殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判は、昼の休廷を挟んで再開した。いよいよ市橋被告本人への被告人質問が始まる》
《入廷した市橋被告は、出廷しているリンゼイさんの両親に深々と一礼したあと、うつむいたまま着席した》
《6人の裁判員らも着席し、堀田真哉裁判長に促されて市橋被告が証言台の席に着く。弁護側からの質問が始まった》
弁護人「あなたは初日の公判で『事件の日に何があったか話すのが義務だ』と話しましたが、覚えていますか」
被告「はい、覚えています」
《市橋被告は、法廷に響くほどの大きな声で述べた。弁護側はまず、リンゼイさんと出会うまでの状況について尋ねていく》
弁護人「平成17年3月に千葉大学を卒業しましたね?」
被告「そうです」
弁護人「大学では主に何を学んでいましたか」
被告「主に植物について。公園や広場のデザイン、設計を学びました」
弁護人「卒業後はどういう進路を考えていましたか」
被告「大学と同じ分野で、海外の大学院で学びたいと思っていました」
2011.7.7 15:30 (2/5ページ)
《市橋被告は、一言一言言葉を選ぶようにゆっくりした口調で答えていく》
弁護人「17年の大学卒業から事件の19年3月までについて聞きます。仕事はしていましたか」
被告「していません」
弁護人「収入はどうしていましたか」
被告「親に仕送りをしてもらっていました」
弁護人「留学準備は、具体的にどんなことをしていましたか」
被告「留学に必要なTOEFL(トーフル)テストというものがあり、対策の参考書を使い、英語の勉強をしていました」
《ここからリンゼイさんと出会った3月20日夜の話に移っていく。左から2番目の男性裁判員は眉間に手をやり、真剣な表情を崩さない》
弁護人「リンゼイさんを、初めにどこで見かけたんですか」
被告「最寄り駅の(千葉県市川市の東京メトロ)行徳駅の改札前広場で見かけました」
弁護人「見かけて、どう思いましたか」
被告「すれ違った後、数カ月前に私が洗濯機の水漏れを直し、英語の個人レッスンを頼んだ若い白人女性に似ていると思いました」
《検察側は、初公判の証拠調べで、リンゼイさんが「洗濯機を直したのは僕です」と市橋被告から話しかけられた、とするリンゼイさんの親友の△△さん(法廷では実名)の証言を明らかにしている。実際に市橋被告が洗濯機の修理を行ったかについては、これまでの公判でも触れられていない》
弁護人「そのときの女性に似ていると思って、どうしましたか」
被告「もしそのときの若い白人女性なら、もう一度レッスンを頼もうと思いました」
2011.7.7 15:30 (3/5ページ)
弁護人「その後、リンゼイさんはどこに行きましたか」
被告「行徳駅の中に入っていきました」
《その後、リンゼイさんの後をついて、西船橋駅で電車を降りた市橋被告。質問は、駅前通りで声をかけた市橋被告とリンゼイさんの対面と会話の内容に迫っていく》
弁護人「何と声をかけたんですか」
被告「『突然、話しかけてすいません。少し話してもいいですか』と言うと、リンゼイさんはうなずいてくれました。私は、リンゼイさんに『私のことを覚えていますか』と尋ねました」
《最初の一言こそ力強く答えた市橋被告だったが、その後はたどたどしい返答が目立つ。はなをすする音が響き、声は震えている。涙声のようにも聞こえるが、台本を読み上げているような印象も受ける》
弁護人「英語で話しかけましたか。日本語ですか」
被告「全て英語です」
弁護人「リンゼイさんは何と答えましたか」
被告「『違うと思います』と言いました」
弁護人「それからリンゼイさんはどうしましたか」
被告「自転車に乗って、通りの方に走っていきました」
弁護人「あなたはどうしましたか」
被告「駅の方に歩いてから、リンゼイさんが走った方向と思う方へ走っていきました」
2011.7.7 15:30 (4/5ページ)
弁護人「リンゼイさんと会えましたか」
被告「団地のような場所の街灯のところで、リンゼイさんが自転車を降りているところを見つけました」
《再びリンゼイさんに話しかける市橋被告。リンゼイさんの部屋に上がり込むまでの様子を詳細に答えていく》
弁護人「何と声をかけましたか」
被告「『また怖がらせてごめんなさい。どこ(の国)から来ましたか』と聞きました」
弁護人「リンゼイさんは?」
被告「『イングランドから』と答えていたと思います」
弁護人「他に何か話しましたか」
被告「はい。『私は海外で風景建築、公園設計、広場設計を学びたい。英語を教えてくれませんか。教えてくれれば、もちろんお礼をします』と話しました」
弁護人「それに対してリンゼイさんは何と答えましたか」
被告「リンゼイさんは笑ってくれて、『何か飲む?』と聞いてきてくれました」
《リンゼイさんに誘われて部屋に上がった、と説明する市橋被告。リンゼイさんの母、ジュリアさんは口を手で覆い、険しい表情で市橋被告を見つめる》
弁護人「リンゼイさんの部屋には誰がいましたか」
被告「リンゼイさんの他に、若い白人女性2人がいました」
弁護人「歓迎された、と思いましたか」
被告「思いませんでした」
弁護人「部屋に入って、どうしましたか」
被告「絵を描かせてほしい、と言いました」
弁護人「なぜ絵を?」
2011.7.7 15:30 (5/5ページ)
被告「部屋の雰囲気を和ませたかったので」
弁護人「描かせてくれた人はいましたか」
被告「はい」
弁護人「誰ですか」
被告「リンゼイさんです」
《リンゼイさんの絵を描いた後、他の2人には断られたと市橋被告は説明する》
弁護人「描き終わってどうしましたか」
被告「絵に私の名前、電話番号、メールアドレス、日付を書いてリンゼイさんに渡しました」
弁護人「リンゼイさんの反応は?」
被告「受け取ってくれました」
弁護人「リンゼイさんもメールアドレスを教えてくれましたか」
被告「はい」
《10~15分間、部屋で過ごし部屋を出ると、時間は既に深夜で終電はない。市橋被告は西船橋駅に戻り、インターネットカフェで一泊したという》
弁護人「リンゼイさんから連絡先を聞いてどう思いましたか」
被告「うれしかったです。」
弁護人「どうして、うれしいと思いましたか」
被告「リンゼイさんから英語の個人レッスンを受けられるかもしれない、と思ったからです」
《初対面を終え、事件を迎えるまでの数日間のやり取りについて、質問が続いていく》
【英国女性殺害 市橋被告3日目(6)】「リンゼイさんと親密な関係になれたらいいな」被告の言い分に遺族怒り - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070715430011-n1.htm
2011.7.7 15:42 (1/4ページ)
(13:45~14:10)
《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判で、市橋被告への弁護側の被告人質問が進む。男性弁護士は市橋被告とリンゼイさんがメールで約束した英会話の個人レッスンの内容について確認していく》
弁護人「どういう約束をしたのですか」
被告「日曜日(平成19年3月25日)の午前9時に(東京メトロ)行徳駅前で会って、駅前で1時間のレッスンを受けることになりました」
《市橋被告は時折、はなをすすり、ゆっくりとした口調で答えた》
弁護人「25日は何時に起きましたか」
被告「午前8時40分です」
弁護人「(待ち合わせ時間の直前に起きたのには)何か事情があったのですか」
被告「よく寝てませんでした。25日深夜(未明)、私は当時つきあっていた女性と外で会っていました。自分の部屋に戻ったのは朝4時ごろでした。そ…そこから、帰って眠ったので、起きたときが8時40分ごろです。寝坊したのです」
《一言一言を区切るようにして話す市橋被告。両手をきつく握りしめ、顔を小刻みに揺らしており、緊張しているようにも見える》
2011.7.7 15:42 (2/4ページ)
《市橋被告は起床してから自転車で行徳駅に向かい、その様子は途中の防犯カメラにも写っているという。弁護人に駅までの所要時間を尋ねられ、「5分もかかっていない」と答えた。駅前には、リンゼイさんが先に到着していたという》
弁護人「リンゼイさんと会ってどうしましたか」
被告「駅前のコーヒーショップに一緒に入りました」
弁護人「どんなレッスンを受けましたか」
被告「私の趣味の話、お互いの好きな映画女優の話、(19)98年の(サッカー)フランスワールドカップの話、(映画化された)ハリーポッターの話を(英語で)しました」
弁護人「レッスン料はコーヒーショップで払いましたか」
被告「いいえ、払っていません」
《弁護側は冒頭陳述で、市橋被告は待ち合わせ時間直前に起床したことで慌てたため、レッスン料を持っていくことを忘れたと主張。市橋被告もこの趣旨に沿った返答を行った。一方、検察側は冒頭陳述で強姦目的で『レッスン料を家に忘れた』と口実を使って自宅に誘い込んだと指摘しており、双方の主張は真っ向から対立している》
弁護人「いつ代金を忘れたことに気づきましたか」
被告「コーヒーショップに入って飲み物を注文し、支払うときに財布の中身を見たときです」
弁護人「どうして、そのときに(レッスン料を忘れたことを)言わなかったのですか」
被告「そのときに言ったら、レッスンを受けられなくなるかもしれないし、受けたとしても、レッスンの雰囲気が悪くなると思ったからです」
《検察側の後方に座る父親のウィリアムさんは眼鏡を取り出してかけ、市橋被告の顔を見つめる》
2011.7.7 15:42 (3/4ページ)
弁護人「どうするつもりだったのですか」
被告「レッスンが終わったころにリンゼイさんにお金を忘れたことを謝って、(自宅に)取りにいけばいいと思いました」
弁護人「忘れたことを伝えたとき、リンゼイさんはどんな反応をしていましたか」
被告「リンゼイさんは『それだったら急がなければいけない』と言いました」
《これまでの公判で、リンゼイさんが同日午前10時50分から語学学校でレッスンの予定があったことが明らかになっている。2人はコーヒーショップを出た後、タクシーに乗って市橋被告方のマンションに向かっている》
弁護人「タクシーの中でリンゼイさんと会話を交わしましたか」
被告「していません」
弁護人「タクシーはどのあたりに止まりましたか」
被告「マンション前のガソリンスタンドです」
弁護人「タクシー運転手と何か話しましたか」
被告「はい。私がタクシー料金を払った後、運転手に『ここで5、6分待っていてくれませんか』と言いました」
弁護人「あなたはどうするつもりだったのですか」
被告「私は走って自分の部屋に行き、お金を取って戻ってきて、リンゼイさんにレッスン料を渡すつもりでした」
弁護人「運転手の答えは?」
被告「『それはできない』などと言っていました。私は運転手に『それだったら5、6分後にここに来てくれないか』と言いました」
弁護人「運転手は何と答えましたか」
被告「運転手は『ここに電話してくれればいい』と言って、タクシー会社の電話番号が書かれた領収書を渡してきて、行ってしまいました」
2011.7.7 15:42 (4/4ページ)
《弁護側はこのやり取りで、市橋被告が当初から強姦目的で自宅まで連れて行ったわけではないということを訴えたいようだ》
