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大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 判決

2009/12/04(Fri) 05:23

【個室ビデオ店放火】小川被告、死刑判決に目潤ませ 〈MSN産経ニュース〉
2009.12.2 20:46
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091202/trl0912022048015-n1.htm

裁判長から「死刑」を告げられた男は目を潤ませ、痛恨の表情で法廷を後にした。2日、大阪地裁で開かれた大阪市浪速区の個室ビデオ店放火殺人事件の判決公判。無罪を確信していたという小川和弘被告(48)は、自らの主張をことごとく退ける判決理由を聞きながら何度も首をかしげ、不満を表した。一方、傍聴席の遺族らは小川被告の態度に「謝罪の声を聞きたかった」と改めて悔しさをにじませた。
 午後2時半、小川被告は黒の上着に灰色のズボン、マスク姿でゆっくりと入廷し、裁判長の方に向かって何度も深々と頭を下げた。証言台の前に立つと指先を伸ばして姿勢を正した。
 「主文は最後に言い渡します」。裁判長にそう告げられた小川被告は指示に従って弁護人の前の席に着席。ざわめく傍聴席を一目見た後、判決理由の朗読を待った。
 その直後、裁判長が「裁判所はいずれも有罪と認定します」と述べると、マスクを付けたままの小川被告は瞬きを繰り返した。判決理由の朗読に入ってからは背筋を伸ばして聞き入ったが、主張が退けられる度に首をかしげ、後ろの弁護人に同意を求めるように何度も振り返った。
 主文を言い渡された瞬間は微動だにせず、裁判長に小さく頭を下げた。弁護人が「控訴するよ」と告げると無言でうなずき、退廷の際は目を潤ませながら顔をしかめてうつむいた。
 小川被告は事件直後、動機や経緯を詳細に語ったが、その後否認に転じた。公判でも「火を付けていない。調子に乗って自供した。後悔している」と訴えた。被告人質問では時折笑いながら冗舌に語る一方、事件の核心部分はあいまいな説明に終始し、遺族からは「あまりにも幼稚」と非難の声が上がっていた。

 閉廷後、小川被告の弁護人は大阪市内で会見し「死刑という結論ありきの判決としか思えず、到底承服できない。動機や事実を認定するにあたり、弁護人の疑問に全然答えていない」と批判した。1日に小川被告と接見したといい、死刑もあり得ると伝えたが、「本人は死刑になるはずがなく無罪で出られると考えており、現実感を持って真剣に受け止めている感じではなかった」と明かした。



難波ビデオ店放火殺人 死刑判決の要旨 〈asahi.com〉
2009年12月2日23時53分
http://www.asahi.com/national/update/1202/OSK200912020191.html

 大阪・難波の個室ビデオ店火災事件の判決要旨
【主文】
 被告を死刑に処する。
【事実認定の説明】
《争点》
 ●被告は事件当日、「キャッツなんば店」に客として入店しており、公訴事実の時刻直前まで18号室にいたことは認めるが、同室内において放火したことはないと主張する。
《被告が火を放ったのか》
 ●出火した場所の特定
 大阪府警科学捜査研究所職員は焼損状況を検討し、再現実験の結果を踏まえ、出火個所と炎の燃え広がり方について以下のとおり説明した。店内の焼けた跡をもとに炎の流れをたどっていくと、出火元と考えられる場所として、18号室内のキャリーバッグが発見された場所に行き着く。その前提で、炎の流れを想定すると次のようになる。
 キャリーバッグが発見された場所から燃え広がり、18号室の東側壁面に炎が大きく立ち上がった。酸素のない奥の方には燃え広がらず、出入り口の方に燃え広がっていった。フラッシュオーバー現象(室内の可燃物が熱分解して引火性のガスが室内に充満した場合や、内装に使われている可燃性素材が発火した場合に、爆発したように一気に燃焼する現象)が発生した。炎は向かいの通路北側の壁にぶつかって左右に燃え広がり、下方向にも広がった。さらに炎は室内に入り、痕跡を残した。燃え広がった炎は10号室前に向かい、置いてあったラック上部を燃焼させ、非常な強烈なものになり、ドアが開いていた9号室に入り込み、室内を焼損させた。9号室の焼損が最も激しいのはこのためだ。
 以上の見解は、「キャッツなんば店」店内の特徴的な焼損状況について無理なく説明していて、十分納得できるものである。
 弁護人は、9号室が最も激しく焼損していることからすれば、9号室が出火元である、18号室に外から炎が流れ込んだ痕跡があることからすれば、18号室は火元でないと主張する。しかしながら、9号室内が最も激しく焼損しているからといって、出火場所と考えることはできない。
 以上によれば、本件現場の痕跡からだけでも、本件火災は、被告が利用していた18号室内(キャリーバッグの残骸(ざんがい)があった地点)から出火して、18号室内に燃え広がり、炎が出入り口から噴き出してさらに試写室スペースに燃え広がったことが推測できる。
 ●18号室内で出火した後の状況(出火直後の状況についての客及び店員の供述)
 30号室の客は「被告が18号室から出てきて、すれ違った。18号室の中をのぞくとキャリーバッグの上の方が燃えていた」と供述した。
 店員Aは「受付していたところ、涙と鼻水を出し、よだれを垂らした被告がきた。若い客から火が出ているのを聞き、試写室スペースに入った。18号室のドアが全開になっており、キャリーバッグの上から火が出ているのが見えた。ボーンという音がして、18号室の上の方から天井の方に火が噴き出した」と供述した。
 店員Bは「被告が受付のところに来た。被告が着ていた白いシャツは軽くすすけたような感じで、黒っぽかった。別の客が来て、『火や』などと言ったので、試写室スペースに入った。通路の角に置いてあった消火器を取りに行ったところ、いきなりボンと音がして暗くなった。18号室の方から炎が来たので、取ることができなかった」と供述した。
 以上の各供述は、いずれも具体的である上、特に不自然な点も認められない。
 弁護人が主張する点を考慮しても、上記の30号室の客、店員A及びBの供述内容に疑問を抱かせるような事情はないのであって、それぞれの供述を信用することができる。
 一方、被告は、当公判廷等において、上記の時間帯に当たる供述について、「キャリーバッグを18号室に持ち込んだことはない。エアコンのリモコンの調子が悪かったので、そのことを話しに受付に行くことにした。受付でリモコンの調子が悪いことを言った。その後、店員から外に出るように言われたが、その時は火災が発生していることには気付いていなかった」などと供述する。
 以上の被告の供述を前提とすると、本件火災後、キャリーバッグの残骸が18号室内から発見されたことについて合理的な説明ができない。また被告が受付でリモコンの調子が悪いことを言ったころ、本件火災が発生し、店員が異変を聞いて、試写室スペースに入っていくなどの対応をしたことは店員らが一致して供述しているところであるのに、被告はその点についてほとんど触れておらず、その不自然さは否定できない。
 したがって被告の供述は信用できない。
 以上によれば、18号室の出火後の状況においては、30号室の客、店員A及び店員Bの供述どおりであると認められる。
 ●検討
 18号室内のキャリーバッグから出火した際、被告は利用客として18号室に在室していた(出火直前に他の者が18号室に入った形跡はない)。被告が18号室から出た直後は、炎はまだ小さいものであった。したがって被告は、出火時に18号室の中にいて、出火に関与したものと考えられる。
 被告は、キャリーバッグからの出火に気付いたはずなのに、通路ですれ違った30号室の客や受付にいた店員らに対し、出火のことを言わなかった。これは、被告が出火に関与したからであると考えられる。
 被告の店員Aに対する「すみません」「補償もします。弁護士もつけます」などとの発言は、自らが出火に関与したことをうかがわせるものである。
 被告は、現場に臨場した警察官から「お前が火付けたんか」と聞かれた際、「死にたかったんです」と答えるなどしているが、その際の被告の言動は自殺目的で放火したことを認めたと考えるしか合理的な説明ができない。
 以上に加え、被告が喫煙のためにライターを所持していたことからすれば、被告がそのライターを用いるなどして、何らかの方法でキャリーバッグに火を放った事実を推認することができる。
《被告の故意》
 ●現住建造物等放火罪の故意
 被告は、本件店舗内に店員や他の客がいること、18号室の扉は木製であり、室内には木製棚、リクライニングソファなどの可燃性の高い物が備え付けられていたことについては、当然認識していたはずである。
 被告は、本件放火前に試写室スペース内を歩き回ったり、知人の部屋(17号室)を訪れたりしていたのであるから、通路の配置及び通路両側に試写室が並んでいることや、各試写室の扉が木製であることを認識していたものと認められる。
 被告において、上記のような事実を認識した上で、キャリーバッグ上部に火を放ったものと認められる。そのような方法で火を放てば、炎が18号室内、さらには他の試写室に燃え広がり、「キャッツなんば店」の建物を焼損させるに至ることは容易に想像できることである。そして、そのような認識のもとで本件放火に及んだのであるから、「キャッツなんば店」の建物を焼損することを認容していたことも認められる。
 上記のとおり、被告は、出火したことを店員らに告げていないが、この事実は、上記認定に沿うものということができる。
 以上によれば、被告に現住建造物等放火の故意があったというべきである。
●殺人罪の故意
 被告が、本件放火行為により、炎が試写室スペースに燃え広がることを認識していたと認められることは上記の通りである。
 また被告が、本件放火当時、他の試写室内に他の客がいることを認識していたことも認められる。
 そして、試写室スペース内を歩き回った被告において、試写室スペースからは試写室出入り口を通らなければ外へ出られないことや試写室スペースの通路が狭いなど、火災が発生した場合に試写室スペースから脱出しにくい構造であることを認識していたことも認められる。
 被告は、宿泊のために本件店舗を訪れたものであり、午前3時前という時間帯にも照らし、他の客が就寝している可能性を認識したと考えられるし、自分でもヘッドホンを使用したことなどから、ヘッドホンを利用している客がいる可能性も認識していたことも十分推認できる。
 したがって、被告において、上記のような事実を認識した上で、本件放火行為に及べば、逃げ遅れた客が死亡するに至る危険があることは容易に想像できるのであって、被告においてもその危険は十分認識していたと考えられる。そして、そのような認識のもとで本件放火に及んだのであるから、「キャッツなんば店」の各試写室内にいた客が死亡することを認容していたことも認められる。
 以上によれば、被告に「キャッツなんば店」の客らに対する殺人の故意があったというべきである。
《放火の態様及び動機の詳細》
 ●同行直後の自白について
 被告は、浪速署での取り調べにおいて、「最初、火は付けていないと答えていたが、2、3人の警察官に次々『おまえしかおらんのや』『おまえの部屋から火が出てるのを見たやつがおるんや』などと言われ、机をたたかれた。その後にらまれ、ボスみたいな警察官が出てきて、お手上げという感じになって、放火したことを認めた」などと供述する。
 しかしながら、この供述は内容が変遷しており、信用できない。
 また、被告は午前5時20分ころ、「部屋の中のティッシュをいっぱいとって丸めて私のキャリーバッグの中に火を付けたティッシュを入れました」などとの内容の自供書を作成しているが、この時点で火災発生から約2時間30分しか経過しておらず、現場の実況見分等はもちろん、参考人からの事情聴取等も十分に行われていないことは明らかである。そのような段階で、机をたたいたりするような追及的な厳しい取り調べの手段を用いるとは到底考えがたい。
 したがって任意性に影響を与えるような事情はない。
 ●被告人の否認
 被告は、検察官の取り調べにおいて、10月19日までは、放火した事実を認めていたものの、その一方で、10月17日の弁護人の接見において、放火の事実を否認し、また、10月19日の検察官の取り調べにおいても、当初、放火の事実を否認する供述をした。
 しかしながら被告は、10月18日の検察官の取り調べにおいて、「死刑になりたくないから、弁護士にうその話をしてしまった。きちんと事件に向き合います」と供述している。また、10月19日の取り調べ中に、「弱い心が出てしまいます。また事件から逃げました」「ひきょう者になりたくはありません。事実と向き合い、本当のことを話します」旨供述している。
 この点についてみるに、16人の被害者の死亡という重大な結果を生じさせた犯行を犯した者の心境として、犯行をいったん認めながらも、厳しい刑罰が予想されることから、何とかしてその刑罰から逃れたいと思って心が揺れ動くことは、理解できないことではない。
 そうすると被告が、弁護人の接見や検察官の取り調べにおいて、放火の事実を否認して、供述が揺れ動いたとしても、自白調書の信用性に大きな影響があるとは考えられない。
 ●自白の内容
 被告の自白は、放火した状況について、その方法、その際の心理状態等、詳細で具体的である上、特に、当時の心理については、本件の前からの移り変わりも含めて詳しく描写されている。
 警察官は、当公判廷において、火災原因等についての情報は知らなかったと供述しているが、その時点ではまだ火災発生から約2時間30分しか経過していないことからすれば、同供述は十分信用できる。
 そうすると、被告は、取調官がキャリーバッグが出火箇所であるとは知る前から、キャリーバッグに放火した旨供述していたのであるから、かかる経緯は、被告の捜査段階の自白が取調官の誘導によるものではないことを示すものである。
 ●小括
 以上のとおりであるから、被告人の自白調書の記載はおおむね信用することができ、犯行態様、犯行を決意するに至った経緯については、これによって認定することができる。
 次に、犯行を決意するに至った経緯についてであるが、被告は、9月28日に占いをしていた人物と知り合い、その人物と一緒に本件店舗に入店してから、店の雰囲気、部屋の狭さなどに若干うっ屈した気分を持ったものの、すぐに自殺を企図したわけではない。その人物が部屋を訪ねてきた後、逆にその部屋を訪ねた時点でも、追従的な言葉を述べたりしていて、自殺を企てるようなそぶりはうかがえない。その後眠ろうとしても眠れないまま、自分が個室ビデオ店にいることがいやになり、自分の人生が何だったのかと考えるうち、その場ですぐ自殺しようと決意した。極めて衝動的な自殺の決意というべきである。
《結論》
 ●以上のとおり、被告の捜査段階での自白以外の証拠に上記の自白を総合して被告が本件殺人、殺人未遂、現住建造物等放火の罪を犯した事実を認定することができる。
 なお弁護人は、被告には完全責任能力はなかった旨主張するが、被告に生じていた具体的な精神障害については何らの主張をしていないし、本件放火当時、被告に何らかの精神障害が生じていたことをうかがわせるような事情も認められない。したがって、本件放火当時、被告が完全責任能力を有していたと認める。
【量刑の理由】
《犯行の動機及び態様》
 本件当日、被告は、知人に連れられて本件店舗に入店した。個室に入って眠ろうとしたが眠れず、イライラした気分になり、自分を惨めに思って死にたいと考え、火をつけて自殺しようと企て、試写室内にいた他の利用客が火災に巻き込まれて死亡してもかまわないと考え、本件犯行に及んだ。
 被告は、衝動的に自殺することを決意して犯行に及んだものであり、他の利用客を積極的に殺害する意図があったとまでは認めることはできないが、犯行の動機は、短絡的で身勝手極まりないものであって、酌量の余地はない。
 被告が放った火が燃え広がり、店内には煙が充満した。直後に停電し、照明が消えて、店内は暗闇になり、店外に脱出するのは極めて困難であったと思われる。多数の利用客が死亡するに至ったのは、上記のような店内の構造・設備などもその一因であることは否定できない。
 しかし被告は、店内を歩き回って、店内の構造がそのようなものであることや他にも利用客が在室していることを認識しており、それを承知で本件犯行に及んだものであって、これは多くの人の生命を危険にさらす極めて悪質なものであるといわなければならない。
《犯行の結果》
 死亡した16人の被害者は、本件当夜、たまたま本件店舗を利用していたもので、被告とは全くかかわりのない者であった。もとより、何の落ち度もない。遺体の姿が物語るように、就寝中に火災に気付くことなく絶命した者も、火災に気付いて脱出しようとしたものの、暗闇の中、力尽きて絶命した者もいる。被害者らの苦痛、恐怖は、計り知れないものであったであろう。このような形で16人もの人々の生命を絶った犯行は、残虐なものといわなければならない。
 たまたま利用していた本件店舗で突然人生の終わりを迎えることになった各被害者の無念を思うと暗澹(あんたん)たる気持ちにならざるを得ない。
 遺族らは、意見陳述や供述調書などによって、それぞれの悲しみや被告に対する憎しみなどを述べる。多くの遺族は被告に対する厳正な処罰を訴え、極刑を望んでいるが、至極当然のことである。
 さらに、本件火災により、被害店舗が全焼し、同店舗の経営会社には少なくとも5000万円、同店舗が入っていたビルの所有者には修理費用として約2200万円という極めて多額の財産的損害が生じている。
《捜査段階及び公判段階における被告の態度》
 被告は、犯行直後から、警察官に対し、自分が放火したことを認め、取り調べに対して、事実を詳しく供述していたが、捜査段階の終盤、自白を撤回して犯行を否認し、当公判廷においても、自己が放火したことを否定している。自分の行った犯罪やその結果に真摯(しんし)に向き合う態度に欠けているといわざるを得ない。
《結論》
 本件は被告が身勝手な動機から、本件店舗に火を放って焼損させ、16人の被害者を殺害し、7人の被害者を生命の危険にさらしたもので、その行為を行った被告の人格態度は最大限の非難に値する。特に酌量すべき事情がない限り、死刑をもって臨むしかない事案であると考える。
 死刑を選択するについては慎重の上にも慎重を重ねて検討すべきであるが、以上にみた本件犯行の罪質、経緯、動機、態様、結果、被害感情、社会的影響及び犯行後の情状などを総合考慮し、特に、被告が他人の生命を全く省みずに試写室に火を放ったこと、これにより多数の者が生命を絶たれたことを考えると、上記のように被告が他の利用客らの殺害を積極的に意図したわけではないことや被害の拡大に本件店舗の構造などが寄与していることなど、被告にとって有利に斟酌(しんしゃく)すべき事情を最大限考慮しても、被告はその生命をもってその罪を償うべき場合に該当する。 (転載ここまで)