弁護人「タクシーが去ったとき、リンゼイさんは何か言いましたか」
被告「はい。リンゼイさんは『私はどうやって帰ったらいいの?』と言っていました」
弁護人「それで、あなたはどうしたのですか」
被告「マンションに歩いていきました」
《市橋被告とリンゼイさんは4階にある市橋被告の部屋に向かうため、エレベーターに乗り込んだ。検察側の冒頭陳述によると、エレベーターでリンゼイさんは、しきりに腕時計を見るなど、時間を気にしていたという》
弁護人「あなたはエレベーター内で何を考えていましたか」
《市橋被告は、間を置いてから、たどたどしくしゃべり始めた》
被告「私はタクシーが行ってしまったから、リンゼイさんは仕事に間に合わないと思いました。このままリンゼイさんと親密な関係になれたらいいな、と勝手に思っていました」
《「親密な関係」を通訳が訳したとき、検察側の後方に座る母親のジュリアさんは隣のウィリアムさんを見つめ、顔を振りながら怒気をはらんだ表情となった。一方、傍聴人席の最前列に座るリンゼイさんの姉妹も遺影を膝の上に置き、市橋被告の背中に厳しい視線を注いでいた》
《弁護人は「ここでいったん休憩を」と求め、堀田真哉裁判長が20分間の休廷を宣言。午後2時半から弁護側の被告人質問が再開される》
【英国女性殺害 市橋被告3日目(7)】「私を殺すつもりね」 抵抗しながらリンゼイさんが発した一言 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070717130012-n1.htm
2011.7.7 17:10 (1/6ページ)
(14:30~15:00)
《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判。約15分間の休廷を挟み、傍聴席から見て左側の扉から市橋被告が入廷した。リンゼイさんの両親に目を向けることなく、足早に証言台の前に立ったあと、ずり下がったジーパンを手で腰まで引き上げた。午後2時半から審理が再開した》
《男性弁護人は、リンゼイさんが市橋被告の部屋に入ってからの状況を質問した》
弁護人「あなたの部屋にリンゼイさんが入ったあと、あなたはどうしましたか」
被告「入ったあと、私は手を伸ばしてリンゼイさんの後ろから抱きつきました」
《リンゼイさんの父親のウィリアムさんは険しい表情をしている》
弁護人「なぜ、抱きついたのですか」
《この質問に市橋被告は、しばらく沈黙する》
被告「彼女とハグ(抱き合うことを)したかったからです」
弁護人「場所はどこですか」
被告「玄関です」
弁護人「そのとき、リンゼイさんはどのような反応だったのですか」
被告「リンゼイさんは強く拒絶しました」
弁護人「それでどうしたのですか」
被告「私は誘惑に負けました。…(しばらく黙ったあと)、私はリンゼイさんを廊下に押し倒しました」
《リンゼイさんの母、ジュリアさんは、唇をかみしめている》
2011.7.7 17:10 (2/6ページ)
弁護人「リンゼイさんはもちろん抵抗しましたよね?」
被告「しました」
弁護人「あなたはどういう行為をしましたか」
被告「抵抗するリンゼイさんを押さえつけました」
《泣いているのか、市橋被告がはなをすする音が法廷に響く》
弁護人「どういう体勢でリンゼイさんを押さえつけたのですか」
被告「リンゼイさんは廊下にあおむけになり、私はその上にまたがるように乗りました」
弁護人「具体的にはどういうことですか」
被告「リンゼイさんの手足を私が押さえつけるようなかたちです」
弁護人「リンゼイさんの着ている服を破ったりしていますか」
被告「してます」
弁護人「顔面を殴ったり、頸部(けいぶ)を圧迫したりしましたか」
被告「それはしていません」
弁護人「リンゼイさんはどのくらい抵抗しましたか」
被告「数分間、抵抗しました」
《傍聴席から見て、右端から2番目の5番の男性裁判員は市橋被告をじっと見つめている》
弁護人「あなたは(抵抗するリンゼイさんに対して)どうしましたか」
被告「手首と足首に、結束バンドをはめました」
弁護人「その後どうしましたか」
被告「リンゼイさんを姦淫(かんいん)しようとしました」
《ジュリアさんは目を覆って泣いている》
弁護人「あなたはすぐに姦淫することができましたか」
被告「できませんでした」
2011.7.7 17:10 (3/6ページ)
《市橋被告は、リンゼイさんを乱暴しようと、避妊具の装着を試みたが、うまくいかなかったため、避妊具をそのままゴミ箱に捨てたという》
《右から3番目の男性裁判員が首をかしげている》
弁護人「それからどうしましたか」
被告「私はリンゼイさんを姦淫しました」
《男性弁護人は質問を変えた》
弁護人「結束バンドは何の目的で持っていたのですか」
被告「私の部屋の配線コード類をまとめて、壁に掛けるために、前年(平成18年)、ホームセンターで買いました」
弁護人「結束バンドはどこにありましたか」
被告「玄関の靴箱の上、壁際にある収納棚にまとめて置いてありました」
《男性弁護人は、計画的に結束バンドを準備したわけではなかったと主張したいようだ》
《続いて、男性弁護人は法廷内に設置された大型モニターに市橋被告の部屋の見取り図を示して、姦淫した場所の確認をした後、別の男性弁護人に交代した》
弁護人「あなたがしたことは、リンゼイさんの気持ちを踏みにじった強姦行為だと分かっているのですか」
被告「…はい」
弁護人「強姦した後、どのような行動をしましたか」
被告「私は寝室に置いてあった、テンピュール(低反発)のマットレスを廊下に持ってきて、廊下で横になっているリンゼイさんの下に敷きました」
《一言一言区切るように話す市橋被告。はなをすする音がますます大きくなった》
2011.7.7 17:10 (4/6ページ)
弁護人「なんでそんなことをしたのですか」
被告「彼女に申し訳ない気がしたので…」
弁護人「それは冷たい床で横たわっているリンゼイさんをいたわる気持ちからですか」
被告「はい」
《ジュリアさんは目を見開いて、「ふん」と鼻で笑うような仕草をした》
弁護人「あなたが脱がしたリンゼイさんの服はどこに置きましたか」
被告「彼女のそばに置きました」
弁護人「布団の上ですか」
被告「そうです」
《弁護人の質問に対して市橋被告は、リンゼイさんが失禁した事実を述べた。ジュリアさんは手で顔を覆っている》
弁護人「あなたはどうしましたか」
被告「リンゼイさん(の体)を洗おうと思いました」
弁護人「どこに連れて行こうと思いましたか」
被告「浴室です」
《市橋被告は、リンゼイさんを抱きかかえて浴室に連れて行こうとしたが、抵抗されたことを話した》
被告「リンゼイさんを抱きかかえて風呂場に連れて行こうとすると、リンゼイさんは『私を殺すつもりね』と言いました。リンゼイさんが風呂場に行くことを強く拒否したので、連れて行けませんでした」
弁護人「あなたはその後、リンゼイさんをどこに連れて行こうとしましたか」
被告「リンゼイさんを抱きかかえたまま、和室に運びました」
2011.7.7 17:10 (5/6ページ)
弁護人「その後どうしましたか」
被告「結束バンドを切りました」
弁護人「どうして切ったのですか」
被告「そのときリンゼイさんは裸でした。私のグレーのパーカをリンゼイさんの上半身に着てもらうためです」
弁護人「実際に着せたのですか」
被告「はい」
《男性弁護人は、市橋被告がリンゼイさんに着せたというパーカを大型モニターに映し出した》
弁護人「これですね」
被告「はい」
弁護人「その後、あなたは灰色のパーカを着せたまま、リンゼイさんを浴槽に入れたでしょう?」
被告「はい」
弁護人「その後、さらに上に何か掛けたでしょう」
被告「はい」
弁護人「何を掛けましたか」
被告「私が着ていた茶色のジャケットを彼女の上半身に掛けました」
《男性弁護人の指示により、大型モニターに茶色のジャケットが映し出される》
弁護人「リンゼイさんの服をそばに置いていたのに、なぜそれを掛けなかったの?」
《市橋被告はリンゼイさんが失禁したためだと答えた。男性弁護人は小さくうなずいた》
2011.7.7 17:10 (6/6ページ)
弁護人「さっき敷いていたマットレスはどうしたの?」
被告「…。外のベランダに掛けました」
弁護人「あなたが逃走したあと、ベランダに掛かっていたマットレスですね」
《答えを考えているのか数秒黙ったあとでこくこくとうなずいて答えた》
被告「そのはずです」
弁護人「一度外した結束バンドをその後、どうしましたか」
被告「もう一度、彼女の手首にはめました」
弁護人「リンゼイさんの体はどうしましたか」
被告「黒いパーカとバスタオルを持ってきて掛けました」
《市橋被告の口から詳細な犯行状況が赤裸々に語られる中、リンゼイさんの両親はうなだれている》
【英国女性殺害 市橋被告3日目(8)】「痛いから足首の結束バンド外して」 被告は冷たく「できない」 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070717210013-n1.htm
2011.7.7 17:20 (1/5ページ)
(15:00~15:30)
《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判は、市橋被告への弁護側の被告人質問が続いている。市橋被告はゆっくりとした口調で弁護人の質問に答えていく。ときにたどたどしくも聞こえる》
《弁護側はリンゼイさんを浴槽に入れた経緯について質問をする。市橋被告は再度の失禁を恐れたためだと説明し、続けた》
被告「それで浴槽を持ってきてリンゼイさんに、その中に入ってもらったんです」
《リンゼイさんの父、ウィリアムさんは目頭に手を当てる。母、ジュリアさんは励ますように右腕を伸ばし、ウィリアムさんの肩を抱いた》
弁護人「浴槽に入れたのは何時ごろのことですか」
被告「私とリンゼイさんが私の部屋に入ってから、1時間後ほどのことだったと思います」
弁護人「(平成19年3月)25日午前11時ぐらいということですか」
被告「だと思います」
弁護人「リンゼイさんを姦淫し、行為が終わった後、あなたはどういう気持ちだったんですか」
被告「リンゼイさんに悪いことをしたと思いました」
弁護人「また姦淫するつもりはあったんですか」
被告「ありません」
弁護人「あなたは悪いことをしたというが、じゃあ、これからどうしようと思ったんですか」
被告「なんとかしてリンゼイさんに許してもらわないと、許してもらいたいと思いました」
2011.7.7 17:20 (2/5ページ)
《この返答に、弁護人は少し語気を強める》
弁護人「こんなにひどいことをして許してもらえると思ったんですか」
被告「思いませんでした。すぐには許してもらえないと思いました。そのとき、私が考えたことは、なんとか彼女に話しかけて、人間関係をつくったら、許してもらえるんじゃないかと思いました」
《父のウィリアムさんは鼻を赤くし、「わけが分からない」といった様子で頭(かぶり)を振った》
弁護人「あなたが浴槽を置いたのは、4・5畳の和室ということだよね」
被告「そうです」
弁護人「浴槽はどのへんに置いたのか言える?」
《弁護人は市橋被告に、犯行現場となったマンションの間取りを示す》
被告「4・5畳の和室の壁際の真ん中あたりです」
弁護人「壁っていうとたくさんあるので、図面でいうと?」
被告「この4・5畳の左側の壁際の真ん中あたりに私は浴槽を起きました」
弁護人「ラジカセがあったけど、その前あたりですか」
被告「はい」
《その位置は、弁護人が実況見分や証拠写真を使って示した浴槽の排水口の跡が畳に残っていた位置と一致する》
弁護人「4・5畳の部屋にはあなたもいた?」
被告「はい」
弁護人「座っていた?」
被告「私は座っていました」
弁護人「話はしました?」
被告「はい」
弁護人「被害者はどんな話をしましたか」
被告「リンゼイさんは4・5畳の和室の左側の壁際に私が張っていた、私が書いた『走っているチーター』の絵をみて、私に『この絵は間違っている。私は大学で生物学を学んでいたから分かるんだけど、このチーターのおなかは出すぎている』と言ってくれました」
《弁護人はチーターの絵の写真を市橋被告に提示する。大型モニターに映し出された絵は、鉛筆かボールペンのようなもので描かれたモノクロのスケッチで、横から見たチーターが描かれていた》
2011.7.7 17:20 (3/5ページ)
弁護人「誰が描いたのですか」
被告「私です」
弁護人「さきほどのは、この絵のことですね」
被告「そうです」
弁護人「そのほかにあなたのほうから話しかけることはありました?」
被告「ありました」
弁護人「どんな話でした?」
被告「私はリンゼイさんに、キング牧師の演説の内容を尋ねました」
弁護人「どんなテーマの演説ですか」
被告「『I HAVE A DREAM』。『私には夢がある』という題名のスピーチです」
弁護人「訪ねたことに被害者は?」
被告「私がその演説の最初の部分をリンゼイさんに尋ねると、リンゼイさんは黒人は奴隷解放宣言のあと、黒人は自由を手にしたけれども、奴隷のときは生活や仕事に保証があったけど、自由を手にしたことで、生活や仕事の保証がなくなった面があるということを教えてくれました」
弁護人「そういう話を聞いてどう思いましたか」
被告「私はそういう考えもあるのだなと思いました」
《裁判員の男性は市橋被告の証言にじっと聞き入っている》
弁護人「他には?」
被告「あります」
弁護人「項目的にいうとどんなこと?」
被告「私は、リンゼイさんにカトリックとプロテスタントの違いを尋ねました。それとリンゼイさんが日本に来るまでに、どんな国に行ったことがあるのかということも尋ねました」
弁護人「あなたとすると人間関係を作ろうと話しかけたということでしょうか」
被告「はい」
弁護人「被害者はずっと答えてくれましたか」
被告「いいえ」
弁護人「どうしてですか」
《市橋被告はしばらく沈黙した後に答える》
被告「リンゼイさんが答えるのがしんどくなったんだと思います」
弁護人「そうすると、あなたは話しかけるのをやめた、控えたのですか」
被告「はい。控えました」
弁護人「そうしたら、どうなりました?」
2011.7.7 17:20 (4/5ページ)
被告「リンゼイさんから、甘いものがほしい。飲み物がほしいと言われました」
弁護人「それに対してどうしましたか」
被告「私は台所に行ってミネラルウオーターと黒砂糖を…」
《市橋被告はそこで言葉を止め、しばらくしてもう一度繰り返す》
被告「私は台所に行ってミネラルウオーターと黒砂糖を取ってきて、リンゼイさんの口の中に入れました」
弁護人「そのほかに求められたものは?」
被告「リンゼイさんは私に手首の結束バンドが痛いから外してほしいといいました」
弁護人「それに対しては?」
被告「また台所に行ってキッチンばさみを持ってきて、彼女の結束バンドを切りました」
弁護人「次に何を求められましたか」
被告「リンゼイさんは私に足首の結束バンドも痛いから外してほしいと言いました」
弁護人「それに対しては?」
被告「私は『できない』といいました」
弁護人「ほかには?」
被告「リンゼイさんは私にトイレに行きたいといいました」
弁護人「それに対してどうしました?」
被告「リンゼイさんに浴槽から出て、廊下のトイレに行ってもらいました」
弁護人「だけど足首は外してないと言っていたのに、どうしたんですか」
被告「足首はトイレに行く前に外しています」
《つじつまがあわない発言に弁護人は質問を続ける》
弁護人「戻ったあとでまた足首に(結束バンドを)したということですか」
被告「違います。順序が違います」
弁護人「では言ってみて」
被告「私がリンゼイさんの…」
《そこまで言ったところで、市橋被告は言葉を止めて言い直す。英語を意識してのことか、主語と述語の使い方にこだわりがあるようだ》
被告「リンゼイさんから私に、足首が痛いから外してほしいといい、私はできないといいました。リンゼイさんがトイレに行きたいと言ったのは、だいぶ後の話です」
2011.7.7 17:20 (5/5ページ)
《弁護人は順を追って説明するように市橋被告に言い、質問を続ける》
弁護人「では、さきほどの話の続きの中で求められたことは?」
被告「あります。リンゼイさんはたばこが吸いたいと私に言いました」
弁護人「それに対しては?」
被告「私はできないと言いました」
弁護人「足首を外してとか、たばこを吸いたいとか言われ、『できない』『できない』と答えたんだよね」
被告「ええ」
弁護人「そのときの心境は?」
《市橋被告は言葉を詰まらせ沈黙する。10秒ほどたったところで、弁護人が根負けした》
弁護人「じゃあ質問を変えるけど、イライラとか怒ったとか、感情的なものがなかったのかということなんだけどね」
被告「ありました」
弁護人「それはどんな気持ち?」
被告「私は…。リンゼイさんに対して…。イライラしていました」
《言葉を切りながら、ゆっくりと吐露する》
弁護人「なぜイライラしたんですか?」
被告「私がリンゼイさんが逃げたいことは、私はもちろん分かっていました。でも、リンゼイさんがいうことを私がすべてしていたら、リンゼイさんが逃げてしまうと思って、私はイライラしました」
弁護人「それであなたはどういう行動を取ったんですか」
被告「私はリンゼイさんの顔を殴っています」
《リンゼイさんの父、ウィリアムさんは「あぁ」というように体を大きくのけぞらせる》
弁護人「それは感情的にキレたということですか」
被告「はい」
弁護人「何回ぐらい殴りましたか」
被告「私はリンゼイさんの顔を2回殴っています」
《「殴りました」ではなく、「殴っています」という表現を使う市橋被告。どこか客観的な印象を受ける》
弁護人「リンゼイさんのいる浴槽に寄っていて殴った?」
被告「そうです。はい」
弁護人「どちらの手で殴りました?」
被告「最初に左のこぶしで、次に右のこぶしで殴りました」
《淡々としながらも事件当時の怒りの感情に言及した市橋被告。リンゼイさんの両親の鼻は赤く、キッと市橋被告をにらみつけている。ここで法廷は20分の休憩に入った》
【英国女性殺害 市橋被告3日目(9)】「私の人生は私のもの」決然 言い放ったリンゼイさんの言葉 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070718110014-n1.htm
2011.7.7 18:10 (1/4ページ)
(15:50~16:25)
《千葉県市川市のマンションで平成19年、英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=が殺害された事件で、殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判は、休憩を挟んで再開した。リンゼイさんを暴行後、さらに殴りつけたときの行動から、男性弁護人の質問が続く》
弁護人「抵抗できない被害者を2発、しかも強い力で殴った。なぜそんなひどいことをしたんですか」
被告「私はかっとなりました」
弁護人「どうしてかっとなったんですか」
被告「リンゼイさんから『たばこを吸いたい』といわれて、私は『できない』といいました。それからやり取りがあって、私はかっとなってリンゼイさんの顔を殴りました」
弁護人「しかし、あなたは人間関係をつくって許してもらう気でいたんではないんですか」
被告「そうです」
弁護人「感情的に殴りつけて、穏便には済まなくなってしまった?」
《市橋被告は涙声で答えた》
被告「そうです」
弁護人「その後、どう考えたんですか。後悔の他には?」
被告「彼女、リンゼイさんに逃げられてはいけないと思いました」
弁護人「どうしてですか」
被告「私がリンゼイさんを姦淫(かんいん)した上に、殴ったからです」
弁護人「では、どうしようと思ったんですか」
被告「今はダメだけど、何とか許してもらいたいと、それだけ思っていました」
《浴槽の中で手足を縛られたリンゼイさんとともに、4畳半の和室にいた市橋被告。弁護人は2人の会話について尋ねていく》
弁護人「リンゼイさんは何と話しましたか」
被告「『トイレに行きたい』と言いました」
弁護人「他には?」
被告「リンゼイさんの家族構成についても話を聞きました」
2011.7.7 18:10 (2/4ページ)
《突然の「家族」の言葉に、リンゼイさんの母、ジュリアさんは目頭を押さえる》
《ここで、弁護人はこれまでの証拠調べなどで明らかになっていない詳しい犯行時刻などについても質問する。市橋被告は殴りつけたことについて「まだ明るかった」とし、会話のやり取りについては「日が落ちて暗くなってから」と答えた。弁護側は暴行と死亡の時間差を強調したいようだ》
弁護人「他には、どんな話をしましたか」
被告「リンゼイさんは『私は子供をたくさん産みたい。私の人生は私のもの』と言いました」
弁護人「他には?」
被告「『(リンゼイさんの)ルームメートがパーティーに行っている。今なら大丈夫』と言いました」
《リンゼイさんは今無事に返してくれれば取り返しがつくと、伝えようとしたようだ。弁護側は、市橋被告がもっぱら聞き役だったことも強調したいようだ》
弁護人「(平成19年)3月26日午前0時半ごろ、当時の彼女にメールをしていますね」
被告「出しています」
《「これから1週間ぐらい部屋にこもって勉強します。1週間電話しない」という内容のメールについては、初公判の証拠調べでも紹介されている》
弁護人「1週間の間に、被害者と人間関係をつくろうと思っていたんですか」
被告「はい、そう考えていました」
《ここから、リンゼイさんが死亡に至る経緯について、質問が始まる》
《当時の彼女にメールを出した市橋被告はそのまま眠りについたが、3月26日午前2~3時の間に目を覚ましたという。浴槽の中のリンゼイさんの様子を確認すると、手の結束バンドが外れていたという》
2011.7.7 18:10 (3/4ページ)
弁護人「外れているのを見て、どうしましたか」
被告「外れている、と思った瞬間、リンゼイさんはこぶしで私の左こめかみを殴りました。頭を壁にぶつけ、何が起きたか分かりませんでした」
弁護人「その後は?」
被告「大きな音がしました」
弁護人「何の音?」
被告「リンゼイさんを探すと、浴槽が倒れていました」
弁護人「音は浴槽が倒れた音だったんですか」
被告「分かりません。左こめかみを殴られ、壁に打ちつけられたときに大きな音がしました。浴槽が倒れ、リンゼイさんが浴槽から出ていました」
《事件の核心部分に迫るにつれ、リンゼイさんの両親ら家族の表情が険しくなっていく》