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(関連)
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-category-20.html
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大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 疑問点 その①

2009/10/27(Tue) 12:47

大阪個室ビデオ店放火事件再考察


(関連)
大阪個室ビデオ店放火事件再考察 ◇ 初公判 その1
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-41.html
大阪個室ビデオ店放火事件再考察 ◇ 初公判 その2
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-42.html
大阪個室ビデオ店放火事件再考察 ◇ 第2回公判 第3回公判
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-43.html
大阪個室ビデオ店放火事件再考察 ◇ 第4回公判
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-45.html
大阪個室ビデオ店放火事件再考察 ◇ 第5回公判
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-46.html
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第6回公判
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-47.html
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第7回 第8回公判
http://hatajinan.blog61.fc2.com/blog-entry-48.html


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この事件を検証するにあたり四つの疑問がある。


本件は死刑を求刑された案件である。本人は当初放火を認める供述をしていたが一転放火を否定。弁護側は『起訴内容に対する意見と同様、放火を否定し、仮にあったとしても、たばこの火の不始末だ』と無罪を主張している。タバコによる失火による火災の可能性を否定し放火によるではなく、寝タバコの失火が火災の原因なら生じた責任は取る覚悟がある、としているのに放火にこだわっている節がある。

死傷者25名の大阪難波の雑居ビル火災事件。犠牲者16名と言うのは死者44名の歌舞伎町ビル火災に次ぐ戦後二番目の雑居ビル火災である。深夜の時間帯で普通なら午前三時といえば熟睡しているだろう。犠牲者は全員火災のあった個室ビデオ店の利用客だった。個室難民、終電に乗り遅れたサラリーマン、朝早い労働者。彼らも当然熟睡していたのだろう。


【疑問①】
はたして多数の犠牲者を生んだこの火災が放火だけによるものだろうか。それにしても火災当時店にいたのは26人の客と3人の店員。店内にいた客のほとんどが火災の被害に遭い、その半分は死んでいる。致死率50%を超えている。少し異常な気がしないだろうか。


■ 店側に建築基準法違反や多くの不備が確認されている
①窓など排煙設備がない
②非常用照明の不備
③壁の決められた部分に燃えにくい壁紙を使っていない
④火災に際して、店員による消火活動や避難誘導などが行われなかったとされる。
⑤個室エリアへの出入り口が一ヶ所しかなかった。実際に火元から奥の部屋に被害者が集中している。
⑥同店の客の証言として、狭い通路にジュースの段ボール箱が積まれるなどして通りにくい状態がみられたという。
⑦同店は消火器や誘導灯、自動火災報知器は備えていたが、消防法の規制以下の面積であったためスプリンクラーは設置されていなかった。
⑧また、一旦は鳴った火災報知器のベルを、同ビルの防火管理者でもあった管理人が「タバコの煙によるもの」と思い込んで止めたことが解っている[9]。

当初の弁護方針について「責任がすべて被疑者にあるのか。店員の責任も考えられないか。消火にあたっての責任はなかったか慎重に考えるべきだ」小川被告の弁護を担当する岡本弁護士は話していたが、大阪府警は店やビル管理会社について、業務上過失致死傷罪での立件を断念している。
誰も管理責任を問われていないということだ。
もし、この火災がただの火事なら、少なからず管理責任を問われていたはずだ。44人の犠牲者を出した歌舞伎町雑居ビル火災で管理責任を問われ、ビルのオーナーや店舗経営者6人が逮捕され、内5人が執行猶予付きで有罪になっている。小川被告の放火に託けて罪を免れていると考えるのは行き過ぎだろうか。