弁護人「リンゼイさんの体勢はうつぶせですか」
被告「はい」
弁護人「静かにはっていたのですか」
被告「いいえ。大声を出して逃げていこうとしました」
弁護人「それはどんな声でしたか」
被告「獣のようなうなり声でした」
《女性通訳が「animal」(動物)の単語を発すると、リンゼイさんの母、ジュリアさんは大きく首を振った》
弁護人「声を聞いてどう思いましたか」
被告「下の住人に声が聞こえてしまうと思い、追いすがりました」
《必死ではい逃げるリンゼイさんに乗りかかった市橋被告。左腕を伸ばし、リンゼイさんのあごを覆ったという。ジュリアさんからおえつが漏れ、リンゼイさんの父、ウィリアムさんがジュリアさんの膝に手を置く》
2011.7.7 18:10 (4/4ページ)
弁護人「リンゼイさんに声を出されないようにするだけの目的で腕を伸ばしたんですか」
被告「いいえ。逃げられないようにするためです」
弁護人「そうすることで声は止まりましたか」
被告「止まりませんでした」
弁護人「それで、どういう行動をとったんですか」
被告「左腕をもっと伸ばして、彼女の顔を巻くようにしました」
弁護人「リンゼイさんの様子はどうでしたか」
被告「リンゼイさんは、まだ声を出していました。前に進んでいこうとしていました」
《市橋被告の語る「リンゼイさんの死」が目前に迫り、法廷内は緊張感に包まれる》
【英国女性殺害 市橋被告3日目(10)完】「リンゼイさんが動かなくなるまで」覆い被さった被告の殺意は… - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070718480017-n1.htm
2011.7.7 18:47 (1/5ページ)
(16:25~16:52)
《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判で、弁護側による被告人質問が続く》
《男性弁護人は平成19年3月26日未明、市橋被告方のマンションからはって逃げようとするリンゼイさんに対し、覆いかぶさって押さえつけようとした状況について尋ね、市橋被告はリンゼイさんが言葉を発したと答えた》
弁護人「どのような言葉を言われたのですか」
被告「アイ・ガット・イット、アイ・ガット・イット、ハハハ」
弁護人「その言葉の意味は分かりましたか」
被告「『分かった、分かった、ハハハ』だと思います」
弁護人「それを聞き、どう思いましたか」
被告「私はリンゼイさんを全然押さえ込めておれず、逃げてしまうと思いました」
弁護人「リンゼイさんはその状態で前に進もうとしていましたか」
被告「はい」
弁護人「あなたはどういう行動に出ましたか」
被告「私は体を前に倒すようにしてリンゼイさんの上に覆いかぶさりました」
《検察側の後方に座るリンゼイさんの母親のジュリアさんは頭を抱えた》
弁護人「なぜ覆いかぶさったのですか」
被告「リンゼイさんが声を上げないように、リンゼイさんが逃げないようにするためでした」
弁護人「覆いかぶさってどういう効果があると思いましたか」
被告「覆いかぶされば、リンゼイさんが逃げないし、声を上げても響かないと思いました」
2011.7.7 18:47 (2/5ページ)
弁護人「覆いかぶさったとき、左腕をリンゼイさんに巻き付けるようにしていたと言っていましたが、そのとき左腕はどこにありましたか」
被告「下にいるリンゼイさんの下に、私の左腕がありました」
弁護人「リンゼイさんの体の下のどの辺りにありましたか」
被告「私の左腕が私の体と、リンゼイさんの体の下にあり、私が覆い被さったときに左腕がリンゼイさんの体の下のどこにあったのかまでは分からないのです」
《市橋被告はやや不自然な言い回しで答えた。市橋被告ははなをすすり、息が上がっているようだ》
弁護人「左腕は自由に動かせましたか」
被告「動きませんでした」
弁護人「左腕は抜けなかったのですか。引き抜けなかったのですか」
被告「抜けませんでした」
《市橋被告は嗚咽をもらしたような声を出したが、その表情はうかがえない。弁護人はさらに左腕がリンゼイさんの体のどのあたりに接触していたかについて質問を重ねたが、市橋被告は「分かりませんでした」と繰り返した》
弁護人「リンゼイさんを押さえつけた状態で、リンゼイさんの顔がつぶれることを心配しなかったのですか」
被告「リンゼイさんの顔の下は畳でした。そのとき、リンゼイさんの顔がつぶれるとは考えていませんでした」
《傍聴席でリンゼイさんの遺影を抱く姉妹は生々しい犯行手口の表現に、うなだれてしまった》
弁護人「一昨日の公判で医者の証言を聞いたでしょ? あなたの左腕で被害者の喉が圧迫されたことも考えられると言っていたでしょ? 被害者の喉を圧迫した認識はありましたか」
2011.7.7 18:47 (3/5ページ)
被告「左腕がどこにあるか分かりませんでした」
弁護人「覆いかぶさっていたとき、右手はどうなっていましたか」
被告「右手は…、私の…右横で…。私はリンゼイさんの体に乗りかかった状態から、右側に右手を立てました」
《市橋被告は、実際にその場で右腕を動かしながら、右腕で畳をおさえ、体を支えていたと説明した》
弁護人「左腕と右腕が結ばれていたということはありますか」
被告「ありません」
弁護人「あなたが覆いかぶさったとき、リンゼイさんの後頭部はどの辺りにありましたか」
被告「私の胸の下にリンゼイさんの後頭部がありました」
弁護人「あなたは体をリンゼイさんの上に乗せ、リンゼイさんは声を出さなくなりましたか」
被告「出さなくなりました」
弁護人「体は動いていましたか」
被告「リンゼイさんの体は暴れていました」
弁護人「乗ったとき、どうしようと思ったのですか」
被告「リンゼイさんが動かなくなるまで、リンゼイさんの上に覆いかぶさろうと思いました」
弁護人「動かなくなるまでとは?」
被告「リンゼイさんが抵抗しなくなるまでです」
弁護人「抵抗しなくなるまでとは?」
被告「申し訳ありません」
2011.7.7 18:47 (4/5ページ)
《質問には答えず、はなをすすりながら謝罪する市橋被告。弁護人は「そうじゃなくて」と言い、質問を重ねる》
弁護人「抵抗しないとはどのような状態を想定していたのですか」
被告「逃げるのを諦めるまで…」
弁護人「(リンゼイさんが)逃げるのを諦め、声を出さなくなったら、どうするつもりだったのですか」
被告「リンゼイさんから離れるつもりでした。リンゼイさんにまた、(直前まで縛って監禁していた)浴槽の中に入ってほしかった」
《市橋被告の声は消え入るようにか細くなった。弁護側はこれまでのやり取りで、市橋被告に殺意がなかったことを強調したいようだ。弁護人は大型モニターに、市橋被告がリンゼイさんを押さえつけた状況を絵で描いた紙を映し出した》
《市橋被告がリンゼイさんの体の上に半身を乗せたような状態で左手で口付近を押さえているところから、完全に覆いかぶさって左腕をリンゼイさんの体に差し込むまでの過程が5枚に描かれている》
《市橋被告は弁護人の「これはどういう状況?」という質問に答える形で、絵の解説を行ったが、途中で涙声で「すみませんでした」と謝罪した》
弁護人「完全に覆いかぶさった状態でどれくらい時間が経ちましたか」
被告「私の感覚では短かったのです」
弁護人「その後、どうなりましたか」
被告「リンゼイさんは動かなくなりました。リンゼイさんが逃げるのを止めたと思いました」
2011.7.7 18:47 (5/5ページ)
弁護人「リンゼイさんは下を向いていましたか」
被告「はい」
弁護人「あなたはリンゼイさんを仰向けに起こしましたか」
被告「起こしました」
弁護人「どうなっていましたか」
被告「リンゼイさんは両目を開けていました。目の焦点は合っていませんでした」
《傍聴人席で目頭をハンカチで押さえ、泣く姉妹たち。検察側の後方に座る両親も目に涙をためながら、姉妹たちを心配するように見つめていた》
《市橋被告はその後、人工呼吸、心臓マッサージを説明した》
弁護人「あなたは心臓マッサージの技術を持っていましたか」
被告「持っていません」
《一般的に心臓マッサージで胸骨は骨折するとされるが、リンゼイさんの胸骨は折れていなかった》
弁護人「(胸が折れるような)やり方で心臓マッサージをしたのですか」
被告「していません」
弁護人「被害者を殺害しようとしたのですか」
被告「思っていませんでした」
《リンゼイさんの両親は「信じられない」という表情をしながら、ほぼ同時に体をのけぞらせた。殺意の有無は裁判の最大の争点となっており、弁護人は質問を続ける》
弁護人「死んでもいいと思いましたか」
被告「思いませんでした」
弁護人「死んでしまうかもしれないとは」
被告「思わなかった…。すみません」
弁護人「左腕がリンゼイさんの首を圧迫していると分からなかった」
被告「分からなかった…」
《絞り出すように答えた市橋被告。弁護人は「予定したものは終わりました」と堀田真哉裁判長に告げ、堀田裁判長は閉廷を宣言した。8日午前10時から被告人質問が続けられる》
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Category:市橋達也の法廷ライブ
市橋達也の法廷ライブ・7月7日第三回公判(1)~(4)
2011/07/07/(Thu) 21:17

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真ん中がリンゼイさん
【英国女性殺害 市橋被告3日目(1)】最初の一言は「自分に見覚えあるか」…全速力でリンゼイさん追いかけ 同居の外国人女性証言 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070711450003-n1.htm
2011.7.7 11:43 (1/4ページ)
(10:09~10:22)
《千葉県市川市のマンションで平成19年、英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=が殺害された事件で、殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判が7日、千葉地裁(堀田真哉裁判長)で始まった。今回は午後から市橋被告本人の被告人質問が行われる予定だ》
《初公判で市橋被告は「事件の日に何があったか裁判で話すことが私の義務。これからの裁判で詳しくお話しします」と述べた。被告本人の口から何が語られるのか》
《午前中には、事件当時にリンゼイさんと同居していた外国人女性への証人尋問が行われる。事件前に市橋被告とリンゼイさんのやり取りを間近で見ていただけに、最も重要な証人といっていい》
《法廷は千葉地裁最大の201号だ。午前10時9分、被害者参加人として裁判に参加するリンゼイさんの父、ウィリアムさんと母、ジュリアさんが入廷し、傍聴席から向かって右側の検察官席の後ろに座った。ウィリアムさんは傍聴席を見渡すと、軽く笑みを浮かべ、ジュリアさんと二、三言言葉を交わした》
《すぐ後に市橋被告が左側の扉から入ってきた。うつむき気味で縮れたボサボサの長めの髪が目にかかっている。黒色の長袖シャツに濃いグレーの細身のジーンズをはいている》
《市橋被告は、憔悴(しょうすい)した様子でリンゼイさんの両親に深く一礼し、証言台の後ろにある長いすに腰を下ろした。ウィリアムさんは、被告の方を見ずに傍聴席の方に目をそらした》
《いずれも男性の裁判員6人が入廷。堀田裁判長ら裁判官3人の後ろに並び、法廷内の全員が起立、礼をした後、席に着いた》
2011.7.7 11:43 (2/4ページ)
《裁判の最大の争点は殺意の有無だ。初公判で市橋被告はいきなり土下座し、「リンゼイさんの死に対して責任は取るつもりです」とリンゼイさんの両親に謝罪したが、「殺意はありませんでした」と述べた》
《検察側は「リンゼイさんへの乱暴の発覚を防ぐという動機があり、3分以上、相当な力で首を圧迫し続けた」と殺意を強調したのに対し、弁護側は「大声を出さないよう口をふさいだが、リンゼイさんが逃げようとしたため、顔に腕を回して押さえ込むうちに動かなくなった」と殺意を否定した》
《第2回公判では、リンゼイさんの遺体を司法解剖した女性医師が証人として出廷し、「首の中央を強く圧迫する力が加わった。窒息死には最低でも3分は必要だ」と検察側の主張に沿った証言をした》
《一方で、弁護側がリンゼイさんにかぶさり、腕を首に回す市橋被告のイラストを示し、「この状態でも窒息死はあり得るか」と質問したのには「肘から下が当たっていればなります」と答え、弁護側の主張にも余地を残した》
《背の高い白人女性が入廷し、証言台の席に座った。長い金髪を後ろに丸く束ねている。午前10時12分、堀田裁判長が告げた》
裁判長「それでは開廷します」
《堀田裁判長が「名前は?」と女性通訳を介して質問していく。証人の女性は「○○(法廷では実名)です」と答えていく。その後、堀田裁判長が宣誓を促し、通訳を介して○○さんが宣誓する》
証人「誠実に真実を証言することを誓います」
裁判長「それでは、そこに腰かけて証言してください」
2011.7.7 11:43 (3/4ページ)
《起訴状によると、市橋被告は19年3月25日ごろ、自宅マンションでリンゼイさんの顔を何度も殴り、両手を結束バンドなどで縛って乱暴した上、首を絞めて殺害。遺体をベランダの浴槽に入れて土で埋めて遺棄したとされる》
《若い男性検察官が立ち上がり、「この項目に従って質問します」と述べ、裁判員らにメモが配られた》
検察官「事件が起きた当時、リンゼイさんと日本で一緒に住んでいましたね?」
証人「はい」
《○○さんは、カナダから来日。リンゼイさんと同居していた上、リンゼイさんと同じ英会話学校で英会話講師をしていた。一度、カナダに戻ったが、今回は証言のために再来日したという》
検察官「市橋被告と一度会ったことがありますね?」
証人「はい」
検察官「それは平成19年3月21日未明にリンゼイさんと一緒に部屋にやってきたときのことですね?」
証人「そうです」
《○○さんが前日20日の夜から別の友人と自宅にいたところ、東京メトロの行徳駅前でほかの友人とバーで飲んでいたリンゼイさんが市橋被告を連れて帰ってきたという》
検察官「何時ごろでしたか」
証人「終電の後だったので深夜、12時何分かだったと思います」
《2人が帰ってきたとき、○○さんは、友人とダイニングルームにいた》
検察官「そのとき、リンゼイさんとあなたはどうしましたか」
証人「リンゼイさんは私を浴室に連れていきました」
2011.7.7 11:43 (4/4ページ)
検察官「市橋被告についてリンゼイさんは、どのような説明をしましたか」
証人「リンゼイさんは行徳駅から西船橋まで電車に乗ったところ、彼(市橋被告)がじっと見ていたということでした」
「彼女は駅を下りて自転車で帰宅しようとしたところ、『自分のことを見覚えあるか。洗濯機を直したことがある』と声をかけてきたといいます。リンゼイさんは『見覚えがない。会ったことはありません』と答えました。すると、『英語の先生をやっていますね』と尋ねてきたといいます」
《市橋被告がこの日、リンゼイさんに声を掛ける前に自宅の洗濯機を修理したという事実は確認されておらず、市橋被告がリンゼイさんに接近するための口実とみられている》
《ウィリアムさん夫妻はしきりにメモを取っている。裁判員らは真剣な表情で証言に耳を傾けている》
証人「リンゼイさんが自転車で全速力で家に向かったところ、彼が全速力で走って追いかけてきたということです。アパートに着くと、(市橋被告は)息が切れていたそうです」
「彼女が『水をあげる』と言ったのか、彼が『水をください』と言ったのか分かりませんが、水を飲むということで、自宅に来ることになったようです」
《証言が続く間、市橋被告はうなだれたような姿勢のまま、微動だにしなかった》
【英国女性殺害 市橋被告3日目(2)】「ストーカーじゃない。似顔絵描かせて」 何度もせがまれ根負け - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070712070004-n1.htm
2011.7.7 12:07 (1/4ページ)
(10:23~10:41)
《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判で、事件当時、リンゼイさんと同居していた外国人女性、○○さん(法廷では実名)への検察側の証人尋問が続く》
《男性検察官は平成19年3月21日未明、市橋被告がリンゼイさんの自宅に上がり込み、居座ったときの状況について、通訳を通じて質問した。当時、室内には市橋被告、リンゼイさん、○○さんの他にも、リンゼイさんの友人女性1人がいた》
証人「(市橋被告が)『大学で美術を学んでいる。自分はストーカーではない。英語を教えてもらいたいだけ』と言っていました」
検察官「その他に、市橋被告に頼まれたことはありますか」
証人「私たちの似顔絵を描きたいと言っていました。私たちは『ノー(だめ)』と言いました」
検察官「でも市橋被告はリンゼイさんの似顔絵を描きました。どうしてですか」
証人「何度も『描かせてほしい』と言い、彼女は描かせて早く(市橋被告を)帰らせたいと考えていました」
《市橋被告はリンゼイさんの似顔絵を描いた紙に自らの名前、電話番号、メールアドレス、日付を記してリンゼイさんに渡したという。一方、リンゼイさんも自分の連絡先を書いた紙を市橋被告に渡した》
2011.7.7 12:07 (2/4ページ)
検察官「どうして市橋被告に連絡先を教えたと思いますか」
証人「とにかく彼女は家から彼を帰したいと考えたからだと思います」
検察官「市橋被告はすんなり帰りましたか」
証人「いいえ、家にとどまりたい雰囲気でした。彼女が(市橋被告を)玄関まで送っていき、『ちゃんと帰れる? 帰り方は分かる?』と話していました。彼女が『グッドナイト(おやすみ)』と繰り返し、ようやく(市橋被告は)帰っていきました」
検察官「市橋被告が滞在した時間は?」
証人「20分から30分ぐらいでした」
検察官「リンゼイさんは市橋被告に家にいてほしいと考えていましたか」
証人「いいえ。彼女はしぐさから、リラックスしていないと分かりましたし、(迷惑しているというような)アイコンタクトも送ってきました。(市橋被告に対する)言葉遣いは丁寧でしたが、あくまでも形式的なもので、友達に対するものではありませんでした」
検察官「市橋被告が帰った後、リンゼイさんは何と言っていましたか」
証人「『変わった人だね。気味が悪いね』と言っていました」
《向かって右から2番目の男性裁判員は、○○さんの言葉を聞きながら、メモを取る。○○さんは、リンゼイさんが事件に巻き込まれて行方不明になっていた3月26日、リンゼイさんが勤務していた語学学校関係者とともに警察に通報。さらに27日には、リンゼイさんの遺体の身元確認も行っている》
2011.7.7 12:07 (3/4ページ)
検察官「リンゼイさんはどんな状態でしたか」
証人「遺体は、テーブルの上に横たわっていました。遺体の髪はショートヘアで、彼女はロングヘアだったから、別人だと思って近づきましたが、彼女の遺体でした」
《○○さんは、涙声になり始め、涙をぬぐった》
証人「髪が切り取られ、顔はむくんではれ上がり、彼女が徹底的に殴られているのが分かりました。本当にショックでした」
《初公判では、リンゼイさんの大量の毛髪が室内のゴミ袋に遺棄されていたことが明らかにされている。検察側の後ろに座るリンゼイさんの母親のジュリアさんは、○○さんの話を聞きながら、ハンカチで目頭を何度もぬぐった》
検察官「今も涙をぬぐっていましたが、4年たった今もショックは大きいですか」
《○○さんは、何度もうなずき、「はい」と答えた》
検察官「リンゼイさんはあなたにとってどんな存在でしたか」
証人「とても思いやりのある人でした。他人を大事にする人で、器が大きく、自分自身にも自信を持っていた人でした」
検察官「あなたがリンゼイさんの優しさを感じたエピソードを教えてもらえますか」
《ジュリアさんの隣に座る父親のウィリアムさんは生前のまな娘の話を聞き逃すまいと、○○さんを食い入るように見つめる》
証人「私は当時、カナダにボーイフレンドがいましたが、別れるかもめていました。別れることになり、取り乱したとき、彼女は『大丈夫』と慰めてくれました」
《ウィリアムさんは一瞬、眉間にしわをよせ、涙をこらえるような表情を見せる》
2011.7.7 12:07 (4/4ページ)
検察官「事件であなたの生活に変化はありましたか」
証人「はい。予定よりも早く帰国しました。彼女は強い人でした。強いからこそ、他人を信頼できましたが、それがあだとなりました」
《ジュリアさんは何度もうなずき、目と鼻をハンカチでぬぐう》
検察官「あなたは大事な人を失いました。市橋被告に、どんな処罰を望みますか」
《○○さんは、冷静な声で訴える》
証人「まずは死刑を望みます。死刑にならなくても、二度と社会には出てほしくありません。反省も後悔もしておらず、また同じことを繰り返すと思います」
《ここで検察側の証人尋問が終わり、弁護側による質問に移る。○○さんの後方にある被告人席に座る市橋被告は背中をやや丸めて座り、動きを見せなかった》
【英国女性殺害 市橋被告3日目(3)】「気味の悪い、変わった人」 リンゼイさんが語った被告の印象 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070712540007-n1.htm
2011.7.7 12:53 (1/6ページ)
(10:43~11:05)
《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判。事件当時、リンゼイさんと同居していた○○さん(法廷では実名)への証人尋問は、検察側の尋問が終わり、弁護側の尋問へと移る》
《男性弁護人は、リンゼイさんと市橋被告の関係について、事件直後、供述調書を作成したときの状況を確認する》
弁護人「警察には、正直に話したということで、よいですか」
証人「はい」
《男性弁護人はリンゼイさんと市橋被告の関係について尋ねた》
弁護人「市橋被告はリンゼイさんに『英語を教えてほしい』としきりに頼んでいたのですね?」
証人「市橋被告は、リンゼイさんだけに頼んでいて、一緒にいた私たち2人の友人には頼んできませんでした」
《男性弁護人の質問は、市橋被告がリンゼイさん宅で描いたという似顔絵についてに移った》