【疑問②】
“自暴自棄に陥り自殺を決意した”という検察の主張がどうも解せないのである。


普通に考えて自殺しようと放火するだろうか。自殺の多くは一人でなされている。他人を巻き添えに自殺するなど普通は考えられない。焼身自殺を図ろうとガソリンを頭からかぶり火をつけた。それが出火元になり甚大な被害につながった、というならわかる。しかし小川被告は生きている。


■ 証拠はすべて小川被告の犯行を示している
出火元とされるキャリーバックが置かれていた18号室は小川被告が利用していた部屋だ。火災の第一発見者も小川被告の放火を証言している。放火を認める供述をした調書14通を証拠認定した。よって現時点では小川被告が火災の関与は明白であるとしている。弁護側も「出火元は18号室ではなく一番激しく燃えている9号室だ」、「第一発見者は虚偽の申告(知人に頼まれて当初9号室を利用していたと警察に話していた。実際は30号室)したこともあるので証言に信用性が欠ける」、「警察が自白を強要した可能性がある」と反論している。
証拠は小川被告の犯行を示している。「たばこの火で死刑になるんなら死刑でいい。自分の火で亡くなっているなら責任はある」小川被告は寝タバコによる失火は認め『生じた結果について責任を取る覚悟を持っている』としている。弁護側も「被告に殺意はなく放火していない」と無罪を主張し『自殺しようと放火した』という検察のシナリオとは真っ向から否定している。

■ 弁護側の最終弁論 公訴事実について 
被告は放火行為は行っていない。18号室でたばこを吸い、うとうとして眠りこんだ。被告はたばこの不始末が火災の原因であれば、生じた結果について責任を取る覚悟を持っている。
 しかし、本件は失火ではなく、放火の責任を問うもの。検察官もたばこの不始末では火災は発生しないと主張・立証している。


【疑問③】
小川被告と来店したとされる知人が所在が不明である。検察が所在捜査中だという。知人は重要な証人である。行方不明のまま証人尋問も延期され、そのまま小川被告は死刑を求刑された。


■ 一緒に来店した知人
事件の夜、小川被告は知人に誘われて個室ビデオ店に入店した。利用するのは初めてだった。それまで小川被告は個室ビデオ店には嫌悪を抱いていたという。キャバクラが好きらしい。
出火元とされるキャリーバッグは小川被告の知人の持ち物である。知人とは事件の四日前に知り合った。

■ キャリーバックはどこにあった?
『キャリーバッグを(小川被告が利用する18号室)部屋に入れてあげた』と店員は証言しているが、『店員には絶対カバンを入れてもらってません』と小川被告は真っ向から否定している。弁護側はこの店員の証言を信用性に欠けるというが検察側は証拠採用した。知人に聞けば真相がわかるのだが。


【疑問④】
検察も弁護側もダイミ茶と事件の関与への言及はさけている。


ダイミ茶の原料は南米アマゾン川流域に自生する植物「アヤワスカ」。麻薬取締法の規制対象である幻覚剤の一種「ジメチルトリプタミン(DMT)」が含まれており、現地では宗教儀式に用いられることもある。幻覚作用の持続時間は約2~6時間とされる。
小川被告と知人らは23時過ぎまで宗教団体の施設にいた。火災が午前2時55分。4時間前である。幻覚作用にはもちろん個人差はある。


■ 火災発生時もまだトリップ中だった可能性
①「帰るときにはちゃんと効果は冷めていた」との証言もあるが、「(難波に向かう)電車の中で目をつぶっても、自分のほしいゴルフクラブとか見えてきたりするんですよ」と宗教施設から個室ビデオ店に向かっている最中もダイミ茶の幻覚作用が働いていたことを証言している。
②小川被告の証言(第4回公判)「ぼくは一睡もしてません。薬も飲んでなかったし」と前夜眠れずに夜を明かしている。疲れ切った身体でサントダイミ教の儀式に参加。DMTの幻覚作用も通常より効きやすかった可能性もある。
③3杯目が配布されることもある(下記のアヤワスカ)らしい。小川被告は飲んだ回数には言及していない。三杯目も小川被告は飲んだのではないか。
④「生きていくのが嫌になった。死にたかった」自殺をにおわす発言もダイミ茶でバッドに陥っていたからではなかろうか。死ぬほど気持ち悪くて発言が支離滅裂になったのではないか。だとしてもライターでティッシュに火を点ける気にはなれない、と思うが。


(参考)
【個室ビデオ店放火】幻覚作用のあるダイミ茶を飲む 小川容疑者が事件半日前
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081015/crm0810150153003-n1.htm

大阪・個室ビデオ店放火事件で有名になったダイミ茶とは
http://drug.marimoff.com/daimi.html

アヤワスカ 001 lalila 「初めての意識変容体験」
http://lalila.tripod.com/aya.htm


その②は“小川被告の放火だったなら、その動機”を探ってみたい。
ちょっと面倒くさい考察になるので時間がかかるかも。
とりあえずこの事件の判決前には仕上げる予定。
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大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第7回 第8回公判

2009/10/21(Wed) 11:01

大阪個室ビデオ店放火事件の再考察


(関連)
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 初公判 その1
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 初公判 その2
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第2回公判 第3回公判
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第4回公判
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第5回公判
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第6回公判



【個室ビデオ店放火】被告の供述調書を採用
2009.10.9 12:59
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091009/trl0910091302006-n1.htm

 大阪市浪速区の個室ビデオ店に放火し、16人を死亡させたとして殺人と放火などの罪に問われた小川和弘被告(47)の第7回公判が9日、大阪地裁で開かれ、秋山敬裁判長は、小川被告が放火を認めた供述調書など14通について、「任意性がある」として証拠採用した。
 小川被告は逮捕直後に放火を認めたが、その後否認に転じた。公判で検察側は、小川被告が警察と検察の取り調べで放火を自供するなどした供述調書を証拠として申請。弁護側は「任意性がない」として、採用しないよう求めていた。


【個室ビデオ店放火】遺族、涙で陳述「極刑を」 午後に厳刑求刑へ
2009.10.15 12:01
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091015/trl0910151202004-n1.htm

 大阪市浪速区の個室ビデオ店に放火し、16人を死亡させたとして殺人と放火などの罪に問われた小川和弘被告(47)の論告求刑公判が15日、大阪地裁(秋山敬裁判長)で開かれた。検察側は、店が火事になれば多数の人が死傷することを認識していたにもかかわらず放火したと主張し、午後に厳刑を求刑する見通し。弁護側は無罪を主張する方針。
 この日は論告求刑に先立って犠牲者3人の遺族が意見陳述。山岡功治さん=当時(32)=の母親は「息子は早朝の仕事に出かけるため、私の血圧が高いことを気遣って(前夜に家を出て)キャッツに行った。優しさがあだになった」と涙ながらに語り、小川被告に「被害者が納得できるよう説明する責任がある。極刑を望みます」と訴えた。
 また、平川隼人さん=当時(31)=の母親も泣きながら「私は息子を殺されるために生んだのではない。いいようのない寂しさ、悔しさ。死刑以外考えられない」。青木孝仁さん=当時(36)=の弟は「言い逃れようとしても真実からは逃げられない。罪を認めて謝罪してください」と訴えた。
 小川被告は当初放火を認めていたが、起訴直前に否認に転じた。これまでの公判では「(火を付けたとされる)キャリーバッグを部屋に持ち込んでいない」と放火を否認。ただ、失火の可能性は否定せず、「たばこの火で死刑になるんなら死刑でいい。自分の火で亡くなっているなら責任はある」などと述べた。
 起訴状によると、小川被告は昨年10月1日午前2時55分ごろ、大阪市浪速区難波中の個室ビデオ店の個室で自殺しようとキャリーバッグに放火。客16人を一酸化炭素中毒で死亡させるなどしたとされる。


【個室ビデオ店放火】小川被告に死刑を求刑 弁護側は無罪主張へ
2009.10.15 15:52
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091015/trl0910151553010-n1.htm

 大阪市浪速区の個室ビデオ店に放火し、16人を死亡させたとして殺人と放火などの罪に問われた小川和弘被告(47)の論告求刑公判が15日、大阪地裁(秋山敬裁判長)で開かれた。検察側は「何ら酌量できない動機で、真摯な謝罪もない。遺族の多くも明確に極刑を求めている」などとして、死刑を求刑した。弁護側は最終弁論で無罪を主張する方針。
 起訴状によると、小川被告は昨年10月1日午前2時55分ごろ、大阪市浪速区難波中の個室ビデオ店の個室で自殺しようとキャリーバッグに放火。客16人を一酸化炭素中毒で死亡させるなどしたとされる。


【個室ビデオ店放火】論告の要旨 「被告には反省の態度も謝罪の念も認められない」
2009.10.15 20:35
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091015/trl0910152036020-n1.htm

■ 事実関係

 ▽被告が火災の原因となる放火を行った
 出火元は18号室。9号室は最も焼損が激しいが、400件以上出火原因を調査した府警科捜研職員の証言により、18号室から吹き出た炎が燃え広がったことは明らかである。キャリーバッグの上部から出火したという目撃者や店員の証言は、現場の状況と合致する。

 ▽放火と殺害の故意
 被告は店舗の構造や自分以外に利用客がいることを認識していた。室内から物音や異変に気づきにくく、深夜で避難が困難になることは認識できた。火災発生を告げようとせず、救助のそぶりも見せなかった。

 ▽自白の任意性・信用性
 被告は当初「僕と一緒に死ぬ人ごめんなさいと思った」などと具体的に当時の心境を吐露した。取り調べを録音録画したDVDにある被告と検察官のやりとりは、通常の会話のようで、平素の取り調べも任意性は疑われない。公判供述では放火を否認し「自白は空想で話した」などと弁解しているが、不合理な内容に満ち、信用に値しない。
情状関係

 ▽犯行の動機
 被告は自暴自棄に陥り自殺を決意した。遊興にふけって資産を散財し、借金を重ねた。自業自得である。周囲に被害や危険が及ぶことが明らかな方法を安易に選んでおり、自己中心的な思考の極みと言うべき動機に酌量の余地は全くない。

 ▽結果の重大性など
 16人を死亡させ、多数の関係者を死の恐怖に直面させたという結果はきわめて重大。被害者はいわば通り魔的な被害に遭ったと言うべきで、何ら落ち度はない。呼吸困難と戦いながら必死で出口を探し、絶望感の中で力尽きており、苦痛は想像を絶する。

 ▽処罰感情
 遺族らの極めて峻烈な処罰感情は至極もっともなことと思科され、厳粛に受け止める必要がある。被告には反省の態度も謝罪の念も認められない。公判では重大な結果を直視する態度は全くみられず、逆に責任転嫁もはなはだしい挑戦的な供述をし、身を切られるような遺族の痛みに耳を傾けず、人間性のかけらもうかがわせなかった。