弁護人「市橋被告は、(リンゼイさんの自宅で)リンゼイさんの似顔絵を描いて、連絡先を添えて渡したのですね?」
証人「はい」
2011.7.7 12:53 (2/6ページ)
《男性弁護人が法廷の壁に設置された大型モニターにそのときの似顔絵を映し出す。シンプルな線で描かれた、ほほえむリンゼイさんの横顔の右に、市橋被告の名前と電話番号、メールアドレスが書かれている。市橋被告はモニターを見ようともしない》
《男性弁護人は、似顔絵を証拠として採用することを求め、堀田真哉裁判長はこれを許可した》
弁護人「市橋被告が帰ったあと、リンゼイさんは彼のことを『気味の悪い、変わった人』と言っていたのですね?」
証人「はい」
弁護人「『危険だ、怖い人物だ』とまでは言っていなかったのですね」
証人「はい」
弁護人「あなたも危険とまで思わなかった?」
証人「私は彼のことを評価できるほど、そばにいたわけではないので…」
弁護人「危険とまでは思わなかったということですね?」
証人「市橋被告を評価できるほど、そばにいたわけではないというだけで、危険だと思わなかったわけではありません。私も気味が悪いとは思いました」
弁護人「あなたと市橋被告は、そのときが初対面だったのですか」
証人「はい」
弁護人「リンゼイさんも市橋被告とは初対面だ、と言っていたのですね?」
証人「はい」
弁護人「初対面の市橋被告を、リンゼイさんは深夜、自宅に連れ帰ったのですね?」
証人「はい」
《男性弁護人は、○○さんの口から、リンゼイさんは○○さんと違って市橋被告に好意的だったとの言葉を引き出したいようだ。リンゼイさんの両親は、男性弁護人を注意深く見つめている》
弁護人「(市橋被告の似顔絵を画きたいという)申し出に対し、リンゼイさんだけが了承した?」
証人「はい」
弁護人「そのときに、リンゼイさんは、自分の連絡先を(市橋被告に)渡したのですね?」
証人「はい」
《男性弁護人は、リンゼイさんの自宅に来たとき、帰りたがらなかったという市橋被告の様子について質問する》
弁護人「市橋被告が自宅に来た時間は、深夜12時過ぎだったのですね?」
証人「はい」
弁護人「あなた自身、迷惑だから(市橋被告に)早く帰ってほしい、と思いましたか」
証人「はい」
《男性弁護人は、○○さんが、そのとき、市橋被告に抱いた悪い感情について質問を続ける》
弁護人「市橋被告が帰りたがっていないように見えたのは、あなたが(市橋被告に)早く帰ってほしいと思っていたからではないですか」
証人「まぁ、そうですね」
《男性弁護人は、市橋被告に好意を持っていたともとれるようなリンゼイさんの行動について、○○さんから話を引き出そうとしているようだ》
2011.7.7 12:53 (4/6ページ)
弁護人「市橋被告がリンゼイさんに『水を飲ませてくれ』と言って、自宅に上がり込んだんですか。それともリンゼイさんが『水でも飲みませんか』と誘ったのですか」
証人「よく覚えていません」
弁護人「事件直後に作成されたあなたの供述調書によると、『リンゼイさんは達也(市橋被告)の息が切れているから、水でもどうぞ、と誘った』と書いているが、その内容が正しいのでは?」
証人「はい、そう言いました」
弁護人「今は事件から4年がたっています。供述調書は事件直後に作成したものです。直後の供述調書の方が正しいのではないですか」
《○○さんは、「今は覚えていない」と答えるが、男性弁護人は重ねて質問する》
弁護人「事件直後の方が正確なのではないですか」
証人「それは、そうです」
《男性弁護人が改まったように上体をそらした》
弁護人「○○さん、市橋被告にあなたはどのような感情を持っていますか」
証人「感情の変化までですか」
弁護人「ただ、あなたが市橋被告をどう思っているか聞きたいだけです」
《○○さんは、体をよじらせ、しばらく沈黙したあと、ゆっくり一語一語区切るように話し出した》
証人「本当に許せない。耐えられない憤りを感じます。彼は彼女に対してしたことについて、償うべきです」
《リンゼイさんの父、ウィリアムさんが「その通り」というように、小さくうなずいた》
2011.7.7 12:53 (5/6ページ)
弁護人「そういった感情が市橋被告に対する記憶を変容させているわけではないのですか」
証人「市橋被告はああして彼女を殺しました。私が抱く気持ちは当然のものです」
《小さい声ながら、○○さんは、はっきりと答えた》
弁護人「あなたはカナダ国籍ですか」
証人「はい」
弁護人「カナダには死刑がありますか」
証人「ありません」
《弁護人が質問を変える》
弁護人「マンションは商店街からはずれていますよね?」
証人「そうです。はずれています。住宅街です」
弁護人「リンゼイさんが帰宅したのは21日にかけての深夜ですね?」
証人「そうです」
弁護人「ずいぶん遅い時間と思いますが、日本は治安がいいので、夜中に移動しても問題ないとお感じでしたか」
《ここで通訳の女性から質問が出る》
通訳「それは今日現在の気持ちですか。それとも当時?」
《同居していた友人が事件に巻き込まれ、痛ましい姿で見つかる。確かに現在は治安がいいと感じているはずがない》
弁護人「当時です」
2011.7.7 12:53 (6/6ページ)
《○○さんは「そうです」と答え、弁護人の質問は終わった。次いで男性検察官が追加の質問を行う》
検察官「リンゼイさんが深夜に帰宅したとき、あなたと友人が自宅にいることは知っていたのですか」
証人「はい」
検察官「リンゼイさんが被告を家に入れた理由について、リンゼイさんがどう感じていたと思いますか?」
《○○さんは、まっすぐ裁判長の方を見つめながら答えた》
証人「彼女は人に対して邪険にしない。人を思いやる、大丈夫と思う気持ちをいつも持っていた人ですから」
《ここで○○さんへの証人尋問は終了し、20分間の休廷に入った。市橋被告はうなだれたような姿勢のまま、刑務官に促されて退廷した》
【英国女性殺害 市橋被告3日目(4)】「遺伝病」「第5因子」「血液病」…持病に関心? 市橋被告が謎のネット検索 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110707/trl11070713520008-n1.htm
2011.7.7 13:52 (1/3ページ)
(11:30~12:00)
《英国人英会話講師のリンゼイ・アン・ホーカーさん=当時(22)=に対する殺人と強姦(ごうかん)致死、死体遺棄の罪に問われた無職、市橋達也被告(32)の裁判員裁判の第3回公判は、午前11時半に再開した。裁判員の証人尋問に向け、協議に時間がかかったのか、予定時刻よりやや遅れての再開となった》
《傍聴席から向かって左側の扉から入った市橋被告は、先に入廷していたリンゼイさんの両親に向かって、ゆっくりと頭を下げた。だが、両親はうつむいたまま目を合わせようとしない》
《事件当時、リンゼイさんと同居していた友人の○○さん(法廷では実名)に対する裁判員からの証人尋問が始まる。堀田真哉裁判長が質問を促すと、向かって左から3人目の青いシャツにメガネをかけた裁判員の男性が質問する》
裁判員「一つうかがいたいことがあります。リンゼイさんは、被告の(英会話の)個人レッスンを引き受けたといいますが、それについて、リンゼイさんは何か感想を言っていましたか」
《堀田裁判長が、質問内容の再確認をした後、○○さんが答える》
証人「彼女と最後の会話を交わしたときのことを思い起こしますと、キッチンで話していたと思います。ボーイフレンドがやってくる。そうしたら旅行するんだと言っていました。そして、両親のことを話し、(勤務先の英会話教室の)レッスンのことを話す中で、プライベートレッスンについても言及したことがあったと記憶しています」
裁判員「そのときの様子は?」
証人「特に気づいたことはありません。さらっと言及したにすぎませんので…」
《裁判員の男性は、○○さんに向かってうなずき、質問を終える》
2011.7.7 13:52 (2/3ページ)
裁判長「他にありませんか」
《堀田裁判長は、左右を見回し、質問を促すが手は挙がらない》
裁判長「これで証人尋問は終わりました。ありがとうございました」
《○○さんは、証言台を立ち、傍聴席側から少し疲れた様子で退廷する。市橋被告はじっとしたままで身動きをせず、ややうつむいた姿勢で座っている》
《続いて弁護側の提出した証拠調べに入る。法廷の左右の壁に設置された大型モニターに概要が表示され、ところどころ、弁護人が口頭で説明を入れる》
弁護人「まずは第1号証ですが…」
《第1号証は、被害者の直腸内温度と死亡推定時刻に関する報告書だ。リンゼイさんの直腸内温度は検視時の平成19年3月27日午後1時43分には19・6度。これを法医学の教科書に基づき、2種類の方法で検証すると、死亡時刻は26日午後0時55分ごろか、26日午後3時58分ごろになるとした》
弁護人「いずれの方法も確実とはいえず、かなりの幅があり、あくまで目安であるとされています」
《弁護側はそう結論付けた。次いで、浴槽の痕跡に関する実況見分の資料の説明に入る》
《弁護側はリンゼイさんの遺体が発見された取り外し可能な浴槽と、体形のよく似た男性を使い、畳の上に置いた場合の畳のへこみ具合を検証。男性の姿勢を変えた4パターンの実況見分の結果を示した》
《これによると、リンゼイさんの遺体が見つかったときと同様、浴槽内にうずくまった状態でいるときには、畳に排水口の丸い跡は残らず、排水口側に背を向けて座った状態のときのみ、畳に直径約3センチの排水口の丸い跡が残るとした》
2011.7.7 13:52 (3/3ページ)
《これにより、何を立証しようとしているのか。弁護側の意図はまだ分からない》
弁護人「第17号証です。被告のインターネットの検索状況に関する報告書を示します」
「これは被告のノートパソコンで、ネットにアクセスした記録をハードディスクを解析して検索ワードを調べたものです」
《法廷の大型モニターに検索語が表示される。弁護側の説明によると、ネット検索は3月25午後11時38分から26日午前0時すぎに行われた。ワードはいずれも英語で「ワルファリン」「遺伝病」「第5因子」「血液病」「糖尿病」など医療用語だった》
《「ワルファリン」は医薬品の名前だ。初日の弁護人の冒頭陳述では、リンゼイさんが被告に「持病がある。薬を飲まないと」と訴えていたと主張しており、弁護側の主張する死亡推定時刻と照らすと、検索時、リンゼイさんは生存しており、薬を与えようとしたとの主張を展開するとみられる》
《その後、リンゼイさんの遺体や犯行現場となったマンション室内の写真を提示。マンションの4畳半の和室を撮影した写真では、浴槽の排水口跡とみられる丸い跡が南西の角の畳に残っていることを示した。実況見分の証拠として示したリンゼイさんの浴槽内の姿勢と関連付けたいようだが、弁護側はそれ以上、説明しなかった》
《また、6畳の和室のパソコンなどが置かれたテーブルの写真の右端には、「WARFERRIN(ワルファリン)」と書かれた手書きのメモが写り込んでいたことを示す証拠を提出した》
弁護人「ワルファリンを辞書で調べますと、『抗凝血製剤』という単語が出てきます」
《弁護人がここまで説明したところで、裁判所側は全ての証拠を採用。裁判長が休廷を宣言し、午前中の審理を終えた。午後は1時15分から再開の予定だ。市橋被告は身じろぎせず、終始うなだれたままだった》