■求刑
 被告には死刑が相当である。


【個室ビデオ店放火】「放火行為は行っていない」 最終弁論の要旨
2009.10.15 20:17
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091015/trl0910152018019-n1.htm

◆ 公訴事実について
 被告は放火行為は行っていない。18号室でたばこを吸い、うとうとして眠りこんだ。被告はたばこの不始末が火災の原因であれば、生じた結果について責任を取る覚悟を持っている。
 しかし、本件は失火ではなく、放火の責任を問うもの。検察官もたばこの不始末では火災は発生しないと主張・立証している。

◆ 火元は18号室ではない疑い
 18号室を火元とする客観的証拠はない。一番激しく燃えているのは9号室で、炎の立ち上がり痕跡があり、天井が崩落している。天井崩落は、9号室の燃焼開始が18号室より早いと考えないと矛盾する。発見者がいないのは、天井裏から燃えていたとも考えられる。

◆ 府警科捜研職員の証言の信用性
 職員は、公判では焼け跡から炎の流れを推測して火元を特定する手法で18号室としたが、公判前は焼損状況の激しさを基準に18号室としていた。専門職でありながら、火元を18号室とする捜査方針に迎合的というほかなく、信用できない。

◆ 客や店員の証言の信用性
 第一発見者は、9号室の客であるとうその供述をしていた。9号室は一番焼損が激しく火元と考えられ、9号室の使用者が犯人の可能性がある。第一発見者と9号室の客は友達で、犯人グループの可能性もある。
 店員らは、被告が放火したことにすれば自らが消火活動や救護活動を怠ったことの責任転嫁を図れる関係にあり、被告の放火を肯定する供述に信用性はない。

◆ 動機と殺意
 被告は生きるのが嫌という気持ちはあったが自殺する状況にない。部屋の狭さや共同トイレでの出来事を動機とするのは無理がある。被告は延焼の危険性、客の状況、避難の難易、一酸化炭素中毒による死亡の可能性を認識しておらず、他の客を巻き込んでまで自殺する理由は考えられない。

◆ 自白の信用性・任意性
 自白調書は多いが、被告人しか知り得ない秘密の暴露は供述されていない。刑事や検事の指示や示唆に沿うもので事実ではない。自白は当初の警察官による偽計・威迫による影響が払拭(ふっしょく)されておらず、任意性に疑いがあるものとして証拠排除されるべきである。


(関連)
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 初公判 その1
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 初公判 その2
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第2回公判 第3回公判
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第4回公判
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第5回公判
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第6回公判



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Category:大阪個室ビデオ店放火事件の再考察

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大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第6回公判

2009/10/21(Wed) 11:00

大阪個室ビデオ店放火事件の再考察


(関連)
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 初公判 その1
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大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第2回公判 第3回公判
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【個室ビデオ店放火殺人第6回公判詳報(1)】取り調べDVD上映 「火事になるような所に、たばこはない」(10:00~10:14)
2009.10.1 13:26
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091001/trl0910011329009-n1.htm

 大阪市浪速区の個室ビデオ店に放火し、16人を死亡させたとして殺人と放火などの罪に問われた小川和弘被告(47)の第6回公判が1日午前10時、大阪地裁(秋山敬裁判長)で始まった。この日は検察官の取り調べ状況を撮影したDVDが法廷で再生された。
 《小川被告はちょうど1年前の平成20年10月1日未明、個室ビデオ店に放火したとして逮捕された。直後は放火を認めていたが、18日から供述が揺れ初め、20日に完全否認に転じたとされる。DVDは21日に撮影されたものだ。公判では供述の任意性が焦点となっており、DVDは重要な証拠として検察側、弁護側双方が証拠申請した》
 裁判長「予定通り、DVDの取り調べを行います。被告は前に座って画面を見てください」
 《小川被告が証言台に座った》
 裁判長「10月21日に大阪地検で、午後3時39分から4時48分までの録音録画状況です」
 弁護人「大型画面には…」
 裁判長「映さないと公判前整理手続きで確認させていただきました」
 弁護人「公開の法廷ですので、傍聴人に見えない状態での取り調べには異議があります。違法です」
 検察官「全く理由がない。弁護人の了解も得て話し合って決めたことです」
 裁判長「この事件では、公判前整理手続きで決めたのでそうします。音声は法廷に流れます」
 《裁判官や検察官、弁護人、小川被告の卓上の小型モニターには映像が映し出されているようだ。傍聴席には音声だけが響いた》
検察官「それでは、これから録音を始めます」
 被告「はい」
 検察官「まず、あなたの今の立場について確認しておきますね。あなたは10月1日の午前2時55分ごろ、ビデオDVD試写室キャッツ難波店に放火して、お客さんを死亡させたり、けがさせるなどした、現住建造物等放火、殺人、殺人未遂の事実で、その日の午後2時34分に逮捕されて、その後10月3日に勾留されて、今日で勾留の19日目ということになるね」
 被告「はい」
 検察官「逮捕されてから、警察や検察庁で取り調べを受けて、事件のことをいろいろ話して、その内容を調書に取られたり、あなた自身で紙に書いてくれたり、図面を描いてくれたりしてくれていますね」
 被告「はい」
 検察官「弁護士さんが最初にあなたに接見した日にちは覚えてる?逮捕されたその日やったかね?10月1日」
 被告「1日か2日でしたかね」
 検察官「その後、弁護士さんはちゃんと接見に来てくれてる?」
 被告「はい」
 検察官「毎日?」
 被告「来いひんかったんは、5日だけ来てないんちゃうかな」
 検察官「最近どれくらいの時間、接見?」
 被告「昨日なんか長かったですね。6時半から8時ぐらいまで」
 《検察官は、弁護士の接見をほぼ毎日受けた上で取り調べに応じていたことを確認した。ここから本題に入るようだ》
 検察官「で、あなたの言い分を今から言ってもらうから、どういうことが起きたか説明してもらえる?」
 被告「はい」
 検察官「一応、自分の言葉で説明してみて」
 被告「キャッツ難波店ていう試写室は行くこと分かっとったけど、名前も知りませんでした。入ってから、もうしんどかったんで、先生のバッグも渡して、自分はビデオ1本だけポーン取って、お金払って、18号室に向かってます。先生、お先失礼します言うて」
 検察官「18号室に、先生のキャリーバッグは持っていかへんかってんな」
 被告「記憶では持って行ってません」
 《小川被告はまず、火を付けたとされるキャリーバッグを部屋には持ち込んでいないと主張した》
 検察官「18号室入って、どうした?」
 被告「まず、たばこに火付けて。暑いから、クーラーのリモコン、暖房から冷房に切り替えんのに5分ぐらいかかったな。最強に冷たいとこまで下げました」
 検察官「部屋に入って、一応DVD観たりして、で火を付けたのか、付けてないのかというとこになるんやけども、あなたの記憶としては今はどんな感じ?」
 被告「記憶ですか、火は付けてません」
 検察官「なんか火が出てるというのは分かった?分かってない?」
 被告「分かってません」
 検察官「どういう状況で目が覚めたか覚えてる?」
 被告「たばこを吸いながら、ふーっと寝てしまって、ぱっと起きたら、なんかちょっともやーっと煙があったような感じやけど、まだその時は火事とかそんなんにもなってない状況でした」
 検察官「どこのあたりからもやーっとなってたか分かる?」
 被告「リクライニングシートの左側のスペースのへんですかね」
 検察官「何も置いてないような状況の所?」
 被告「カバンやら、自分の服がありますよ」
 検察官「キャリーバッグじゃなくて、あなたのショルダーバッグのことやな」
 被告「そうです」
 検察官「たばこが落ちてんの、そのあいてる場所に。たばこの吸い殻か何か」
 被告「服のへんにはたばこは行ってないよ」
 検察官「行ってないな、その床やな」
 被告「全然行ってませんよ、火事になるようなところにたばこは行ってないよ」
 《失火の可能性を打ち消すためか、吸い殻のあった場所を何度も強調する小川被告。検察官はうなずき、話を先に進めた》
 検察官「そこで、どんな形でたばこが落ちてたかはみた?」
 被告「はっきりとは覚えてません」
 検察官「昨日、フィルターが落ちてたみたいと言ってたけど、そうなん?」
 被告「でもなんか、燃え尽きたみたいで、でも火事にはまだ至ってなかった」
 検察官「部屋の中にたばこの吸い殻が危ないような場所にあったり、それはなかった?」
 被告「ないです」
 検察官「そしたら、あなたが唯一、失火…」
 被告「そうです、失火です。はい」
 検察官「それは、その燃え尽きたフィルターみたいな物じゃないかと思うと」
 被告「そうです、はい」
 検察官「それ以外には考えられない」
 被告「それ以外には考えられないですね」
 《検察官は小川被告の言い分を否定することなく、淡々と話を進めていった》


【個室ビデオ店放火殺人第6回公判詳報(2)】「自暴自棄になって認めた」(10:14~10:27)
2009.10.1 14:12
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091001/trl0910011414012-n1.htm

 《続いて検察官は、逮捕の経緯について確認していった。小川和弘被告は公判で、警察官の威圧的な取り調べでうその自白をしたと主張している》
 検察官「火事が発生した時刻、何時ぐらいか覚えてる?」
 被告「3時5分は過ぎてるような気はしました」
 検察官「場所はどこにいたか覚えてる?」
 被告「ビデオ店の前。で、何か言い合いしてる」
 検察官「誰と?」
 被告「店員ちゃうかな」
 検察官「どんなこと言い合いしてたか覚えてる?」
 被告「お前、何火つけとんねん、みたいな」
 検察官「あなたはなんて答えたん?」
 被告「すんません、すんませんと言いながら、結局俺何もしらんやんけ、という感じ」
 検察官「その辺の記憶はどんな感じ?はっきりある?それとも、うっすら?」
 被告「うっすらやね」
 《公判で、店員らは小川被告がひたすら謝っていたと証言している。検察官は、浪速署に行った後の取り調べ状況を尋ねていく》
 検察官「警察でずっと取り調べしてたのは○○巡査部長っていう人やねんね」
 被告「はい」
 検察官「最初から?」
 被告「いや、最初はチンピラ刑事」
 検察官「○○さんはあなたにとってはどういう人だった?」
 被告「最初に会うた時は、最後には貫禄のあるやつがでてくるんかなっていう感じで。最初はチンピラにまかしといて。『何足組んどんじゃ、なめとんかい』、そういう感じで言われて」
 検察官「○○さんから言われた?それともチンピラ刑事?」
 被告「チンピラ刑事」
 検察官「で、○○さんはあなたに、暴力はふるったり、あの…」
 被告「暴力は誰もふるってない。こんなん(机をたたく)は何度もされました。『なめてんかい、起きんかい、認めんかい。お前しかおれへんやないかい』」
 《法廷には、小川被告が刑事をまねて机をたたく音が響いた》
 検察官「で、その後は○○さんはずっと取り調べするでしょう。そん時はさ、怒鳴りつけるとかいうのは、もうなかった?」
 被告「なかったね、もう」
 検察官「で、一応あなたが1番最初に自供書みたいなの書いたのは○○さんの時やったんだけれども、これを書けとか言われた?」
 被告「火付けたんは事実やから、認めるしかないとは言われました」
 検察官「あなたとしたら、違うなと思っとったやろ?どうして書いちゃったのかな?」
 被告「自分の部屋から火が出たって聞かされてたから、もうおれのたばこが原因してると思ったから、もう認めな、認めたほうがいいんやなって思いました」
 検察官「そうすると、警察が机たたいたんとかで認めようというよりも、火が出たんやったら認めなあかんなと思って認めたっていうことになんのかな」
 被告「失火でも。たばこでほんまに火事になってんねやったら、ぼくの責任やとは思いました。でも火は付けてません」
 検察官「火は付けてないっていう…」
 被告「バッグ開けて、ティッシュ丸めて、それに火を付けて、服に燃え移らせて、そういう行為は一切していません。それは約束します。信じてください」
 検察官「あと、あなたが認めちゃう供述がたくさんあるんだけど、どういう気持ちで話してしまった?」
 被告「まあ一種は、自暴自棄にもなったし、『自分が認めて死刑になったら、おれさえ死んだら事件解決するんであれば、別にそれでもええわ、取り調べもしんどいわ』。そういう風に思いました。でもよく考えたら、自殺なんか嘘で言うてるし、その日は人生バラ色やったから、ほんまは」
《弁護人は、警察官の違法な取り調べで自白したことを立証するとして、このDVDを証拠申請している。問答は、まさにその部分にさしかかった》
 検察官「警察に脅されたから書かなあかんとか」
 被告「そうです」
 検察官「うん?そうなの?」
 被告「いやいや。警察に脅された」
 検察官「から、書かなあかんとかではなくて、」
 被告「○○刑事から『火を付けたんは事実やから、認めなあかんことは認めなあかんで』って言われたから、認めざるをえんかったという状況ですね。自分から素直に認めようとは思いませんでしたよ」
 《自供は本意ではなかったと強調する小川被告。検察官は、自分の考えで自供したのではないかと質問した》
 検察官「要するに、自分がやっぱり悪いことしてもたなと思って認めたっていうことなんかね?」
 被告「自分の失火で火事になってんねやったらね。16人も死んでるんやからね。それで死刑になるなら、それで仕方ない」
 《ここで検察官は、小川被告が逮捕前に自筆で書いた自供書の任意性を確認していった》
 検察官「○○さんはむちゃくちゃのことは言わへんかった人やな?」
 被告「この時は正直怖かったです」
 検察官「どんな風に?」
 被告「正直に書けって言われました。無理矢理書かされました」
 検察官「手、持って書かされた?」
 被告「持ってないけど」
 検察官「文言は」
 被告「よくは覚えてないけど、こういうような言葉を並べられて、書かされたような気がします」
 検察官「そういう気がする?うーん」
 《小川被告は自分の言葉ではなかったと強調した》
 検察官「警察で逮捕するって言われたでしょう。これ、逮捕直後に言い分を取ってるものやねんけどな。『逮捕事実について、事実の通り、間違いありません』って書いてるんだけど、当時はこうしゃべったことで間違いないんかな?」
 被告「このときはそう言いましたね」
 検察官「それは何で言うたんかな?」
 被告「自分の責任やって自分を追いつめたんやろうね。それしかないですね。僕が言うてるんであれば」
 検察官「別に警察にこう言いなさいって言われたわけではないねんな?」
 被告「うん」
 《2人の攻防は続く》


【個室ビデオ店放火殺人第6回公判詳報(3)】「検事さんは押しつけてません」(10:27~10:50)
2009.10.1 14:16
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091001/trl0910011418013-n1.htm

 《検察官本人による取り調べ状況の確認に移っていった》
 検察官「で、その翌日、初めて私と検察庁で会ったんやね。『たくさんのマスコミの人がいて、フラッシュ浴びて、自分のやったことが怖くなった』って言って、『新聞の1面、事件のこと大きく載るんちゃうかなー』とか。『娘さんや息子さん、どう思ってるんやろ』とか、心境を語ってくれたんやんか、それは覚えてる?」
 被告「なんとなく」
 検察官「次の日かな、裁判所に行ったんやな?10月3日に裁判官からまた弁解を聴かれたんやな」
 被告「はい」
 検察官「ここにも『事実は間違いありません。これほどたくさんの人が店の中にいるとは思いませんでしたが、私がやったことは違いないので、責任を果たそうと思っています』って言ったんよな?署名は間違いない?」
 被告「そうですね」
 検察官「うん。その後なんだけどさ」
 被告「失火で、失火による火事であり、放火のあれで認めたわけではないと訂正してください」
 検察官「うんうん。その時は裁判官には言わへんかった?」
 被告「言うてないと思います。だから訂正してください」
 検察官「どういう気持ちやったから言われへんかったんやろ」
 被告「自暴自棄になっとったな。でも今はもう、そうじゃない。僕のこと、信用してくれる人のために生きたい。だから正直に言う気になった。やっぱ正直に言わな、裁判なったときに言い訳できひんと」
 《小川被告は何度も、「訂正してほしい」と検察官に訴え始めた》
 《ここで検察官は、小川被告が罪を認めた調書を一つ一つ、小川被告に見せていった。任意性の確認をするようだ》
 検察官「署名は間違いなかったな?」
 被告「はい」
 検察官「あなたがしゃべってもいないのに、私が勝手にビャーって打ったり、全然違う内容ができたってことはなかったよね」
 被告「そうですね」
 検察官「内容確認してもらって『間違いないよね』って言って、署名してもらってたよな?暴力ふるうとか脅すとか、そんなことは1回もなかったよね」
 被告「はい」
 《ここで裁判長は、小型モニターを見つめる小川被告の表情をじっと見つめた》
 検察官「『こういうことを言ったら有利になるよ』とか、『不利になるよ』とか言ったことはあった?」
 被告「『死刑になるかもわかれへん』って言いましたよね」
 検察官「それは裁判官が決めることって言ったな」
 被告「はい」
 検察官「『事実をしゃべって』って言い続けたな。それは間違いないよな」
 被告「まず16人も死んでるから、なんぼ失火でも釈放はないやろうと」
 検察官「そういう言い方した?弁護士さんにこうやって言われましたって言うてきたんちゃうかった?」
 被告「うん。ま、検事さんはそれは言うてないな」
 《検察官は、誘導や脅迫による自供ではないことをゆっくりと確認していった》
 検察官「『うそつかんといてな』って、『私にわざといいように言ったりとかせんでや』って、ずっと注意してきたん覚えてる?」
 被告「はい」
 検察官「『黙秘権あるから』っていつも言うてたな。それから、『警察と検察庁はちゃうから、刑事さんに言うたからって検事さんに一緒のこと言わなあかんてもんちゃうで』って」
 被告「はい」
 《素直に認める小川被告。だが、放火を認めた内容に話が及ぶと声が大きくなった》
 被告「付け加えときますわ。もし(個室ビデオ店内の)ビデオカメラで映っとったら、それは誰かが、偽カバン。俺に見せかけたようなやつを映してる可能性もあるんちゃうか」
 検察官「19日までは、放火したって言い続けてしもたやんか」
 被告「そうですね。後悔しています」
 検察官「なんで、こういう風に言っちゃった?」
 被告「自暴自棄になってましたね」
 検察官「弁護士さん1日だけ除いて、毎日接見来てはったやんか。その時に、やってないことをやってると言ったらあかんよみたいなこと言ってはったでしょ」
 被告「その時は正直言うたら、刑事さんとか検事さんのこと信用しとって、弁護士さんのこと、あんまり信用してなかった」
 検察官「10月13日、『おれと一緒に死んでごめんねと思いながら火を付けました』って言って」
 被告「訂正してください。こんな気持ちはサラサラないです」
 検察官「そん時は、こういう風に説明してくれたんやったね」
 被告「説明はしたけど、人を巻き込む気は全くないから。訂正してください。『午前3時ごろ、火を付けて死のうと思いました。店に入った人には申し訳ないことをしました。私は謝ることしかできない』。これも訂正してください」
 検察官「これも違うの?」
 被告「火を付けて死のうなんて思ってないから」
 検察官「この後ろは?」
 被告「死んだ人に対しては、私は謝るいうことしかできひんからね。それは事実やね」
 検察官「事実と事実でないのが入ってるということやな」
 被告「そうですよね。ぼくの部屋から火が出て死んでるんであれば、ぼくの責任ですよね。それは認めな仕方ない。そのことにかんしては本当にすみませんでした。それは認めます」
 《検察官はひたすら、言い分を聞いていく》
 検察官「もう1個、『ぼくに巻き込まれて死ぬ人ごめんなさいと思った』と」
 被告「訂正してください。巻き込む気なんかサラサラないです」
 検察官「こん時さ、あなた『0・1%ぐらい、そんな風に思いました』って」
 被告「0・1%もないです」
 検察官「うん。違うねんな」
 被告「僕は死ぬんやったら1人で死にます。でも死ねないです。まだ使命終わってないから、神様が死なしてくれないです」
 検察官「私が押しつけたわけじゃなかったな」
 被告「検事さんは押しつけてません。でもたまたま自暴自棄も入ってたし、こういう風に言うたけど、今は違います」
 《小川被告は、自供が検事の押しつけではないと明言した。検察官の質問はいよいよ、小川被告が否認に転じる経緯に移った》


【個室ビデオ店放火殺人事件第6回公判詳報(4)】「正直、死にたくないです。いきたいです」(10:50~11:50)
2009.10.1 14:25
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091001/trl0910011428014-n1.htm