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Category:市橋達也の法廷ライブ
市橋達也の法廷ライブの補足・解説
2011/07/07/(Thu) 09:45
市橋達也の法廷ライブ・7月4日初公判(1)~(4)http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-270.html
市橋達也の法廷ライブ・7月4日初公判(5)~(8)
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-271.html
市橋達也の法廷ライブ・7月5日第二回公判(1)~(3)
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-272.html
市橋達也の法廷ライブ・7月5日第二回公判(4)~(8)
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-273.html
リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件のキーマン、市橋達也の裁判がようやく始まったのだが、新たな事実から多すぎて整理しているところである。「市橋土下座、ウィリアムさん指突き立てる」、「市橋、公判中微動だにせず」、なんだか大掛かりな芝居を魅せつけられているような気がするのだが、気のせいだろうか。
初公判、第二回公判を終え、現時点で確定的なことは、市橋達也への有罪の裁定である。市橋は、検察が主張する殺人・強姦致死に関しては否認の立場だが、弁護団が主張する監禁致死と強姦の罪状に関しては市橋自身が死体遺棄行為とリンゼイさんとの性行為を法廷の場で認めてしまった以上、無罪の線は完全に無くなったと言っていい。控訴審があるとすれば、死刑判決を下された時だろう。
それにもまして、新たに判明した事実が多すぎて少々戸惑っている。
◇ 罪状認否
のっけから有罪確定であった。「姦淫したことは認めますね」という裁判長の質問に「はい」と答え、「リンゼイさんの遺体を遺棄したのは私です」と死体遺棄を認めてしまっては、弁護団が主張する傷害致死と強姦は認めてしまったようなものだから有罪は確定的である。あとは、死刑との攻防である。検察の主張が通れば死刑。弁護団の主張ならば無期、無期同等の有期刑の裁定に落ち着くだろう。
かつて拘留期限三日前に自白した袴田巌は、罪状認否で全面否認した。拘留期限前日に“完落ちした”と騒がれた市橋達也は罪状認否で袴田巌のように全面否認するだろうと予想していた当方は面食らってしまった。罪状認否で監禁致死と強姦を認めてしまっては、死刑か有期かが争点になることは必至である。しかし、40日以上もの間、市橋が黙秘に徹した動機は一体なんだったのだろう。解せない部分である。
◇ 市橋の長髪には合理性がない
一先ず指摘しておかなければならないのば、法廷に現れた市橋達也は長髪だったことだ。確かに未決囚としての現状は丸刈りは強制ではない。刑務官がバリカンをもって現れても市橋達也は拒否できる。しかし、有罪がもはや決定的であれば、夏という季節もあり、丸刈りにしていてしかるべきだ。弁護団の主張を認めたということは懲役は覚悟しているはずなのだが、頭を丸めていないのは腑に落ちない。これは、市橋達也が長髪でいることを望んでいるのではなく、あくまで捜査側の意向だと考えれば合点がいく。
◇ 市橋達也は一重まぶたのままではないか?
市橋逮捕5日前、『ホクロの無い顔写真』が公開された時、”一重まぶたを二重にし、鼻を高くし、下唇を薄くして、最も特徴的な左頬にある縦に並んだ二つのホクロは取り払われた”と報じられた。2枚の写真は女子大で鑑定され本人だと断定された。『ホクロのない顔写真』に関しては【市橋達也の整形後の顔写真は捏造だった】で書いた。産経記事の整形前後が並べられた2枚の報道写真をレイヤーソフトで重ねたところ、目鼻口だけは尋常でなく離れているのに耳から下のあごラインがぴったりと合致するのである。


明らかな合成写真である。
『ホクロの無い顔写真』が合成のでっち上げである以上、法廷に立つ市橋達也は『ホクロの無い顔写真』では有りえない。どちらかといえば元の手配写真に似ているはずだ。法廷イラストをざっくり拾ってみても、どれも目元を前髪がちらついて見える。



市橋は公判中手錠が外されているのに髪をかきあげたりせず微動だにしないという。弁護団と当局に徹底した演技指導を仕込まれているということか。ちなみに整形疑惑に関しては公判では軽くスルーされている。
《偽名を使い、各地を転々としていた市橋被告。その際、各地で顔に整形手術を繰り返していたとされる。男性検察官はその状況を説明した》
検察官「20年10月23日と24日、名古屋市内で整形手術を受けました。この時は眉間の手術をしていますが、この時には鼻筋にシリコンが注入されており、過去にも整形手術をしていました。整形手術前の市橋被告の顔写真はこちらです」
《法廷の左右の大型モニターに、全国に指名手配されたときの市橋被告の顔が映し出される。写真は短髪で色が白く、幼さが残る表情の市橋被告が映されている。市橋被告は、特に視線をモニターの方に向ける様子はなかった》
検察官「市橋被告は平成21年11月10日に大阪市住之江区のフェリー乗り場待合室にいたところを、大阪府警住之江署員に発見され、署に任意同行されたあと、同日通常逮捕されました。逮捕時の写真がこちらです」
《大型モニターに映し出される逮捕時の市橋被告の写真。先ほどの写真に比べ、肌の色はやや黒くなり、髪はぼさぼさに伸びていた》
検察官「本日の証拠は以上です」
検察官「20年10月23日と24日、名古屋市内で整形手術を受けました。この時は眉間の手術をしていますが、この時には鼻筋にシリコンが注入されており、過去にも整形手術をしていました。整形手術前の市橋被告の顔写真はこちらです」
《法廷の左右の大型モニターに、全国に指名手配されたときの市橋被告の顔が映し出される。写真は短髪で色が白く、幼さが残る表情の市橋被告が映されている。市橋被告は、特に視線をモニターの方に向ける様子はなかった》
検察官「市橋被告は平成21年11月10日に大阪市住之江区のフェリー乗り場待合室にいたところを、大阪府警住之江署員に発見され、署に任意同行されたあと、同日通常逮捕されました。逮捕時の写真がこちらです」
《大型モニターに映し出される逮捕時の市橋被告の写真。先ほどの写真に比べ、肌の色はやや黒くなり、髪はぼさぼさに伸びていた》
検察官「本日の証拠は以上です」
注目すべき点は『左頬にある縦に並んだ二つのホクロ』と『一重まぶたを二重にした』ことに触れていない点である。とにかく、裁判員には市橋に「ちゃんと顔をみせて欲しい」と突っ込みを入れて欲しく願う。
◇ 検察側の冒頭陳述
犯行のいきさつについて、当初は西船橋駅で終電近くにナンパというのが従来の設定だったが、【親しい関係にあったのではないか】で指摘したように、二人は東京メトロ東西線の車中から一緒にいたようだ。内容は、「市橋被告はリンゼイさんのことをじっと見つめていました」という部分からも分かるように、ストーカー色が強いものになっている。
あくまで、外国人女性を無差別に狙ったストーカー犯罪の延長にある強姦殺人事件という位置づけを崩さずに公判を進めていくつもりだろう。
◇ 市橋がカートから荷物を五回部屋に運び入れたとする防犯ビデオの記録
検察側の証拠調べであるが、気になった部分を突っ込んでいく。
《モニターには、リンゼイさんが殺害された平成19年3月26日午後6時ごろ、マンションの駐車場で、市橋被告がショッピングカートから何かを運ぶ様子が映し出されている》
検察官「市橋被告は5回ほど部屋と駐車場を往復した後、駐車場にカートを残して部屋から出てきませんでした」
検察官「市橋被告は5回ほど部屋と駐車場を往復した後、駐車場にカートを残して部屋から出てきませんでした」
これが事実であれば、なぜ、市橋の逃走中に殺人で逮捕状が取れなかったのだろうか、という疑問が浮かぶ。死体遺棄の材料を自ら購入し部屋に運びいれたということは、死体遺棄の犯意は明らかであり、殺人もしくは監禁致死容疑で逮捕状が取られてしかるべきではないだろうか。防犯カメラに映る、カートと部屋を五回も行き来した人物は本当に市橋なのだろうか?という疑問は拭いきれない。
◇ エレベーターの防犯ビデオのくだり
最も違和感を覚えたのはリンゼイさん失踪当日(25日朝10時頃)のエレベーターの防犯ビデオのくだりである。大事な部分がバッサリ切られているようだ。
検察官「エレベーターの中の様子です」
《エレベーターの内部の様子が映し出される。先に乗り込んだ市橋被告が、リンゼイさんを待って、4階のボタンを押す》
検察官「リンゼイさんの様子にご注目ください」
《リンゼイさんは、そわそわした様子で、しきりに左手首に目をやっている。時間を気にしているようだ。リンゼイさんの母、ジュリアさんは殺害される直前の娘の姿に、目頭を覆っている》
《男性検察官に交代し、画面が切り替わる》
《エレベーターの内部の様子が映し出される。先に乗り込んだ市橋被告が、リンゼイさんを待って、4階のボタンを押す》
検察官「リンゼイさんの様子にご注目ください」
《リンゼイさんは、そわそわした様子で、しきりに左手首に目をやっている。時間を気にしているようだ。リンゼイさんの母、ジュリアさんは殺害される直前の娘の姿に、目頭を覆っている》
《男性検察官に交代し、画面が切り替わる》
全く、エレベーターの防犯ビデオに二人が抱擁しキスをする光景が記録されているという話はどこに飛んでいったのだろうか。


「マンションのエレベーターの防犯ビデオに二人でハグ&キッス姿が写ってたよなw!」と事件一週間後に投稿された”霊能力者の霊視結果”で防犯ビデオの内容に触れていることは無視できない。
英Times誌のインタビューで「彼女は私の娘のように見えなかった。(中略)リンゼイさんの歩き方がまるでゾンビのように見えたため(彼はこれを口にすることを躊躇った)、薬物を投与されていたに違いないと思っていた。」【※】という父親ビル・ホーカーさんのコメントからも分かるように、親すら拒絶するような受け入れ難いものであったことは想像に難くない。つまり、防犯ビデオが二人の友好な関係性を記録しているということだ。「親密な関係になかった」、「愛人関係になかった」と初動捜査の段階で二人の関係を否定してきた捜査本部にとって都合が悪いものが映っていたのは確かであろう。
果たして、エレベーターの防犯ビデオには抱擁しキスをする二人が記録されているという話は事実無根のデマだったのだろうか。だとしたら、早々に防犯ビデオを公開していてしかるべきだ。だが実際には防犯ビデオについては、市橋達也を再逮捕するときの理由の一つに挙げていながらも捜査本部は公開を拒み続けていたのである。
もし裁判所に証拠提出した防犯ビデオを編集カットされていたとするならば、例え被害者遺族に配慮したとしても明確な証拠隠滅、職権乱用行為である。弁護団はこの辺りの事実関係をはっきりさせるべきだ。
◇ 市橋の逃走劇は一体なにが本当なのか?