 《逮捕から18日目、小川被告は否認と自白の間で揺れ始める。このときの心境を記した調書について、検察官は確認していく》
 検察官「10月18日付と19日付の調書の時にさ、死刑になること怖いとか、いろんなこと話してくれたやんか」
 被告「正直、死にたくないです。息子のためにも生きたいです」
 検察官「『死刑になりたくないから弁護士さんにうその話してしまいました。昨日の夜はへこみましたわー。眠れませんでしてん』って言ったの覚えてる?」
 被告「もう1回言ってください」
 検察官「『認めたくないっていう時と、認めなあかんっていう時と、すごい心が揺れるんですよ』って話してくれたやんか?」
 被告「でも、揺れ動くじゃないです。自分は火は付けてません。死ぬんなら、とっとと1人でどっか行って死にます。だから訂正してください」
 検察官「こういう風に言ったのは事実やねんな」
 被告「言ったのは事実やけど、そんな気持ちないです。訂正してください」
 検察官「『弁護士さんに接見したときに火を付けてませんって言って、キャリーバッグも18号室に持ち込んでないって言ったんです。だけどこれは死刑になるのが怖いから、嘘言ったんですよ』って私に言って。私が『記憶にある通り話してねって、話作らんといてねって必ず注意してきたよね』って言って、『火付けたん事実なん?』言うて、あなた『間違いありません』って言うたやん」
 被告「訂正してください」
 検察官「うん。こん時は言うてしもてんな?」
 被告「言うてしまってます」
 検察官「『たばこの不始末で火が付いたわけじゃないの』って確認したら、『違います』って」
 被告「訂正してください。たばこの火しかございません」
 《小川被告は、調書の通りに語ったことは認めつつ、訂正を求め続けた》
 検察官「『なんで事実話そうと思ったん』って聴いたら『自分に正直でありたいんです。罪や過ちを犯す人の良い手本になりたい。息子がぼくよりも良い人間になってほしいからです』って言ったのは間違いない?」
 被告「訂正します。これはすべて、すべて、罪を犯す人のためにも、ほんまにやってないことやったら、やってないて言わなあかん。信じてくれる人がいれば、最後は正義が勝つと思っています」
 検察官「うん」
 被告「私は息子に、息子や私を信用してくれる人のために、火を付けたことは認めたくない。認めません。認めません」
 検察官「認めたくないのと認めませんは…」
 被告「認めません」
 検察官「認めません?」
 被告「火を付けてません。火を付けてません。だから信用してください」
 《検察官は、小川被告の個室ビデオ店に対する認識を尋ねた。動機にかかわる重要な部分だ》
 検察官「個室ビデオ店はどういう場所?」
 被告「女に相手にされへん、お金がない人間が行くとこじゃないですか」
 検察官「初めて行ったんやったっけ」
 被告「嫌いですもん」
 検察官「行く必要ないもんな」
 被告「ぼく、ほんまに何千万円も使ったけど、風俗で使ったお金より、キャバクラで使ったお金の方が多いんですよ。トークする方が好きなんですわ。エッチするより。なんちゅうんやろ、男からも好かれ、女からも好かれ、そういう人間でありたい」
 検察官「こういうとこ行ったのはすごい嫌やったっていうのはあったんやな」
 被告「侮辱、幻滅、失脚。こんなとこ、1人じゃ絶対行かん。屈辱ですわ」
 検察官「このときもこういうこと言ってくれて、『お母ちゃんのこと考えた』とか『お父ちゃん、お母ちゃん、ごめんなとか、さよならとか、いろいろ思った』って言って、『こうやって火付けたんですよ』と説明してくれてんな」
 被告「そういう風に言うのが一番信頼性あるかなと思いました」
 検察官「作った?嘘ついた?」
 被告「嘘つきました。訂正してください」
 《小川被告はまた、訂正を求めた。続いて検察官は完全否認に転じた後の調書の確認をしていった》
 検察官「20日の調書はこれまでと違って『放火なんかしてない、考えられるのは落としたばこだけや』っていう風に言って、あなたが言ってくれるとおりに調書取ったよな」
 被告「その通りです。それが私の真実です」
 検察官「急に気が変わった理由、何かあるの?」
 被告「動機ないもん。巻き込む気もないのに、人を巻き込む気やったとか言えないじゃないですか」
 検察官「でも、私、『事実だけしゃべってや』ってずっと言っただけやんか」
 被告「とにかく、火は付けてません」
 検察官「誰かにそういう風に言いなさいって言われたりした?」
 被告「そういうのはないですけど、もし18号室から火出てんねやったら、たばこの失火しかないですわ。ぼくはそれ以外はもう認めません」
 検察官「もう1回確認するけど」
 被告「息子のため、おれを信じてくれてる人のためにも、おれは火を付けてない。だから、事実だけはわかってもらいたいから。それで結果が悪いんやったら、もう仕方ありません」
 《最後に、検察官は自供が小川被告の意思だったことを確認した》
 検察官「確認するけど、記憶通りしゃべってねって言って、あなたがこうやってしゃべってくれたってのは間違いない事実やな」
 被告「そうやね。でも、嘘の事実を言うたから、訂正してください。私を信じてください。小川和弘という人間を信用してください。よろしくお願いします」
 検察官「これで終了するけど言いたいことある?」
 被告「私の事件で16人が亡くなったことを聴いてます。私がやったとかじゃなくて、私が絡んでるのは事実なんで、謝っても許してもらえないことだと思いますけども、今後こんなことがないように、防火設備、消火器、ちゃんといつでも消せるような状態に、世界中なってもらいたいと思います。死んだ人は生き返ってはこないですけど、私が言えるのは、本当にすいませんでした。許してください。最後に私を信用してください」
 《DVDの再生は約1時間10分で終了した。最後に、DVDの任意性に関する被告人質問が行われた》
 弁護人「初めてDVDを見たと思うけど、言いたいことは言えましたか」
 被告「その当時は言えていたと。傍聴の人には顔とか、頭を下げるのとか見られてないとは思うけど、そういう恥ずかしいことや、プライベートまで(話しているのを)聞かれて、あんまり見たくなかった」
 弁護人「最後に謝っているのはなぜですか」
 被告「失火を認めているから。放火を認めて言ったのではございません」
 検察官「質問に対し、うなずいたり首を振ったりしていましたが、山口検事の話をよく聞いて、理解はできていましたね」
 被告「そうなりますね」
 裁判長「録画された以外の取り調べも、同じ雰囲気で行われましたか」
 被告「ほとんどそうですね」
 裁判長「検察官より声が大きいこともありましたよね」
 被告「自分もやっぱり感情的に(なる)というか」
 《ここで午前の審理は終了した》


【個室ビデオ放火殺人第6回公判詳報(5)】「おれは火をつけていない」(13:10~15:10)
2009.10.1 21:32
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091001/trl0910012134023-n1.htm

 《昼の休廷を挟んで午後1時10分、審理が再開された。まずは取り調べを担当した警察官の証人尋問から》
 検察官「初日の取り調べでの被告人の様子は」
 警察官「多少うなだれているように見えました。うつむき加減で、一見、目を閉じているようでした」
 検察官「取り調べはどう進みましたか」
 警察官「まず、何があったんや、と尋ねました。すると返事がなく、火事について知っているかを尋ねると『分かっています』と答えました。次に、何で火事になったか分かるか聞くと、無言でした。続いて、どこが火事になったのか聞くと『僕の部屋です』と答えました」
 検察官「それから」
 警察官「自分の部屋が火事になったんなら原因はなんや、と聞きました。すると黙っていましたが、やがて『すいません』と答えました。続いて発言を促すと、『死にたかったんです』『火を付けました』と言いました」
 《小川被告が当初から放火を認めていたという証言。小川被告はぼんやりと警察官を眺めている様子だ》
検察官「その後は」
 警察官「自分が火を付けたと言ったので、どうやって火を付けたのか尋ねました。すると『店のティッシュを丸めて、持って入っていたキャリーバッグに置いて、火を付けた』と答えました。その後の状況を聞くと『煙でいっぱいで苦しかった。我慢できず(外に)出たんです』と答えました」
 《警察官はこうした自供を小川被告に自筆させており、法廷のモニターには、5~6行からなる小川被告の自供書が映し出された。「平成20年10月1日 5時20分ごろ」として小川被告の署名がある》
 検察官「引き続き何を聞きましたか」
 警察官「何で火を付けたのか、理由です。1人で行ったのか、誰と行ったのか、何のために行ったのか、ということです」
 検察官「被告人の内心については」
 警察官「聞きました。店に客がおったんか、と聞くと『おったと思います』と答え、何人おったんや、と尋ねると『何人かわからんけど、一緒におった知人がいて、これ以外は分かりません』。客がいっぱい入れる店か、と質問すると『入れます』と答えました」
 警察官「自分がおる部屋で火を付けたら他の人がどうなるか考えたか、と聞くと『考えませんでした。僕は死ぬんですから他の人がどうなってもいいんです』と言いました。『どうなっても』というのはどういうことか、と尋ねると、『けがやけど、死ぬかもしれんけど、どうでもいい。死にたかった』と答えました」
 《小川被告の自供を生々しく語る警察官。小川被告は、やや険しい表情で証人を見つめている》
 検察官「こうした供述は信用できましたか」
 警察官「被告人の顔や服にすすがついていて、何度かトイレに行って顔を洗っているんですけど、吐いた痰(たん)から黒いものが出てきたんです。これはすすを吸っているということなので、『だいぶ苦しいのを我慢したんやな。でも我慢しきれずに(外に)出たんやな』と思いましたから」
 検察官「取り調べが始まって10日目までで、供述の変化はありましたか」
 警察官「ありませんでした」
 検察官「態度は」
 警察官「変わりました。弁護士の話をするようになりました。『弁護士から、わんわんするほど同じことを言われて、しんどいですわ』と。これに対し私は、自分を弁護してくれる人なんやで、と言いました。弁護士からはほかにも『厳しい取り調べを受けるんやろ』『わけの分からんお茶を飲んだから記憶なかったんやろ』と言われている、と自ら言っていました」
検察官「火を付けていない、と言い出したのは」
 警察官「取り調べの最後の方です。また、最後の調べで『言いたいことがあるなら聞くで』と言うと、しばらく黙っていましたが、突然立ち上がりました。そして机を何度も叩きながら、大きな声で、『おれは火を付けていないし、キャリーバッグも持って入っていない。ヤクザ刑事、バカ刑事、チンピラ刑事、俺の方が頭いいんじゃ。証拠あるんやったら出してみい。腹立つやろ。殴ってみろ』と言いました」
 《突然、激高した小川被告を警察官は冷静に受け止め、捜査員としての観察眼を働かせてその姿を見つめていたという》
 警察官「本心とは思いませんでした。見る限り、心に真剣味がないというか、心がこもっていなかった。私は黙って見ていました。すると、だんだんとトーンが下がってきました。『何で殴らへんのですか。何で何も言わへんのですか。何か言うてくださいよ』と」 検察官「それで」
 警察官「私は『今までの調べを振り返ってたんや。俺の調べが悪かったんかな。俺が悪いんかな。(小川被告が)細かく説明してくれたから、俺も頑張って調べしてきたんやけどな』などと言いました。すると最後には『すいませんでした』と言いました」
 検察官「弁護人を信用するな、というような発言をしましたか」
警察官「ありません。それは逆です。本人が『しんどいですわ』と私に言っていましたから」
 《質問者が弁護人に変わる》
 弁護人「前半の取り調べで、失火という弁解はしていましたか」
 警察官「なかったですね」
 弁護人「その後は」
 警察官「(小川被告から)『弁護士にたばこの不始末じゃないかと言われているけど、どうしよう』と言われたくらいです」
 《この後、弁護人は、接見で小川被告から聞いたとする取り調べの状況を確認する》
 弁護人「『呼んでもないのに来る弁護士は信用できない』とアドバイスしましたか」
 警察官「ありません」
 弁護人「『一番信用できるのは私(警察官)、次が検察官』、と言いましたか」
 警察官「言ってません」
 弁護人「接見をした後に、あなたが被告人から話を聞いているのはなぜか」
 警察官「通常の取り調べです」
 弁護人「弁護人の話を聞いていると思うが」
 警察官「そんな目的じゃないです」
 《弁護人の質問が終わり、裁判長が小川被告に質問の有無を確認したが、特になし。裁判官らから数点の質問がなされ、警察官に対する証人尋問は約2時間で終了した》 


【個室ビデオ店放火殺人第6回公判詳報(6完)】被告、立ち上がり取り調べの女性検事に質問(15:25~17:13)
2009.10.1 23:27
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091001/trl0910012328024-n1.htm

 《続いて取り調べを担当した検事の証人尋問に移る。小川和弘被告が「ともちゃん検事」と呼んでいた女性検事だ》
 検察官「被告の最初の様子はどうでしたか」
 検事「容疑事実を読んで聞かせましたが、しばらく黙っていたと思います。この時に被告から『15人も死んだんですか』と聞かれ、『亡くなっているよ』と答えると『15人も死ぬとは思わなかった』と言いました」
 検察官「被告は、自分がいた部屋の状況を覚えていましたか」
 検事「鮮明に覚えていました。まず口頭で聞いて、その後図面で書いてもらいました」
 《法廷内のモニターに、小川被告自筆というキャッツ難波店の個室の図面が示される。テレビやリクライニングソファなどの配置を、きちょうめんに定規で線を引いて記載。また、出火場所も丸を書いて「この辺」と示しているようだ》
 検察官「失火の可能性にいては」
 検事「私から尋ねました。たばこの不始末はないの?と。すると『ありません』と言いました」
 検察官「ほかの客がどうなるかについて、どう話をしていましたか」
 検事「店内の見取り図を書いてもらったときに、当時何をしていたか覚えているか尋ねました。すると『部屋が狭くてしんどいので、うろついた。その時に何人かの客を見ている』と言いました。『おれに巻き込まれる人ごめんね』と言いました」
 検察官「巻き込む意識の有無について、確認はしましたか」
 検事「もちろん、はい。ぼそぼそっと言っていたので、『本当にそう思ったん?』と聞くと『思いました』と答えました。『どれくらい思ったの?』と聞くと『1%くらい』と。『1%って本当?』と続けると『0・1%です』と言いました」
 《小川被告の供述は翌日から揺れ始める。検察官は女性検事に、このときの状況と対応を聴いた》
 検察官「翌日、どんなことがありましたか」
 検事「調べを開始してすぐ、『訂正してください。自分はそんなこと思ってない』と言ってきました」
 検察官「どうしましたか」
 検事「前日に何度も確認したので『どっちがほんまなん』と確認しました。被告はすぐに『すいませんでした』と謝ってきました」
 検察官「それから」
検事「しばらく黙っていたのが『自分は逃げてるなあ』と。弁護士にどういう調書をとられたか話したら、『それは不利になるな、死刑になるかもしれん』と言ってきたんです、と。『自分は死刑になるのが怖くて、死刑になりたくないからうそをついた』と言っていました」
 検察官「気持ちの揺れは調書に取りましたか」
 検事「すべて取っています」
 検察官「確認しましたか」
 検事「再度何%か聴くと、『0・01%。でも本当にあったんです』と説明していました」
 《検察官は、小川被告が否認に転じた日の様子を尋ねた》
 検察官「DVDを撮影する前日の様子はどうでしたか」
 検事「入って来るなり机の上をバンバンたたきながら『失火って言ったら罰金50万円やったやんけ』と怒鳴り出しました」
 検察官「なぜそう言ったのか聞きましたか」
 検事「『弁護士から六法を見せられて、失火だと罰金50万円と書いてある』と。私も六法を見たら、そうなってまして、『あっそうね』と言いました。被告は『罰金50万円で出れるやんけ』と言い続けました」
 検察官「それまでもたばこの失火かどうか確認はしましたか」
 検事「しています。『これまでも何度も聞いていたよね、なのにどうして』と言うと明確な答えは何もなく、怒鳴り散らしている状況でした。『放火の証拠を見せろ』と」
 検察官「あなたはどうしましたか」
 検事「『どっちなの』と言うと、『火を付けてない。キャリーバッグを持ち込んでない』というので調書を取りました」
 検察官「被告の母親の話をしたことはありますか」
 検事「あります。供述にぶれが出た2~3日目の時、『やっぱり本当のことしゃべります。母の戒名と同じ名前なので、検事さんにはうそはつきたくない』という話をしていました」
 検察官「被告が宣誓した場面はありましたか」
 検事「そのときです。『ぼくはともちゃん検事には本当のこと話します、宣誓』と言ってやってました」
 《弁護側は反対尋問で、このことを質問した》
 弁護人「ともちゃん検事と呼ばれていましたか」
 検事「先ほどの1度だけです」
 弁護人「こんななれなれしい話は、普通被告人からは出ないのではないですか」
 検事「そんなことないですよ。検事と被疑者は敵ではありません。こちらは事実を解明するだけです」
 《弁護人は反対尋問が終了し、裁判官が小川被告に「何か聴きたいことはあるか」と尋ねると、小川被告が立ち上がった》
 被告「ともちゃん検事と1回しか言ったことなかったと言われてましたが、手話とかしながら結構コミュニケーションとって、言葉に詰まったら『深呼吸、深呼吸』って言ってくれましたよね。検事さんだから質問にはすごくスラスラ答えてますが、一番気になったのは、楽に死ねるって…」
 裁判長「弁護人、打ち合わせを。質問の趣旨をまとめてください」
 《小川被告の発言は、質問ではなく女性検事に対して思ったことを吐き出したかったようだった。弁護人は被告に何がいいたいのか、小声で尋ねた。本人から質問をするより、弁護人が代理で質問した方がいいと判断したようだ》
 弁護人「私から聞きます。ともちゃん検事と、もっと言っていたと言っていますが」
 検事「私の記憶は1回ですね。目の前にいるわけですから、言わなくていいと思いますが」
 被告「今言われた言葉、煙に巻かれたら楽に死ねると…」
 検事「それはあるでしょ」
 《再び立ち上がり、話そうとする被告。弁護人が制止し、被告に話しかける》
 弁護人「(小声で)あなたの記憶と違うなら、今しかないから聞いてということ。そうでないなら今聞かなくていい」
 被告「(小声で)疑問に思うことはあっても質問的なことは…」
 《弁護人は裁判長に、これ以上質問はないという合図をした》
 裁判長「あなたからの言い分はまた聞きますからね」
 被告「すみません」
 《裁判官からの質問の後、女性検事は退廷した。自白の任意性をめぐる立証はこれで終了し、次回、裁判長が被告の供述調書14通の採否を決定する。午後5時13分、閉廷した》


(関連)
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大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 初公判 その2
大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第2回公判 第3回公判
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大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第5回公判
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Category:大阪個室ビデオ店放火事件の再考察

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大阪個室ビデオ店放火事件の再考察 ◇ 第5回公判

2009/10/21(Wed) 06:42

大阪個室ビデオ店放火事件の再考察


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【個室ビデオ店放火殺人事件第5回公判詳報(1)】「供述は空想」裁判官に訴える被告
2009.9.29 20:40
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090929/trl0909292041019-n1.htm