《大型モニターに、『被告が職務質問された状況』と、大きく映し出され、検察官が刑事の供述調書を読み上げる》
検察官「(3月26日)午後8時15分ごろ、リンゼイさん失踪の相談を受けた生活安全課の署員と刑事部の署員数人で、被告のマンションに到着。失踪の原因に、リンゼイさんが最後に目撃されたとき、一緒にいた被告が絡んでいる可能性があるとのことだった」
《検察官は、大型モニターに『逃走した時の状況』と示しながら、市橋被告が部屋の扉から顔を出した時の状況について読み進めた》
検察官「セーターを着て、クリーム色のリュックサックを背負った若い男が部屋から出てきて、市橋被告だな、と思った。職務質問をするのに、マンションの共用の廊下上では都合が悪く、被告の自室の状況も確認したかったので、『中に入って話を聞こうか』と言った。被告は、いきなりリュックサックを肩から下ろすと、署員を押しのけて、すごい勢いで走り出し、非常階段を降りていった。私は『逃げたぞ』と叫んで追いかけたが見失った」
検察官「(3月26日)午後8時15分ごろ、リンゼイさん失踪の相談を受けた生活安全課の署員と刑事部の署員数人で、被告のマンションに到着。失踪の原因に、リンゼイさんが最後に目撃されたとき、一緒にいた被告が絡んでいる可能性があるとのことだった」
《検察官は、大型モニターに『逃走した時の状況』と示しながら、市橋被告が部屋の扉から顔を出した時の状況について読み進めた》
検察官「セーターを着て、クリーム色のリュックサックを背負った若い男が部屋から出てきて、市橋被告だな、と思った。職務質問をするのに、マンションの共用の廊下上では都合が悪く、被告の自室の状況も確認したかったので、『中に入って話を聞こうか』と言った。被告は、いきなりリュックサックを肩から下ろすと、署員を押しのけて、すごい勢いで走り出し、非常階段を降りていった。私は『逃げたぞ』と叫んで追いかけたが見失った」
刑事の供述調書では、捜査員は午後8時15分に現場マンションに到着していたという。捜査員が406号室を訪問し市橋が逃げ出したのが事件報道では夜9時40分、事件発覚が夜10時である。つまり、捜査員が現場に到着してから一時間半後に市橋が逃げ出すのである。
事件翌27日未明に配信された時事通信の第一報では『捜査員が隣室のベランダから覗いたところ、ベランダにバスタブを発見した』とされている。捜査員が8時15分に到着したとき、406号室を訪問し不在確認しているはずだ。でなければ、捜査員は隣室に協力を仰ぎ、ベランダから406号室を覗き込むことはしないだろう。そこで捜査員は406号室のベランダにバスタブがあるのを発見する。不在確認した部屋を再度訪問するのもおかしな話であるが、再度406号室を訪問したところ、男が玄関ドアを開けダッシュで逃げたと主張しているのだが、不在確認されたはずの406号室にどうやって市橋がもどってこれたのか。この時捜査員は逃走経路を遮断するようにマンションの外にも捜査員を配置していたはずである。
他方、今年一月に産経からこんな記事が配信された。
【衝撃事件の核心】ベールに包まれた2年7カ月どこまで語る 春過ぎにも市橋被告初公判 千葉・英国人女性殺害事件 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110108/trl11010812010012-n1.htm
---------------------------------[抜粋]
「あいつはしたたかだよ。頭が回る」
捜査関係者は市橋被告の逃走の経緯を振り返り、そのように評した。
19年3月26日午後3時半。リンゼイさんが出勤しないことを不審に思った勤務先などから千葉県警船橋署に捜索願が出された。これが長い捜査の始まりだった。
同署はリンゼイさん宅に残されていた電話番号を手がかりに市橋被告が住むマンションを突き止め、同日夜に署員らが市橋被告宅に向かった。そして玄関のドア越しに警察官であることを告げた後、扉が開いた瞬間のことだった。
「はいっ」
市橋被告は手に持っていた飲料水のペットボトルをおもむろに署員の方に差し出したのだ。
署員は思わず受け取り、あぜんとした。すると、そのすきを突いて市橋被告は室内の方向に全速力で逃走し、ベランダを伝って1階に飛び降りた。高校時代に陸上部のエースだった脚力を生かし、非常階段やマンション周辺に配置された警察官の追跡をかわして夜の闇に姿を消した。
現場近くには逃走の際に脱げた市橋被告の靴が残されており、市橋被告がとっさに逃げる方法を考えた上で、ペットボトルを手渡したことがうかがえる。
「普通、逃げるためにペットボトルを渡して気をそらすなんて、素人が考えつくことか…」
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http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110108/trl11010812010012-n1.htm
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「あいつはしたたかだよ。頭が回る」
捜査関係者は市橋被告の逃走の経緯を振り返り、そのように評した。
19年3月26日午後3時半。リンゼイさんが出勤しないことを不審に思った勤務先などから千葉県警船橋署に捜索願が出された。これが長い捜査の始まりだった。
同署はリンゼイさん宅に残されていた電話番号を手がかりに市橋被告が住むマンションを突き止め、同日夜に署員らが市橋被告宅に向かった。そして玄関のドア越しに警察官であることを告げた後、扉が開いた瞬間のことだった。
「はいっ」
市橋被告は手に持っていた飲料水のペットボトルをおもむろに署員の方に差し出したのだ。
署員は思わず受け取り、あぜんとした。すると、そのすきを突いて市橋被告は室内の方向に全速力で逃走し、ベランダを伝って1階に飛び降りた。高校時代に陸上部のエースだった脚力を生かし、非常階段やマンション周辺に配置された警察官の追跡をかわして夜の闇に姿を消した。
現場近くには逃走の際に脱げた市橋被告の靴が残されており、市橋被告がとっさに逃げる方法を考えた上で、ペットボトルを手渡したことがうかがえる。
「普通、逃げるためにペットボトルを渡して気をそらすなんて、素人が考えつくことか…」
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ここまで、話がおかしくなっているといただけない。何が本当なのか、事実認定はちゃんとしておくべきである。
検察官「リンゼイさんの安否確認をしなくてはならないと思って、被告の部屋に戻った。玄関を開けると、大きな女性用の黒い靴が置いてあり、リンゼイさんはここにいると直感した。そばのゴミ箱に、銀色の接着テープと、結束バンド、明るい茶色の髪の毛が絡まっているのを発見し、リンゼイさんに危害が加えられているのを確信した」
《リンゼイさんの父、ウィリアムさんが市橋被告をにらみつける。市橋被告は微動だにしない》
検察官「リンゼイさんを保護しようと各部屋を確認したが、リンゼイさんはいなかった。浴室の浴槽が外れているのに気付き、確認していないベランダを回ったところ、浴槽が置いてあった。一緒にいた署員が浴槽に詰まっていた土を軽くなでると、白い肌色の皮膚がみえた。触っても反応がなく、土が盛り上がったり下がったりと呼吸をしている様子もなかったので、土に埋まっているのは人間の遺体だと分かった」
《リンゼイさんの父、ウィリアムさんが市橋被告をにらみつける。市橋被告は微動だにしない》
検察官「リンゼイさんを保護しようと各部屋を確認したが、リンゼイさんはいなかった。浴室の浴槽が外れているのに気付き、確認していないベランダを回ったところ、浴槽が置いてあった。一緒にいた署員が浴槽に詰まっていた土を軽くなでると、白い肌色の皮膚がみえた。触っても反応がなく、土が盛り上がったり下がったりと呼吸をしている様子もなかったので、土に埋まっているのは人間の遺体だと分かった」
事件翌27日未明に配信された時事通信の第一報では『捜査員が隣室のベランダから覗いたところ、ベランダにバスタブを発見した』と書かれている。浴室を確認するまでもなく、406号室のベランダにバスタブが運びだされていることは、隣室のベランダから覗いて把握していたはずだ。それにしても回りくどい言い方である。
もう一つ気になったのが『捜査員が発見したとき、リンゼイさんはすでに死んでいた』ことを強調している点である。裏を返せば、リンゼイさんに蘇生措置、救命措置を施さなかったことを白状しているようなものである。捜査員はリンゼイさんをバスタブから取り出し、心臓に耳を当て、心音を確かめることはしなかった。これは事実として記憶にとどめておきたい。
さて、今日は第三回公判である。一先ず法廷ライブをエントリーして分析していきたい。
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