 大阪市浪速区の個室ビデオ店に放火し、16人を死亡させたとして殺人と放火などの罪に問われた小川和弘被告(47)の第5回公判が29日午前10時、大阪地裁(秋山敬裁判長)で始まった。前日に引き続き、小川被告に対する被告人質問が行われた。
 《小川被告が証言台に着席した。前日の被告人質問ではなぜ小川被告が火災直後に放火を認め、その後否認するに至ったのかが焦点になった。小川被告は無罪を訴えるものの、詳細については供述が揺れ動き、検察官は納得していない。検察官が立ち上がり、反対尋問を始めた》
 検察官「やってもいない放火を最初に認めたのはなんでですか」
 被告「ほんまに死にたいんであれば、カバンじゃなくて自分の体、髪の毛に火を付けることを選択すると思うんですよ。自分の体を痛めつける死に方をすると思います」
 検察官「(事件当日)逮捕する前の午前中、火を付けた事実を認めてましたよね」
 被告「一番初めに認めたのは○○刑事(最後に来た捜査1課の刑事)で、午前5時20分から30分くらいに署名を書けっていわれた記憶があるんです。昨日(公判が)終わってから今日朝来るまでずっと考えてました。今覚えているのは『部屋の中にあったティッシュをいっぱいとって私のキャリーバッグにティッシュを入れて、カバンが赤く燃え上がって煙があがって、怖くなって逃げた』と書いて署名しました」
 検察官「公判前整理手続きでは、○○刑事が出てくる前の刑事に認めた話はしてなかったですか」
 被告「正直言って、あまり話を聞いてなかったです」
 裁判長「今日の記憶はどうなんですか。前と変わってきたんですか」
 検察官「今日の記憶は」
被告「○○刑事です」
 検察官「公判の前は」
 被告「そういわれたら、チンピラ刑事さんに認めたのかもしれないですね」
 弁護人「被告は自発的に認めたという感覚で言っているようにうかがえます」
 裁判長「被告、認めたというのはどういう意味ですか。紙に書いたという意味ですか」
 《小川被告の供述の真意をめぐり、弁護人や裁判長も身を乗り出した》
 被告「最初はチンピラ刑事に机をたたかれ、別の刑事ににらまれ、ボスの○○刑事が出てきてその時点で認めたという意識が強いんです」
 検察官「○○刑事に怒鳴られたりしたんですか」
 被告「そんなんはされてません。目で威圧されてました。体格とか、とにかく無言の会話というやつです」
 《検察官は小川被告が○○刑事の前で自筆で書いたという自供書があまりにも詳細であることに着目したようだ》
 検察官「ティッシュを入れたというのは作り話ですか」
 被告「そうですよ、もちろん」
 検察官「キャリーバッグの中に入れたというのも」
 被告「はい」
 検察官「何でそんな具体的な話をしたんですか」
 被告「とっさに言ってるんじゃないですか。そこまで考えてないというか、自分の思いつきで」
 検察官「煙でいっぱいになったというのも想像で書いたと」
 弁護人「被告は煙を見ていないとは言ってません。霞は見たと言っている」
 裁判長「煙と霞という表現の違いはありますね」
 検察官「煙でいっぱいというのは違うでしょ。煙は想像ですか」
 被告「はい」
 検察官「キャリーバッグの絵を描きましたよね」
 被告「はい」
 《小川被告が取り調べ段階で描いたキャリーバッグの絵が大型モニターに映し出された》
 検察官「これも想像で描いたんですか」
 被告「はい」
 検察官「自殺したかったというのも思いつきですか」
 被告「ほとんど空想で作って話してますね。冷静にね」
 検察官「その場その場で思いつきで話していった」
 被告「はい」
 検察官「自殺の理由について、同じ理由を1週間後にも言ってますね」
 被告「繰り返してるということですか。全くほんまに空想です」
 《小川被告はひたすら、当時の自供は空想の産物だと繰り返した。検察官の尋問は終了し、弁護人による再主尋問が始まった。弁護人は小川被告が誰に対して最初に認めたのかを問いただした。供述のぶれを修正したいようだ》
 弁護人「浪速署で机をたたかれたり怒鳴られたりしても、放火していないと言い続けたの」
 被告「○○刑事が来るまで粘りました。1時間くらいしか否認できてないけど、『してません、してません』って言いました」
 弁護人「警察官に言っても無駄だし怖いし、言わなくなったんじゃないの」
 被告「最終的に自暴自棄になりましたけど、がんばれるまでがんばりましたよ」
 弁護人「○○刑事の段階では」
 被告「白状してますね」
 弁護人「限界に達したのは○○刑事の時なの」
 被告「とにかく前の日一睡もしてなかったので体もしんどかったんです」
 裁判長「正しいことを言えなくなったというのはどの時点で感じましたか」
 《ここで小川被告は堰を切ったように裁判長に“直訴”を始めた》
被告「特定はできないんですけど、全員ににらまれたり決めつけて言われるんで。ほんまに自分は火を付けてないんです。足利事件じゃないけど、こういう立場から逃げるには真犯人が出てくるしかないのかなとか。確かに空想は多いです。揺れ動いてた時間も長いです。おかしいといわれます。(火事で亡くなった)16人、1人も恨んでいないしお店に恨みもないし、一番それを分かってもらいたいんです。今のままでは自分がしめつけられて、どうしたら分かってもらえるのか。一酸化炭素中毒で死ぬって事も、自分では分からないんです」
 裁判長「はい…。言いたいことは言ったと思うので(弁護人に)どうぞ」
 被告「感情的になりましてすみません」
 《弁護人は話を変えた》
 弁護人「空想というけれど、あなたの独創ですか、それとも検事や刑事の影響ですか」
 被告「多少その時の会話によって、空想の話で認めたと思います」
 弁護人「10月1日には『私のキャリーバッグ』、7日には『知人のキャリーバッグ』と変わっているのはどうして」
 被告「ちょっと分かりませんね」
 弁護人「真実はあなたのじゃないわね」
 検察官「解釈の問題で、『私が引いてきたキャリーバッグ』と読めますよ」
 弁護人「自分の考えで替えたんですか。だんだん正確になっているけど、捜査員の影響じゃないんですか」
 裁判長「誰のか、検事や刑事と話しましたか」
 被告「『知人のカバンやなー』と訂正されたと思います」
 弁護人「最初はあなたのものだったんですか」
 被告「その辺の記憶はありません」
 《午前の尋問は終了した。裁判長による被告人質問は、午後の最後に行われる》


【個室ビデオ店放火殺人事件第5回公判詳報(2)】「突然『死にたかったんですわ』と」現場の警官証言
2009.9.29 23:21
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090929/trl0909292325021-n1.htm

 《昼の休廷を挟んで午後1時10分、小川和弘被告が再び入廷した。証人出廷したのは、火事発生直後に小川被告を浪速署に任意同行した警察官。当時は浪速署で火災などを担当する強行犯係の刑事で、火事が起こって約30分後に現場に到着したという》
 検察官「先着の警察官から何か聞きましたか」
 警察官「店員から犯人らしい人がいるといわれたと、地域課の警察官が指さした先に被告がいました」
 検察官「近づいて気づいたことは」
 警察官「顔やランニングが若干すすけていました」
 検察官「何と声をかけましたか」
 警察官「被災者だと思ったので、『浪速署の刑事です。大丈夫ですか。けがないですか』と聞くと『けがはないです』と」
 検察官「それから」
 警察官「『どういう状況ですか』と聞くと、突然『すみません、すみません』と何度も謝り始めました。警察手帳を見て驚き、目を合わせず小刻みに震えていました」
 検察官「あなたはどうしましたか」
 警察官「『どうしたんや』と聞いたと思いますが、『すみません』を繰り返しました」
 検察官「部屋について何か聞きましたか」
 警察官「『自分の部屋が燃えたんか』と聞くと『そうです』と答えたように記憶しています。『お前が火つけたんか』と聞きましたが、明確な答えはできませんでした。はきはき答えていたのが、数十秒黙り込んで下を向きました」
 検察官「その後どうなりました」
 警察官「突然私の顔を見て『死にたかったんですわ』と言いました。理由を聞いたと思いますが、自分が着ていたランニングシャツをまくり上げて『前にも自殺未遂したことがあるんです』と訴えかけるように言ってきました」
 検察官「傷はありましたか」
 警察官「包丁の刺し傷のようなのがあったと記憶しています」
 《警察官は詳しい話を聞くために小川被告を浪速署に任意同行したと述べた。小川被告はこれまでの公判で、浪速署で最初に取り調べを受けた“チンピラ刑事”に机をたたかれるなど威圧されたと訴えている。検察官は浪速署での取り調べ状況についても聞いた》
 検察官「調べ室に入ったのは誰ですか」
 警察官「私と、刑事課の当直責任者の係長と被告です」
 検察官「聞いたのはどんなことですか」
 警察官「火元だと言っていたので『何で火が出たんや』と聞きましたが、明確には返ってきませんでした」
 検察官「火が出たことに対する質問は」
 警察官「『謝ってたけどどういうことか』と聞きましたが、明確な返答はありませんでした」
 検察官「火災の原因についての話は」
 警察官「出ていません」
 検察官「あなたが『お前の部屋から火が出たのは間違いない』と言ったことは」
 警察官「ありません」
 検察官「気をつけていたことはありますか」
 警察官「大きな事件と分かっていたので、捜査1課にきっちり引き継ぐこと。火災事件は放火か失火か分からないので、決めつけず慎重に聞こうと思っていました」
 《弁護人は小川被告のおなかの傷跡を見せて「あなたが見たのはこの傷か」とただしたが、警察官は「答えられない」と答えた》
 《この警察官が小川被告の言う“チンピラ刑事”なのだろうか。裁判長もこの点が気になったようだ》
 裁判長「被告の言い分はありますか」
 弁護人「(小声で)あなたをどなりつけた人じゃないの」
 被告「(小声で弁護人に)こんなにがっちりしてなかったと思います」
 裁判長「被告にはまた後で聞きましょう」


【個室ビデオ店放火殺人事件第5回公判詳報(3完)】裁判官「サイレン聞くまで火事分からない?」
2009.9.29 23:26
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090929/trl0909292327022-n1.htm

 《警察官への尋問が終了し、休廷の後、小川被告の長男が出廷した。弁護側、検察側双方が証人申請している。長男が証言台に座る前、2人の目があうと、小川被告は何かを訴えるようにうなずいた》
 弁護人「お父さんはどんな性格ですか」
 長男「気を強くしているようにも見えますが、内面は気が弱いところもあり、すぐ『すいません、すいません』と謝ります」
 弁護人「父親としてはどうですか」
 長男「優しいときには優しく、厳しいときには厳しく指導してもらって、僕は尊敬している父でした」
 《これを聞いた小川被告はぎゅっと目をつぶり、下を向いた》
 弁護人「お父さんが『生きていくのは嫌だ』と言っていたことはありますか」
 長男「ありました。父はマイナス思考なんですけど、嫌なこととか考えてしまったときです」
 弁護人「本当に自殺しそうということは」
 長男「ありませんでした」
 弁護人「報道でお父さんが放火を認めたというのを見て、どう思いましたか」
 長男「ぼくの父はそんなことができません。ぼくは本当に父がやったのか信じられないです」
 弁護人「面会のときは」
 長男「ぼくの名前を呼んで、『お父さんは絶対火を付けてないんや、お前だけでも信じてくれ』といわれました。ぼくが思った通りでした」
 《検察官は小川被告がギャンブルやキャバクラ、洋服などに散財し、長男が専門学校進学をあきらめて就職した状況などを尋ねた。長男が小川被告を非難するような発言は一言もせず、尋問が終わると深く一礼して退廷した。去り際に小川被告を見つめた長男に対して、小川被告は大きくうなずいた》
 《ここで裁判長は、警察官の証言内容を踏まえた再度の被告人質問を行うと宣言した。弁護人が立ち上がった》
 弁護人「今日の証人が浪速署であなたを怒鳴りつけた人ですか」
 被告「記憶にない顔です」
 弁護人「おなかを見せた記憶は」
 被告「あんまり記憶がないんですけどね」
 弁護人「死にたかったと言った記憶は」
 被告「自分では首をかしげてました」
 検察官「現場で声をかけてきた人がこの警察官かどうか分からないですか」
 被告「はい」
 《“チンピラ刑事”が誰だったのか、結局明らかにはならなかった》
 《続いて裁判長らの被告人質問が始まった》
 裁判長「あなたは霞がかかった状態に気づいて、換気してほしいとフロントにいったのですか」
 被告「はい」
 裁判長「サイレンを聞くまで火事という実感がなかったのですか」
 被告「はい」
 裁判長「換気をしてくれれば寝られるのに、なぜ店員が相手をしてくれないのかと思いませんでしたか」
 被告「そこまで考えていませんでした」
 裁判長「どの時点で火事だと思いましたか」
 被告「思い出せません。自分の証言は空想が多いんで」
 裁判長「あなたは『取り調べで揺れ動いた』と言いますが、どことどこの間で揺れ動いたという認識ですか」
 被告「自分としては1つだけ、真実は1つやと思ってますから。火を付けたのか付けてないのか。結論は1つです。失火でも、たばこの火でもあてはまってきますけど、火が出とったのはほんまと認めるしかないので…」
 裁判長「記憶になくても火を付けたといえば、どうやって、と聞かれますよね。まったく空想で答えたのか、ヒントをもらったのか、どうですか」
 被告「その場、その場の話の内容で、自分1人で作成したわけじゃないと思います。アシストが入ったような、入ってへんような。話の流れによって調書ができてしまっています」
 《最後に裁判長は、すでに証人尋問が終わった大阪府警科学捜査研究所の職員ら3人について、弁護側が事件直後の調書を証拠申請していることを明らかにした。公判での証言が調書と食い違っており、信用性を崩す趣旨という。採否の決定は持ち越され、午後5時に閉廷した》


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